デザイナーにおすすめ!AIツール7選(UXデザイン編)
こんにちは!
Sun*デザインチームです。
2023年はChatGPTをはじめ、一気に生成AIを活用したツールが登場した一年になりました。2024年は、さらにAIとの向き合い方を問われる一年になると考えます。そうしたAIの台頭は私たちデザイナーの仕事・働き方を大きく変えることになるでしょう。
そこで今回はデザイン業務に活用できるAIツールを2回に分けてご紹介します。1回目はUXデザイン編を、2回目はUIデザイン・グラフィックデザイン編をお届けします。この記事はUXデザイン編です。
UIデザイン・グラフィックデザイン編は後日公開予定ですのでお楽しみに!
Chat GPT(Open AI): 質問への回答や文章要約など会話型のAIチャットツール
ChatGPTは、高度のAI技術を使い、まるで人間と会話するような感覚で質問に対して回答をしてくれるAIチャットサービスです。アメリカのOpenAI社が提供するサービスで、無料版のGPT-3.5と有料版GPT-4.0を公開しています。質問に対する応答以外にも、文章の要約や添削、情報整理、プログラミング、翻訳、議事録の作成など活用方法はとても幅広いです。GPT-4.0では、上記の機能に加え、画像や音楽、動画の生成も可能になります。
活用方法
普段のデザイン業務でもChatGPTを使うことは多くなってきています。例えば、ChatGPTは論点の洗い出しや数の量産を得意とするため、リサーチフェーズ、インタビュースクリプトの作成、アイデア発散など多くのデザインフェーズで活用できます。冒頭のサービス写真は、表の形式でインタビュースクリプトを作成してもらったものです。生成された内容に対しては、デザイナーの目で判断する必要がありますが、量産されたスクリプトをベースとして考えることができるため、0から作るよりも、作業が効率よく非常に便利です。
Whisper(Open AI): 音声データを認識する文字起こしサービス
Whisperは2022年9月から無料で一般公開されているOpen AIによって開発された文字起こしサービスです。webから得られた68万時間の音声データに基づいてテキスト化されているため、精度の高い音声認識機能をもっています。約100の言語の認識が可能で、各地域のイントネーションや専門用語にも対応しています。
活用方法
Whisperをユーザーインタビューの文字起こしに活用することで、インタビュー内容の要約、分析を効率化させることができるのではないでしょうか。正確な抽出により、抜け漏れを無くし、議事録の作成や振り返りに活用できます。
Browse AI: あらゆるウェブサイトをスクレイピングできるツール
Browse AIは、ウェブサイトから自動でデータを取得し、変更をモニタリングできるウェブスクレイピングツールです。取得されたデータはスプレッドシートの形で抽出するだけでなく、データの変更があった場合に通知を受け取ることができます。
ウェブスクレイピングは本来プログラミングの知識が必要で、多くの人にとっては難易度の高い技術でした。しかしBrowseAIを用いることで、誰でもノーコードでスクレイピングが可能になりました。ウェブサイトの中で必要な情報を選択するだけで、Browse AIがその動作を覚えて、同じような情報を自動的に取得します。
活用方法
BrowseAIはビジネスの場で活用されることが多いですが、デザイン業務においても活用が期待できます。例えば、競合サイトの情報を効率よく収集することで競合の分析に活用できたり、サイトの変更を自動で検出し、通知する機能があるため、いち早く新しいトレンドを知ることができます。
Wiseone: 情報の新しい探索方法を提供するAIブラウザ拡張機能
Wiseoneは2023年10月、WISEONE Ltdによりリリースされた、情報探索の新しい方法を提供するブラウザ拡張機能です。オンライン記事を読んでいるときに使える5つの機能があります。
Focus: 読んでいる記事の単語を検索する機能
Cross-check: 同じ主題に関する信頼できる情報源をリストアップする機能Ask anything: 読んでいるウェブページ上、またはネットワーク全体を対象として質問できるチャット機能
Summarize: ウェブサイトの内容を要約し、抑えるべきポイントを教えてくれる機能
Explore: 検索している主題をさらに深く探求できる他の記事をリストアップする機能
活用方法
価値探索のためのデスクリサーチや、初期フェーズで業界理解を深めたいときに活用できそうです。価値探索の場面では、1つの類似サービスを見つければ他の関連するサービスを紹介してくれるため、効率よく事例調査ができます。業界理解を深めたいときは、難しい専門単語が出てきてもすぐに解説を見れますし、Summarize機能を使えば抑えるべきポイントだけを抽出することもできます。Wiseoneを活用してリサーチを効率化し、より「考える」ことに多くの時間を割けるようになります。
