迷惑をかけながら、大きくなる。
長男のトランペットのレッスン日。
バスで往復しているのだが、この日は、帰りのバスの予定の時間よりも早く帰宅したかと思ったら、慌てた口調で言った。
「ただいま!トランペットの先生にケーキ用意して!外で待ってるから!」
?????
母、さっぱり、状況が把握できないんですけど。
事情を聞くと、まず、事件?は行きのバスから起きていたらしい。
1・行きのバスで運賃の支払い時にお財布の中の千円を落とす。
2・バスを降りてから、気がつくが、バスは発車して間に合わず。
3・音楽教室の入っているショッピングセンターのサービスカウンターに行き、事情を説明すると、サービスカウンターの人が電話を貸してくれる。
4・自動応答だったので、遺失物取り扱い先の電話をメモする。
5・「これからレッスンがあるから、レッスンが終わったら、電話を借りに来ていいですか」とお願いすると、音楽教室でも貸してもらえるからと教えてもらう。
6・何事もなかったように、レッスンを受ける。
7・レッスン後、教室の受付で事情を説明し、電話を借りる。バス会社に電話し、お金を預かってもらっていることを確認。
8・横で、電話のやり取りを聞いていたトランペットの先生が、「ちょっと代わって」と電話を代わってくれ、「保護者ではないんですが、そんなような者です。」と、受け取りに行く場所などを確認してくれる。
9・「次のレッスンまで時間があって暇だから、一緒に行こっか。」と長男を車でバスの車庫の遺失物保管所に同行してくれ、その後、自宅まで送ってくれた。
・・・以上。
一番最初に戻り、「先生にケーキ用意して!」だったのね。
・・・いやいやいや。あまりにも、いろいろ起きていて、笑っちゃいました。そして、彼の周りの方々の心ある対応に、ひたすら感謝でした。なんて、ありがたいのだろう。
問い合わせ先を教えてくれたサービスカウンターの方も、電話を貸してくれた音楽教室の受付の方も、「保護者みたいな者です。」と車で一緒に行ってくれたトランペットの先生も。「次のレッスンまで暇だから。」って、素敵すぎる・・・。
その後、サービスカウンターと音楽教室にお礼の電話をしたところ、受付の方は、笑いながら、「自分で全部、対応して、スゴイな~って見てました!」と。・・・ホントにありがとうございました・・・。アハハ。
人は、大なり小なり、周りに迷惑をかけつつも、自分でどうにかしようとしながら、大きくなる。
色々な人に、助けてもらいながら、人に対する信頼感を構築しているのかもしれない。助けてもらうことで、「自分がひとりではない」と、こころのずーっと奥の方で、感じているのではないだろうか。そしてなんとなく、「世の中って、人って、そんなに悪くないよね。」と思うのかもなぁ。
「人に迷惑をかけないように」ではなく、「まぁ、迷惑をかけちゃうこともあるよね。みんな、そうやって大きくなるんだもん。」と言える大人でいたいと思う。大人は、その迷惑をかけたことをフォローをする役割かもれないな。
「彼が、大人になった時には、誰かの小さかったり、大きかったりする迷惑を、あたりまえのように、笑いながら助けてあげられる日が来たらいいなぁ。」
翌日、12歳になった長男が大好きなお寿司とケーキを頬張る顔を見ながらそんなことを思うのだった。