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大人のADHDについて ADHDの原因は何ですか?③

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大人のADHDについて ADHDの原因は何ですか?②

また、うつ状態になったことで発達障害の特性が強まる人もいる。うつ状態になることで、集中力低下やケアレスミス、段取りの悪さなどが出てくるが、それがうつだけのものなのか、もともと発達障害があって、それが悪化しているのか、その判断はなかなかに難しい。しかし、パワハラなどでメンタル不調になり、そこで自分に発達障害の特性があるのではないかと疑ってくる人も一定の割合でいる。脳の調子がいい時には、特性があまり目立たず、自分の工夫でなんとかやっていけていたが(発達凸凹の特性がある人は、それなりに自分の扱いに慣れて工夫してやっている人もたくさんいる)、一旦脳が機能不全状態になると、今までの工夫ではカバーしきれなくなってくる、という状況だ。

そこまで考えると、原因は脳だけではなく環境にある、と言うこともできる。よく、ADHDの人は日本では生きにくい、アメリカなど外国だと適応しやすいということも言われる。どのような環境で生活しているか、どんな人とどんな仕事をしているか、そのこともかなり影響するのだ。

以前面白い話を聞いたことがある。外国のどこかに、難聴の人が非常に多い割合で暮らしている島があるそうだ。そこでの日常会話は手話が基本になる。島での生活は、耳が聞こえないことが前提で成り立っている。なので、耳の聞こえる人がその島を訪れると、手話ができなければ会話が成り立たないので非常に苦労することになるそうだ。言い方はやや語弊があるかもしれないが、この島では難聴であることが「正常あるいは多数派」で、耳が聞こえることが「異常あるいは少数派」になるのだ。

それを考えると、ADHDや発達障害の人が多数を占める社会であれば、その特性が「正常な特性」であり、社会は発達障害の人が生きやすいような構造になり、いわゆる「定型発達」の人が「異常な特性」になったかもしれないのだ。

続く

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