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【特性】大企業型人材とベンチャー型人材の決定的な違いとは?

あなたは自分の仕事内容に、満足しているだろうか?

2016年度に厚生労働省が行った調査※では、正社員雇用者のうち約4割が、今の仕事の内容に満足していない、という結果だった。しかし、自分の適性や思考モデルを知ることで、自分に合った企業や仕事を見つけることは十分に可能だ。ベンチャーと大企業のどちらに向いているのか。どんな人材が今後、市場で必要とされているのか。今回の記事を読んで、是非考えてもらいたい。

■ベンチャー型人材とは何か?

僕は、今後の採用市場において価値が高まっていくのはベンチャー型人材だと考えている。では、ベンチャー型人材とは一体、どんな人材なのか。

まず、代表的な思考モデルの違いについて考えてみよう。以前、イノーバブログにも取り上げたが、思考モデルの違いについて、非常に興味深い論文があるので、紹介させていただく。

バージニア大学ダーデン経営大学院で起業論を研究しているサラスヴァシー教授は、長年に渡り起業家についての調査を積み重ねてきた。そこで、彼女はMBAの思考法と起業家の思考法に大きな違いがあることを発見した。

MBA的な思考モデルとは、以下のような方法である。

  1. 初めに何か具体的な目標を設定し、

  2. それを達成するために必要な手段は何か?と考え、

  3. 選択肢をスピード、コスト、インパクトなどで評価して、

  4. 理論的にベストな選択肢を探す

一方、起業家的な思考モデルとは

  1. 特に固定的な目標は設定しない。

  2. 自分たちの資産や能力などの制約条件に応じてビジネスを展開する。

  3. 創業メンバーや関係者の間でのディスカッションやブレインストーミングを行い、

  4. 新しく浮かんで来たビジネスアイディアなどに即応して、目標を変えて行く。

ここでのMBAの思考モデルは、いわゆる大企業的思考モデルといえるだろう。僕もMBAを取得していたので最初は、計画を立てて、ビジネスモデルを考え、順序立ててやるのが重要だと思っていた。しかし、起業して2年目ぐらいの時に、アメリカ人投資家から「だからMBAはダメなんだ」と怒られた。

「MBAは地図をくれるだけだ。起業に必要なのは情熱なんだ」

この言葉が、心に突き刺ささった。

彼は、次のような話しをした。ビジネスプランはほぼ100%うまく行かない。途中で試行錯誤して修正していくものなんだ。お前がもし時計がものすごく大好きで、日本で売られていない輸入時計を日本で売りたいとする。その夢を実現するために、時計の小売店を訪問する。メーカーを訪問する。もし、情熱があれば、話を聞いてくれた時計屋のおやじさんは、共感してくれて、情報を教えてくれたり、人を紹介してくれたりする。そうやってビジネスを切り開いていくものなんだよ、と。

僕の場合は、起業のアイディアをいくつか試したけれども、いずれも上手くいかなくて、もうそろそろ後がない。次は最後のチャンスだと思った時に、「コンテンツマーケティング」に情熱を感じている、という事に気付く事ができた。その後の仲間集め、資金調達、顧客獲得で、どれだけ情熱が助けてくれた事か。

ベンチャー社長にとって、MBA的なロジカルシンキングやビジネスプランニングは必要だけれども、それだけでは十分ではない。むしろ、初期の段階では、周囲を巻き込む情熱と、とにかく考える前に体を動かす、人に会いに行くといった圧倒的な行動力が重要になるのだ。

では、ここで大企業とベンチャーの違いを整理してみよう。

ベンチャー企業において、トライ&エラーや仮説検証の繰り返しは非常に重要だ。

僕は、起業というのは、石油を掘り当てるのに似ていると思う。石油がどこに埋まっているかは分からない。でも、「大体この辺りかな」という範囲を絞り込む。その後はひたすらトライ&エラーをこなすのみだ。

