
理系選択だった経営学部生
タイトルにある通り、大学受験における文理選択と科目選択に関してです。
なぜこんなテーマで記事を書こうかと思ったのかというと、端的に言えば僕自身が、文理選択や科目選択で失敗をしたからです。
自己紹介の記事を読んでいただければわかると思いますが、僕は大学で経営学を学んでいます。
これだけ聞いたら、多くの人は僕が高校で文系を選択して勉強してきたと思うでしょう。
しかし、実は僕、高校ではバリバリ理系を選択していました。
数学Ⅲまで履修し、理科は物理と化学をやっていました。
そんな僕がなぜ今大学で経営学を学んでいるのか、その経緯についてお話したいと思います。
獣医師になるという夢
国立大学の合格発表の日まで、僕の将来の夢は獣医師になることでした。
この夢を抱き始めたのは小学校高学年の頃でした。
特に身近に獣医師がいたわけでも、家でイヌやネコなどのペットを飼っていたわけでもなかったのですが、幼い頃から動物が大好きでした。
そんななかで小学校の図書室で獣医師の物語を読み、漠然と僕もこんなお仕事ができたらいいなと思い始めました。
中学入学から高校2年生まで
その後、僕は地元の公立中高一貫校を受験し、合格。
僕はそれが理由で受験したわけではなかったのですが、その学校は、理系教育に力を入れている学校でした。
そのため、高校2年生での文理選択では、毎年学年の3分の2程度の人が理系を選択していました。
そんななか、僕の得意科目は英語と国語と社会。
僕は生粋の文系脳の持ち主だったのです。
しかし、僕はその時もずっと獣医師になりたいと思っていたので、微塵も迷わず理系を選択。
そして理科の科目選択に関しては、僕の学校は、理系選択者は全員化学は必修で、もう一つの理科は物理か生物を選択するという形でした。
中3や高1の時に模試を受けた予備校の先生に、理系なら物理のほうがほかの人と差をつけやすいから、物理のほうがいいといわれ、先輩にも生物だと受験できる学校や学部が限られてしまうから物理のほうがいいといわれていたため、こちらも迷うことなく生物ではなく物理を選択。
こんな僕ですが、中学1年から高校1年までは、校内でも上位20から30位ぐらいというある程度良い成績を保っていました。
自分で言うのも変ですが、中学生のときの僕は結構頑張っていたと思います。
中3ぐらいになってくると、中高一貫で高校受験がない分、人によっては勉強習慣がほぼなくなっている人もいました。「中だるみ」って言われているやつです。
それでも僕は、中学3年間、楽器初心者でありながら吹奏楽部というハードな部活に所属し、それとは別に週2で習い事をし、毎日膨大な量の学校からの課題をこなしていました。
そのため、どこか自分の中で、このまま頑張っていけば僕は受験を乗り越えられるだろうと、大学受験を甘く見ていました。
しかし、高校2年生で文理が分かれ、本格的な理系の勉強が始まったとたん、僕の成績は急降下。
このとき僕はやっと気づきました。
これまでの僕の良い成績は、全て文系科目によって作られていたものだったということを。
これまで得点を稼いできた社会科目が減り、苦手な理系科目が増えたため、以前のように良い順位をとることができなくなってしまったのです。
そこではじめて、僕は勉強ができるわけではない、ということを突き付けられた気がしました。
文系脳の理系志望受験生
〜春から夏〜
そんなこんなで、気が付いたら高校3年生、受験生になってしまいました。
このときの僕の苦手科目は物理と化学でした。
それでも、僕は獣医師になることを目標にしていて、第一志望は北海道大学獣医学部でした。
一応述べておくと、北海道大学獣医学部の2次試験科目は数学、理科2科目、英語で、偏差値は65。これを見れば、僕がどれだけ無謀な戦いに挑もうとしていたかわかりますね。
僕の学校は、化学基礎授業を中学3年生で終わらせ、高校1年生で物理基礎と生物基礎をやっていました。
そのおかげで、中学3年生のとき、まわりが中だるみでだらけている中、とても一生懸命勉強した化学基礎の知識は、高校2年生で化学が始まった時にはきれいさっぱり忘れてしまっていました。
高校1年生でやり始めた物理基礎は、校内上位2割に入るなど、意外にもよくできました。
だから物理もできるかなと思っていたのですが、それは大きな思い違いでした。
高校2年生で物理が始まると、これまで自分がやってきたものは何だったのかと思うほどちんぷんかんぷん。
授業なんて聞いていても一切理解できませんでした。
(授業スタイルが基本自分たちでやってねという感じだったからというのもありますが笑)
ということで、高校3年の初めは、理科2科目は壊滅的にできない状態でした。
それでもこのとき、数学は決して得意ではなかったものの、理科ほどできないというわけではありませんでした。
このころも相変わらず学校の定期テストの得点源は古典や地理。
そんななか、中学3年や高校1年のときはほとんど勉強していなかった人たちでも、僕よりも理系が得意な人たちは高校2年生の秋ぐらいから急に成績が伸び始め、どんどん抜かされていきました。
そうこうしているうちに気づいたら夏休み。
