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ベンチャーのスピード感を5倍にする人材研修

以前イノーバ経営顧問をしていただいていた吉田さん。吉田さんから指導をいただいてから、僕の体感値では会社が5倍速ぐらいのスピードで動いたように思った。恐らく吉田さんの指導によって、「戦略立案」や「戦略実行」というスキルが格段に上がったからだと思う。

今までは主に、部長職以上の合宿や指導などをお願いしていたが、「是非、他の社員にも吉田さんの指導を受けてもらいたい」と考え、今回は全社員対象の研修(※)をお願いした。そしてこの研修では、僕自身もかなり学びや気付きが多かったので、ブログという場で共有したいと思う。

※研修内容について、一部ネタバレ?の内容が含まれております。もし、これから吉田さんの研修の受講を予定されている方は、受講後に読まれた方がいいかもしれません。

■ベンチャーで働く人は悩みが多い?

ベンチャー企業で働いている人というのは、色々な思いを抱えていることが多い。たまたま縁があってベンチャーで働いている人もいれば、「大企業で働くより面白そうだったから」とか、「自分のやりたことを実現できそうだったから」など、理由は人によってさまざまだ。

しかし現実では、「ベンチャー企業で働く」ということは、想像している以上に厳しい戦いを強いられる。生き残っていくために、全員が自分の力を最大限発揮することが常に求められるし、やりがいはあるが、その分責任も重い。そんな風に日々の業務に忙しく追われていると、ワークライフバランスも崩れ、「自分は本当に大事なことを、考えられているだろうか?」と、不安に陥りやすくなってしまう。

でもそこで悩んだまま、止まってしまうのは非常にもったいない。ただ自分の中で悩むのではなく、ベンチャーで働くことの意味や、チームとして一致団結するために必要なこと、自分はこれからどうなっていきたいのか。ベンチャーで働いた経験を100%活かすには、どんなマインドを持てば良いのか。こういった点を考えた方が、絶対に有意義だし自分のためにもなる。これが、今回の研修の基本的な内容だ。

その中でも印象的だったのが、ケーススタディ。吉田さんの考えるケーススタディは非常にリアルで、「こういうこと、あるよね!」と誰もが納得してしまうような内容なのだ。例えばこちら。

例では音楽サークルになっているが、実はこれ会社に置き換えても全く同じことが言える。

同じ組織に属しながらも、それぞれが事情を抱えているし、また目標に対する情熱やモチベーションもばらばらである、というのはよくある話だ。このケースでは、それぞれが抱える悩みをどう解決していくかを、全員で話し合った。

他にも、登山のケーススタディでは「どのチームが登頂に成功できると思うか」というディスカッションを行った。「モチベーションは高いがスキル・体力が不足しているチーム」や「一人ひとりの能力は高いが、トレーニングを全くしていないチーム」などがあり、どのチームが一番勝つ確率が高いかを、みんなで考えていく。

このように、実際にありそうなケースを基に議論を重ねていくことで、「じゃあチームで戦うってどういうことなの?」「組織が一致団結するには、何が必要なの?」と、自分たちのことに置き換えやすくなるし、自分たちの改善点も見えやすくなるのだ。

■悩みを消す、減少させる3つの考え方

もう1つ紹介したい内容が、「悩みを消す、減少させる考え方」。日々働くなかで、全く自分のキャリアや方向性に悩みを抱えずに過ごしている人は、皆無に近いだろう。みんな、何かしら悩みを抱えているはずだ。そんな時に、是非参考にして欲しいのが、この方法。実は全部で6つほどあったが、今回はその中でも特に良いと思った3つを紹介する。

1.三叉路(さんさろ)理論「ブレーキを踏まない覚悟」

人生の中には、何度も選択の岐路に立たされる時が来る。例えば、「仕事を辞めるか辞めないか」や「転職するか、しないか」など。その時に、一度選んだあとにも「あっちの選択肢の方がよかったんじゃないか」と思い悩む人は、どの道を選んでも遠くまで進むことができない。同じ岐路にもう一度戻ったり、少し違う方向に進んで、また戻ったりを繰り返す(下記、青矢印)。

一方で、「いったん選んだから進んでみよう」とブレーキを踏まない覚悟を決められる人は、その道に突き進むことができる。進むとまた岐路に遭遇するが、そこでも突き進むと、さらに遠くへ行ける(下記、赤矢印)。

同じところで迷い続けても、大きく進むことはできない。だから、一度選択したあとは突き進んでしまった方がいい。これが、三叉路理論だ。

では、どのように選択をすれば、迷わず突き進めるのだろうか。僕は「自分の中で軸を持つこと」が非常に重要だと思う。特に今は、インターネットで横のつながりがある時代。便利に見えるSNSでのつながりは、実は個人のキャリアにとって、マイナスの影響を与えている、と思っている。

自分の軸があった上で、情報が入ってくれば有効に活用できる場合もあるだろう。しかし、「軸がないのに情報だけ入ってくる」という状態だと、結局モヤモヤばかりが増えて、決められなくなってしまう。そして残念ながら、この「自分の中に軸を持つ方法」は会社や学校では教えてくれないのだ。個人が自分の価値観にもとづいて、「本当になりたい姿、やりたいことは何か」ということを突き詰めて、考えていくしかない。

決して楽な作業ではないが、自分の選んだ方向に迷わず突き進んでいくためには、この「軸作り」が非常に重要なのだ。

2.「他責にしない」は100%

何か失敗が起きた時に、つい「会社のせい」にしてしまったことはないだろうか。失敗を会社や上司のせいだと考えて、他責にすることは、とても楽なこと。誰かのせいにしていれば、自分を振り返らなくてもいい。しかし、それでは1つも自分は成長できない。起きたことは全て、「自分のせい」だと考える。「他責にしないは100%」というのは、こういう意味。