ベンチャー企業の社長はこのトライ&エラーを非常に重視している。計画を立てて目標から逆引きする、ということは実はあまりない。何故なら、計画を立てたところで実行できないからだ。特に創業期では、リソースとなる、ヒトやカネが圧倒的に少ないし、そもそも計画に基づいたお客さんのニーズがあるのかさえ、不確かである。計画を立てている暇があったら、仮説検証をした方が、得られるものはずっと多い。

そして、ベンチャー企業での採用基準でよく聞かれる、ベンチャーマインドという言葉がある。

【ベンチャーマインド】

1.手を動かす

2.他人のせいにしない

3.今はダメでも未来を信じる

トライ&エラーのプロセスを高速で回せること。自分の情熱に基いて、新しいものを生み出す力を持っていること。ベンチャー型人材とは、このようなベンチャーマインドを持ち、将来の可能性を信じて、行動できる人材のことである。

さて、あなたはどっちだろうか?大企業で、会社のリソースを使って、世の中を動かす大きな仕事がしたいタイプか?それとも、小さな組織でスピード感をもって、ゼロからイチを生み出すやりがいを感じたいタイプなのか?

■なぜ今、ベンチャー人材が求められるのか?

そして、僕は今、ベンチャー出身人材の需要が高まっている、と感じている。その背景には、大企業がベンチャー企業との業務提携などに、積極的に取り組む動きがあるからだ。コーポレートベンチャーキャピタルという形でベンチャー起業に投資したり、オープン・イノベーションという大企業とベンチャーでの共同研究などが良い例だ。僕自身が参加した例では、モーニングピッチという大企業とベンチャー企業の事業提携を目的にしたイベントなども活発に行われている。このようなことは、少し前では考えられなかったことである。

このような動きの高まりは、大企業の経営層が「新規事業を生み出さなければ」という強い危機感を抱いているからだろう。大企業側がベンチャー特有の強みを自社に取り入れたいと考えている、ということだ。故に、ベンチャー企業に在籍し、新規事業の立ち上げなどを経験し、生み出す力を備えた人材の市場価値は今後、一層高まると感じている。

ベンチャー型人材の市場価値の高さはシリコンバレーでも同様だ。シリコンバレーでは数多くのベンチャー企業が誕生する。その熾烈な生存競争を生き残った“勝ち組ベンチャー”が、人材を採用する時に、ベンチャー経験者やベンチャー型人材を高く評価する傾向がある。そのような人材は、過去の経験を活かして、ベンチャーの中では経営層などで活躍できるだろう。また、ベンチャーで鍛えた「新しいものを生み出す力」を活かせば、長年続いている中小企業でも重宝されるはずだ。

■自分が、大企業型人材か、ベンチャー型人材かを知ることから始めよう

読者の皆さんは自分をふり返ってみて、どうだろう?大企業型か、ベンチャー型か。どちらも良いも悪いも無い。向き不向き、好き嫌いの問題だ。

僕の場合、新卒で入社した富士通で経験した、大企業特有の社内調整などはあまり苦ではなかった。ただ、企業規模が非常に大きい為、お客さんの顔が直接見えなかったり、ものづくりの現場が見えないことに違和感を感じていた。完全に体系化されている大規模組織の一部に配属されていたので、現場やお客さんとの距離の遠さは仕方がない。だが、それがとても不満だったのだ。今思うと、僕はベンチャー向きの人間だった。

最近は、ベンチャーブームだから、意識高い系の若者で、とにかくベンチャーに行きたい、自分で起業したいという人も多い。また、一方で、大企業で働く不満から、とにかく違う環境に行きたい考える人も居る。

でも、いきなり行動する前に、自分の強みや適性を把握するのはどうだろうか?あなたの能力を最大限に活かせるフィールドはどこだろうか?

<参考調査>

※平成26年就業形態の多様化に関する総合実態調査の概況(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keitai/14/dl/02-03.pdf

<参考記事>

・過去の記事 【起業家にはロジックよりも突破力が重要】

・イノーバブログ MBA思考 vs.起業家思考:米国ヴァージニア大学教授の研究の紹介
https://innova-jp.com/mba-entreprenuer/    


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