「夏休みを制する者は受験を制する」とかいわれているあの夏休みです。
さすがに焦り始めた僕は、夏休みに成績爆上げしてやるぞ!!と意気込んで、夏休み初日にほぼ丸1日かけて勉強の計画を立てました。
自分の苦手を克服するため、勉強量全体のうち理科が6割、数学が3割、英語が1割ぐらいの配分にしていたと思います。
でもいざ始まってみると、毎日たくさん計画を詰め込んだはいいものの、苦手な理科が多い分1日でやる分が全く終わらない。。。
苦手な理科を今克服しておかないと後がないなと思った僕は、とりあえず理科を優先して取り組もうと思い始めました。
すると、理科の1日のノルマを終わらせたらもう夜。数学をやる時間はほぼありませんでした。
そうして数学のタスクがどんどん溜まっていき、気づいたら手に負えないほどに。
結局、数学は理科よりできないわけではないし、とりあえず理科をやればいいか!!と割り切ってしまい、数学をやるのを諦めてしまいました。
この判断が、後々の僕を苦しめることになるのです。
理科だけは大真面目に取り組んだ結果、夏休みが終わる頃には、物理も化学も人並みにはできるようになっていました。
それどころか、なにもわかっていなかった頃は嫌いだった化学の構造決定も、知識がついた後は楽しんで解けるようにまでなりました。
そうして僕の受験生としての夏休みが終わりました。
〜秋から受験〜
夏休みが終わり、また学校が始まりました。
学校が始まると、あっという間に過ぎていく時間。
日々の学校の授業(基本演習でしたが)の予習に追われ、自分の勉強が思うように進められませんでした。
それでも、そこからはもう、とりあえず目の前にあるものを淡々とこなしていく生活でした。
夏休みに頑張った物理と化学は、さらに問題演習を重ねることでだんだん応用問題まで解けるようになりました。
しかし、夏休みに後回しにしていた数学は、以前は理科よりできていたのに、周りもみんな夏休み中に数学を頑張っていたおかげで、ちょっと苦手どころではなくなってしまっていました。
授業の演習問題も自力ではほぼ解けない。解説を聞いてもわからないけど、授業はどんどん先に進んでしまう。
この時僕は内心相当焦っていたはずなのに、なぜか大丈夫と言い聞かせて自分のペースで勉強を進めていました。
この頃は睡眠時間もけっこう削っていました。
僕は中学1年生の頃から家族全員朝5時半に起きていて、起床の時刻は変えられないけど、夜なら起きて勉強できると思って、午前3時ぐらいまで勉強していることもありました。
でも、そのおかげで授業はめちゃくちゃ眠くて、元々置いていかれていた数学はさらに置いていかれるようになりました。
結局、今思い返してみると、僕はこの時点で数学は諦めてしまっていました。
このあと受験直前になっても、数学に正面から向き合うことはありませんでした。
とは言っても、僕は数Ⅲでめちゃくちゃ置いていかれたけれど、中3や高1で勉強を頑張っていたおかげで、なんとか数ⅠAⅡBは耐えていました。
そのため共通テストも、本番は一応自己最高点を取ることはできました。
ただ、目標の8割には届かなかったので、北海道大学の総合理系で出願することを決めました。
でも、先述の通り、国立の受験直前まで数学はほぼちゃんとやっていません。
もう今更どうにもならないって思ってしまったんです。
だから国立受験の直前は、ずっとほぼ理科の勉強をしていました。
まあこんなので受かるはずもなく、第一志望は不合格。
私立は3校受けていて、ひとつは農学部、残り2つは経営学部でした。
僕は理系選択で、社会科目は地理しか勉強していませんでしたが、僕が受けた大学の経営学部の入試は社会科目が2つ必要なかったため、受験できました。
最終的に、経営学部を受けた大学はどちらも合格しましたが、農学部を受けた大学は不合格。
そうして、僕は経営学部に進学することになりました。
このように、僕の大学受験は他人から見たら「失敗」に終わりました。
受験を終えた今僕が思うこと
ここから先は、僕が受験を通して感じたことや思ったことを完全な持論で述べていきます。あくまで僕個人の考えです。
文理選択について
一般的に、高校で文理選択をするときは、先生たちはよくこう言うと思います。
「得意不得意よりも自分のやりたいことを優先すべき」
これについて、僕は、間違っているわけではないけれど、正しいとも言いきれないのではないかと思っています。
だって、苦手な科目が好きな人ってあんまりいないじゃないですか。
苦手な道に進むということは、その苦手な科目に真正面から向き合って、得意な科目よりも何倍も勉強しなければいけないということなんです。
これは当たり前のことだけど、実はとても難しいことなんじゃないかと僕は思っています。
実際、僕がそうだったから。
でも、これは僕がただ単に弱かっただけかもしれない。
本当にやりたいことがあるなら、それを叶えるためには苦手なことにも向き合えるはずだと思う方もいるかもしれません。
でも僕はできなかった。
初めは僕も、頑張りきれない自分に嫌悪感を抱いていました。