Synthetic Users: 入力したアイデアを基に、架空のペルソナを生成しインタビュー結果を出力するサービス
Synthetic Usersは入力したアイデアを基に、架空のペルソナを生成しインタビュー結果を出力してくれるサービスです。入力したアイデアの特徴や障壁、ターゲットの好みや習慣などがわかり、アイデアやコンセプトを検証することができます。効率的にユーザーリサーチを行い、素早くインサイトを得て、より良い意思決定に活かすことができます。
活用方法
ユーザーリサーチに十分な時間を取れない際に活用することで、短時間でユーザーのニーズに即したプロダクトを作ることができます。ユーザーの特徴を知ることで必要十分な機能を検討したり、障壁を知ることで対応策や競合優位性を考えたりと、ユーザーを中心としてアイデアをブラッシュアップできそうです。
Value Discovery: アイデアを入力し、価値やペルソナの仮説を自動生成するツール
Value Discoveryは、思いついたアイデアを入力することで問題解決の仮説を自動生成してくれるツールです。また、仮説生成の元となるアイデアは入力した内容に対してAIが評価、アドバイスをくれるのでより具体的なアイデアを元にした仮説の生成が行えます。
仮説生成は、アイデアを元にバリューキャンバスという考えに基づいて5つの仮説を自動生成します。
ペルソナ
状況
障壁
達成したい成果
代替手段
Value Discoveryでは仮説生成において、ユーザーの期待にフォーカスした顧客中心の仮説が生成されるのでユーザー体験の向上に役立ちます。
活用方法
仮説とAIからの評価が得られることで、デザイナーが考案したアイデアが課題解決につながっているか把握でき、具体と抽象を行き来したサービス設計を行えます。AIがアイデアや想定顧客を推定した仮説を生成し、アイデアの障壁ポイントや代替手段なども提案してくれるので、具体的なアイデアの言語化にも活用できます。また、仮説を視覚化し、共有しやすい形にまとめてくれるためチームでの共通理解をスムーズにし、仮説検証を行うことに役立ちます。製品開発プロセスの可能性を広げ、アイデア〜仮説までの流れを効率化できます。
Maze: ユーザーテストの設計、実施、結果の集計を行えるサービス
Mazeは2018年創業のMaze.Design Ltdによる、ユーザーテストを簡単に行えるサービスです。Mazeにプロトタイプを読み込み、質問やタスクを設定するとURLが発行されます。そのURLをテスターに共有すれば、オンライン上でユーザーテストを実施することができます。(テスターは有料で雇うこともできますが、残念ながら日本語は未対応です…)さらにテスト結果はAIにより分析され、レポートが出力されます。レポートでは「ユーザビリティスコア・画面ごとの滞在時間・ヒートマップ」などが確認できます。
活用方法
Mazeを活用すれば簡単にユーザーテストの作成〜実施〜分析ができ、価値・仮説の検証を効率的に行えます。サービス上の体験やUIの表現がユーザーにとって適切かがわかるため、より良いプロダクトづくりの助けになります。Mazeを活用してプロダクトにユーザーの声を積極的に取り入れ、ユーザー体験の向上・プロダクトの成長を加速させていきたいですね。
AI*deationのご紹介
皆さんが知っている、既に使っているサービスはどのくらいありましたか?
Sun*では上記でご紹介したサービスを活用したデザインプロセスの探究だけでなく、Sun*独自でGenerative AI(生成AI)を活用した新規事業のアイディエーション支援サービス「AI*deation」(アイディエーション)の提供も開始しています。
AI*deationについては、こちらの記事をご覧ください。
https://note.com/sunasterisk/n/n658168de2e50
おわりに
生成AIを使ったツールの登場により、デザイナーの仕事はどんどん奪われていくのでは?という不安を抱くこともあります。しかし生成AIを使ったデザインツールを調べたり、実際に業務の中で活用してみると、私たちデザイナーのアイデアをより豊かにしてくれたり、プロダクトの検討・検証のサイクルを早め、より注力すべきユーザー体験の設計を可能にしてくれるツールであると感じるばかりです。
AIのメリット、デメリットを理解した上で、デザイナーの価値をより発揮できるような活用方法を続けて考えていきたいと思います。
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