もちろん、自分では直接影響を与えられないこともあるが、失敗をいったん自分のせいとして考えてみる。この癖が身につけば、他責のマイナス面から脱け出すことができるし、常に自分の改善点を探すようになる。特に、大企業と比べて少人数であるベンチャー企業では、この考え方はとても重要だ。ベンチャー企業の経営者はみんな間違いなく、他責より自責の人間を採用したい、と思うだろう。

今回の研修でも、この「自責の考え方」については、多くの議論が交わされた。大切なのは、「他責にしないは100%」という言葉の意味や、なぜそれが大事なのかを、みんなが納得できるまで話し合うこと。お互いの考えをすり合わせることが、組織力につながっていくのだと思う。

3.未来の正体「選択できること」

私たちの身の回りで起きる出来事や、悩みの原因の中には「コントロールできること」と「コントロールできないこと」がある。「人事を尽くして天命を待つ」という言葉があるように、時には「やれるだけの事を全部やりきったら、あとは天に任せる」という発想も必要だ。

未来の正体を「選択できること」と捉えるのも同じ考え方。例えば、将来の日本の経済状況や景気などは、自分のキャリアや仕事にも影響を及ぼすことではあるが、自分でコントロールできることではない。そのような、自分ではどうすることもできない事を思い悩むのではなく、大切なのは「今、自分がベストを尽くしているか」なのだ。

この考え方は、「7つの習慣 人格主義の回復」(著:スティーブン・R・コヴィー https://www.amazon.co.jp/dp/4863940246 )の中にも「影響の輪」という概念で紹介されている。

(参考画像:http://www.itmedia.co.jp/bizid/articles/0907/09/news012.html)

未来を思い悩む前にまず、今ベストを尽くして、やれることを全部やりきろう。そして、コントロールできないことは、思い悩まない。こうやって割り切って考えると、不安で動けない状態から抜け出し、新しい行動を起こせるはずだ。

■あなたは何のために働いているのだろうか?

僕は20代の頃、仕事に対して本当に悩みが多かった。実家が商売をしていたので、朝5時に市場に仕入れに行って、お客さんと対話をしながら商品の売買をしてというのは、商売の手触り感満載だった。(当時は手伝いが嫌でたまらなかったが(苦笑))一方、大企業に入ってみると、部署間の調整やコピー取りや書類作りなど地道な仕事がすごく多く、手触り感が足りなかった。だから、働くうちに「自分は何をしているんだろう?社会に何の価値を与えているんだろう?」と思い悩むようになってしまったのだ。

そんな時、すごく救われたのが、田坂広志さんの「なぜ、働くのか 生死を見据えた『仕事の思想』」(https://www.amazon.co.jp/dp/B0079A70QQ)という本だった。この本に書いてあったことは、働くことの根幹にあるのは「意識・想い・人生哲学」だということ。つまり使命を自覚して、志を立てることが、働くことなのだ。

今、20代の人たちが自分のキャリアや将来に悩む気持ちに非常に共感できるのも、自分自身が同じ経験をしてきたから。20代(特に後半)はスキルを身に付けたい、社会で戦えるようになりたいという焦りとか、自分に対する根拠のない自信とか、色々なものが混じり合っていて、不安も大きくなる。そんな時に大事なのが、「意識・想い・人生哲学」。

仕事を自己成長の場として、キャリアを充実させるためには、自分を突き動かす使命感や情熱を、早く見つけること。仕事を「自分の時間の切り売り」として考えるのか。もしくは、「やりがいを感じられる、幸せの源泉」と考えられるか。その違いは、ここにある。

だから僕は次のように思う。小金を稼ぐために起業するくらいなら、本当に起業して欲しくない。大義や使命がないまま起業をしても、絶対に成功はできない。なぜなら、経営はそんなに甘くないからだ。ベンチャーの経営というのは、自分の時間は限りなく費やされるし、ものすごいストレスを抱える、厳しい道。そんなのやるくらいだったら、サラリーマンの方がよっぽどいいと思っている。それでも僕がこの道を進むのは、「絶対に社会を変えてみせる」という使命感があるからだ。

起業してからも、決して道のりは順風満帆ではなかった。そんな時に支えになった言葉が稲盛さんの「動機善なりや、私心なかりしか」という言葉。「あなたの動機は善ですか。そこに自分の欲などの私心はないですか」という意味だ。一番辛かった時もこの言葉を思い出して、「使命を果たすためにやっていれば、絶対に道は開けるはず」と信じて、進んできた。

だから、今悩んでいる人や起業を考えている人も、一度この言葉で自分の働く意味や、使命を考えてみて欲しい。私心のない動機や使命が、そこにあるだろうか。

■今回の研修で改めて感じた、ベンチャー企業の強み

僕は、人材の育成や社員のキャリアを非常に重視しているので、社員には最大限成長をして欲しいと思っているし、自分自身がその成長を促進していく存在でありたいと思っている。

なぜなら、大企業と比べると資金も人もいない、ベンチャー企業が戦うには、一人ひとりが使命に対する強い想いを持ち、最大限自分の持っている力を発揮こと。これしか、道はないからだ。

今回の研修で、改めてチームで戦うことの大切さや難しさ、個人のマインドについて、みんなで話し合い、考えることができた。きっとこの効果が、至るところで表れてくるだろう。これからもイノーバは組織としての団結力や、スピード感を突き詰めていきたいと思う。

※吉田さんの研修は丸1日行われたのですが、全体のストーリー展開や、全員の思考が常に止まらない仕掛けにより、社員が全く飽きることなく主体的に参加し、多くの気づきが得れるものでした。今回取り上げた内容は、その一部分ですので、ぜひ機会があればその全体を体験されることをお勧めします。

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