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大人のADHDについて 私が大人のADHDを診療するようになったわけ⑥

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大人のADHDについて 私が大人のADHDを診療するようになたわけ⑤

実際通院している患者さんに、困りごとをちょっと詳しく聞くと、それはADHD症状と思われる要素があることに気づくようになった。

例えば以下のようなことだ。

・ネットショッピングや通販などでいいなと思ったものをすぐ買ってしまう。買った時は使うつもりでいるのだけれども、結局開封することもなく納戸行き。納戸もあふれかえっているのに、やっぱり欲しいものがあると買ってしまって、そのことで夫と毎日のように喧嘩になる。

・ママ友とあって話をすると、つい余計な一言を言ってしまう。それで嫌な顔をされて、しまったと思うんだけど、ママ友が集まっているのをみると、つい話の中に入ってしまって、なんだか最近避けられるようになってきた。友人関係がいつもうまくいかない。

・片付けが苦手で、部屋は寝るところ以外足の踏み場がないレベル。鍵やスマホがどこに行ったかわからなくなって探すことも多い。さっきまで持っていたはずのスマホが気が付いたら手元になくて、どこに置いたのかさっぱり覚えていない。

・好意を持っている相手に、再々LINEや電話をしてしまう。しつこいとかえって嫌われることは分かっているが、どうしても我慢ができない。

・会議中は起きていないといけないと思っているが、どうしても寝てしまう。

・電話の取り継ぎが苦手。相手の言っていることがわからないわけではないが、電話を切った後どこの誰で何を誰に伝えなければいけなかったのか、具体的なことがさっぱり思い出せなくて困る。

・浮気ぐせが治らない。好きになって付き合っても、しばらくすると飽きてしまい、すぐ別の人に乗り換えてしまう。

しかし、このような困りごとはADHDの人に多く見られるものの、ADHDではない人でも同じようなことに困っている人もいる。そもそも、ADHDの特性がある人と、そうでない人の境とは曖昧で、どこかにはっきりとした境があるものでは無く、連続性のあるものだ。なのでADHDの特性が強いか、弱いか、という問題になってくる。

患者さんの話を聞くだけでは、自分の問題を大きく誇張して話す人もいれば、小さく見積もる人もいる。問診だけで診断をつけるのは難しいのではないかと徐々に感じるようになった。

続く。

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大人のADHDについて 私が大人のADHDを診療するようになったわけ⑦

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