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マネしちゃダメ!小2女子の絵日記攻略法。

あれは小2の夏休み。
毎日絵日記を書く宿題が出された。

小1の夏休みで絵日記に懲りた私にとっては、本当に憂鬱な宿題だった。
やらないわけにはいかないけど、やりたくない。
できることなら、避けたい。

だいたい、毎日ほぼ同じ生活してるというのに、絵日記に何書くんだ?同じことの繰り返しになるだけなのに、なぜそんなことを書かせるんだ?毎日、日記に書けるほど面白い生活してる人見てみたいわ!

とまでは、さすがに小2なので思わなかったけど、近いことは考えていた記憶がある。

本当に嫌だと思いながら過ごす夏休み。
しかし、数日過ぎたある日、突然ひらめいた。

そうだ!毎日セミ取ってたことにすればいいじゃん!

その頃、私は本当にほぼ毎日セミ取りしていた。
だから、決して嘘ではない。
だいたいの日にセミ捕まえてるんだから、絵日記にすればカンタンだ!我ながらいいこと思いついた!私って天才かも!

と、この時は本気で思っていた。

小2の私、それなりに策略も立てた。
毎日アブラゼミじゃ嘘くさいから、3〜4日続けてアブラゼミとったら、次の日はクマゼミを捕まえたって書く。いつも捕まえられるわけじゃないから、たまには逃げられたことも書く。
その日に起こったことを書くわけじゃないけど、体験したことをある意味書いてるから、これなら夏休みの絵日記怖くない。いける!これで私の夏休みは安泰だ。

と、小2だからそこまでは考えてなかったけど、似たようなことは考えていたはず。とにかく私の絵日記計画は順調に進んでいた。
気がつくと、字や文章はともかく、絵は早く書けるようになってきた。いい調子。このまま夏休み終われば楽勝。

しかし、やはり現実は甘くない。

お盆を過ぎる頃、母に宿題をチェックされた。
その時、私の壮大なセミ取り絵日記が見つかった。

「これ、なに?」
母が怪訝な顔で聞いてくる。

「ああこれ?えにっきだよ。セミまいにちつかまえてるから、それをかいてるんだよ」
少しも悪びれず答える私。

みるみる母の表情が変わる。

そして、鬼のような形相で私に雷を落とした。

「あほ!雨の日にセミ捕まえてたか?やってないでしょ!」

…しまった。
天気だけは嘘つけないから、忘れないよう毎日書いてた。変にこだわってマメなところがかえってアダになった。

母の怒りは収まらない。

「旅行のときもセミ捕まえてた?違うでしょ!あの時はトンボだったでしょ!」

…ホントだ。
確かに旅行の時は、赤とんぼを虫かごいっぱいに捕まえてた。家に帰ってから逃したら、次の日ほとんどが息絶えてて、かわいそうなことをしたと反省したっけ。
すっかり忘れてた。

とはいえ、書いてしまったものはもう変えられない。だから、母に怒られた当日までは、セミ取りで通すことになった。

しかしその後は、セミ取りを絵日記に書くのは許されなかった。母に毎日絵日記をチェックされる。「まいにちつまらない」と正直に書いたら、それも怒られた。だから、本読んだって書いた気がする。嘘をかいてるのに、なぜかそれは母のチェックを通った。真面目っぽければそれでいいのか?と思ったけれど、もはや私にそんなことを聞く気力なんて残っていない。こなすので精一杯。
むしろ絵日記なんて書きたくないから、夏休み早く終われとすら思った。

こうして、絵日記に翻弄された苦い夏休みが終わり、担任の先生に絵日記を提出した。

後日、絵日記が返却された。
先生からのコメントが書かれていた。

「たのしいなつ休みでしたね」

どこをどう評価してこのコメントになったのか、いまだに謎である。私にとっては、ただただ絵日記に振り回された、あまり思い出したくない夏休みだった。

良い子はマネしないでね。


☀️この記事はクロサキナオさんの企画参加記事です☀️
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