横浜中華街の、ちょっと怪しい占いに行ってみた。
煌びやかな灯に、どこからか漂うほんのり甘い香り。コロナで閑散としているのに、不思議と賑やかな雰囲気はそのままに。人がいなくなってもなお、街は呼吸をしている。私はその日、横浜中華街の、とある占いのお店に訪れていた。
友人と二人、来てみたはいいものの、途方もない高額請求が来たらどうしようと部屋の隅で震えていたわたしたちの前に、程なくして占い師さんがやってきた。
結果からいうと、占いは大当たりだった。タロットや占星術を掛け合わせて、バンバンと的確に当てていく。高校時代の友人と占ってもらったのだが、彼女の元彼氏ズの傾向までズバリだったのには驚いた。最初は、お店の雰囲気も相まって、なんとなく訝しんでいたわたしたちも、終了時間の間際にはすっかり占いにハマっていた。
「占い師さんって自分の意中の相手がどう思ってるか、占ったりするんですか」
帰り際、席を立つときに聞いた言葉。時と場合によるかな、あ、一応誕生日はリサーチしとくけど!と茶目っ気たっぷりに答えてくれた占い師さんを、わたしは勇者だと思った。仮にわたしが相手の気持ちを知る術を持っていたとしても、わたしはおそらく相手を占おうとは思わない。
相手の気持ちを知るのが、怖いから。自分が好かれていなかったときに立ち直る自信がない。
もちろん占いの結果って、本人の努力とか環境で変わるんだろうけれど、それでも怖いものは怖い。それでも反対に、占いで知ることができるのに調べないっていうのもなんか落ち着かなさそうで参ってしまいそうだ。
未来を見ることができる力が、世の中にほんとうにあるとしたら。わたしはその術を持たずにこの世に生まれて、幸せなのかもしれない。
先日Bad Cats Weeklyさんで書かせて頂いたエッセイにも取り上げた、映画「ビッグフィッシュ」では自分の死に際を予知して教えてくれる魔女が登場するのだけれど、そんなのとんでもない。知ってしまったら、では次はそれはいつなのかと鬱々としてしまう。目をつぶって人生を進んでいるからこそ、楽しめるのだ。全部が見えていたら、前になんか一歩も進めやしない。
どうやら、占いによると、わたしは今年は種まきの年らしい。この収穫が3年後にやってくるようなので、今は仕事とやりたいことのバランスを取る時期であると指摘された。今が種まきの時期ならば、育つ植物にはキレイな花をつけてほしい。そのために、育て方をしっかり勉強せねば。
最近の自分は、少し変化を求めてるんじゃないかと思う。それは、もう少し色のついたお洋服を着てみようとか(わたしは基本黒い服しか着ない)、今まで見なかったジャンルの映画を見てみようとか、それはそれは小さな、目を凝らしていないと見逃してしまいそうなくらいの変化だけれど、確かにそこに在る。きっと、自分に変化を受け入れるだけの余裕が生まれたからで、素直に喜んでいいことなんだけれど、まだまだ実感が薄い。
でも、あえてキッチキチに詰めていた箱庭の鍵が開いた音はちゃんと聞こえた。
これが「うお~!変化したぞ!」って堂々と胸を張って言えるようになるのが、3年後なのかもしれない。24歳になったらモテ期も来ちゃうって言ったの忘れてないので、とっても期待してるよ、占い師さん(笑)
冷たい空気の向こうに薄っすらと春を感じますね。
2021.02.08
すなくじら
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