国境を越えて一緒に住めない新婚夫婦
36歳まで独り身で、海外赴任までしてバリキャリ人生送ってきた女なのに。
いざ結婚して頼れる人ができたら、か弱い女性になった。
これまで虚勢を張っていたのだろうか。
頼れる人がいないまま、ピンと張り詰めた空気を纏い強く生きるのか。
頼れる人ができて、支えてもらいながら生きるのか。
頼れる人がいるというのは嬉しいことだが、
「弱くていいんだよ」とかいう優しい言葉をかけられると、
これまで保ってきたバランスが急激に壊れ、どのように均衡を保ったら良いのかわからなくなった。
人間、わがままなものだ。
時差14時間というのは、地味にキツい。
通常、夫と連絡を取り合うのは、
アメリカ時間の夜。
日本の午前中だ。
もし、私が仕事を続けていたら、
午前中の仕事をほっぽり出して、夫と話をすることになる。
さもなければ、
新婚といいつつもお互いの生活を報告する時間もなく、
テレビ電話越しに顔を合わせることもなく、
ちょっとずつのすれ違いが生まれていたことだろう。
世の中には私のように、一緒に住めたくても住めない夫婦やカップルがたくさんいる。
日本に住む日本人と結婚をし、
一緒に住んで生活をすることが、
どれだけありがたいことか。
そんなこと、思いもしなかった。
人間、自分が経験しないとその苦しみや苦労は理解することができない。
また一つ、人生経験を積み、
人の気持ちが理解できるようになった。
写真:成田空港(2021年4月。アメリカに向けて出発する前に)