見上げたい、青空を。

どうしても、空を見上げたくなる時がある。

悲しいわけじゃない。
泣きたいわけでもない。

なのに、空を見上げたくなった。

思えばこのごろ、散歩に出ても空を見なかった。
鉛色の雲が広がって、寒々しいようすだったから。
重たい雲に、心を引っ張られそうだったから。

それだけじゃない。

読書に夢中で、下を向いていたから。
PCやスマホばかり見てたから。

そろそろ上を向きたくなったんだ。
体から、サインが出たんだ。

そんなタイミングで、晴天になった。

誘われるように空を見上げると、
青色が濃く輝いている。
白い雲に飾りつけられて、
青色が鮮やかでまぶしい。

背筋を伸ばして深呼吸をしたら、
澄み切った空気が体を駆け抜けた。
まるで澱みを押し出すように、
私を浄化していく。

青空を目に焼きつけて、
青空がまとう空気を取り込んで、
私は今日も生きていく。