あの子はあんなに頭がいいのに僕以上に勉強してる。あの子より全然頭が良くない僕はもっと勉強しないといけないのになんでできないんだろう。
でも、それでメンタルがやられてもっと勉強に集中できなくなってしまうことがありました。
だからあるときからは、これが自分だ、と割り切って、自分のできる範囲で最大限のパフォーマンスを発揮して勉強してやろうと思うようになりました。
これに関しては、本当に人それぞれだと思います。
勉強に限らず、自分の目標を達成するために必要な努力をきちんとできている人は特にそう思うでしょう。
何度も書きますが、これはただの言い訳かもしれないというのは重々承知しています。何といっても、結局志望校に合格しなかった人間の話ですから…
でも、もしかしたら僕みたいな人がいるかもしれない。
自分を正当化するわけではないけれど、こんな経験をした人もいるんだなって程度に思ってくれれば嬉しいです。
科目選択について
そして、次に受験で使うために高校で受ける授業を選択する、科目選択について。
僕は理系だったので、理科2科目を選択する必要がありました。
僕の高校は地学の授業は行われておらず、それに加えて理系選択者は全員化学は必修となっていたため、もう1つの理科科目を物理と化学のどちらかから1つ選ぶという形式でした。
僕は物理を選択していました。
理由は、先述の通り、
①ある予備校の先生に「生物はみんな得点しやすくて差をつけにくいから物理の方がいい」と言われたから
②先輩に「生物だと行ける学部の幅が狭まるよ」と言われたから
③僕の高校の理系選択者の7割が物理を選択していたから
でも、物理/生物の選択をする前から、僕が物理が得意なわけないってわかっていました。
何度も書いている通り、僕は脳が根っからの文系なんです。
中学校の理科の物理分野も、できないわけではなかったけれど、生物分野よりは絶対的に苦手でした。
だけど、僕は迷わず物理を選んだ。
だってみんながその方がいいっていうんだもん。みんな物理選ぶんだもん。
僕はそのとき希望を持っていました。
僕もきっと、物理が得意な人になる、と。
これは決して明確な根拠があったわけではありません。でも、僕はそれまで周りの人よりは勉強を頑張ってきたし、ある程度の成績を保っていたから。きっと僕にもできるよねって。
しかし、結果的に、これは甘えた考えだったのです。
志望校に入学することはできなかったものの、今の大学生活はそれはそれでとても充実しているので、決して受験に後悔はないのですが、生物を選択していたらもしかしたら違った結果になっていたかもしれない、と思う気持ちが心のどこかにはあります。
この経験を通して、科目選択に限っては、得意不得意があるならそれに則った選択することが良いと僕は思っています。
そして「こっちのほうが人が多いから」とか「こっちのほうが大学や将来の選択肢が増えるから」といった保険みたいな理由だけで選択するのは良くないと思います。
逆に、生物と物理や、世界史と日本史など、選択肢のどちらも苦手意識がないのであれば、興味や得点しやすさを条件にして選択して良いと思います。
実際、僕の双子の妹たちが、この前文理選択及び科目選択を終えたばかりなのですが、その時僕は同じように助言をしました。
その結果、ひとりは心理学に興味があるため文系を選択し、高校には世界史を教えるのが上手ことで有名な先生がいるけれど、本人は日本史のほうが好きであるという理由で日本史を選択しました。
また、もうひとりは管理栄養士になることが夢であるため理系を選択し、自分が僕と同じように物理が苦手であることをわかっていたため、周りには物理を選択する人が多いものの、生物を選択しました。
これも、正しい選択であるかどうかは誰にもわかりませんが、僕の失敗(?)を見てきた妹たち本人としては納得できる選択であったと思います。
最後に
僕の受験ははたから見れば「失敗談」でしょう。
志望していた大学に行けなかっただけでなく、(科目選択や興味関心、金銭面の問題もあるが)望んでいた学部にさえ進学できなかった。
だから、母校である高校から合格体験記やOBOGの座談会のようなものの依頼は一切来ません。
僕自身としては、たまには受験生も、成功体験ばかりではなく、こういう失敗談も聞いたほうがためになるんじゃないのかと思うんですが、世の中はそう思っていないみたいです(笑)。
でも、僕の経験とそれを通して感じたこと考えたことは、自分にとってとても大切な宝物だと思っているし、もしかしたら誰かの役に立つことができるかもしれないので、時が経って風化してしまう前に、ここに記しておこうと思いました。
実はこの記事を書き始めたのは、大学に入学してすぐ、約1年前です。
何が書きたかったのかまとまらなくなってしまったり、こんな記事書いてどうするんと思ってしまったりで途中で書くのをやめてしまっていたのですが、やっぱり残しておきたいと思い執筆を再開しました。
他の人の受験生活の細部まではわからないけど、もしかしたら、僕と同じ悩みを抱えている人もいるかもしれません。そんな人に、自分の経験が少しでも役に立てば嬉しいです。
とても長くなってしまいましたが、ここまで読んでくださりありがとうございました。