ヤツメウナギ|日記|2022/3/25
三月二十五日(金)
午前六時に目覚める。卒業式の疲れからか、体がだるい。疲れていてもこんな早い時間に目覚めてしまう自分を憎む。それから何度も寝たり起きたりを繰り返し、午前八時ぐらいから活動を始める。
朝食はナポリタン。午前中、昨日の卒業式についての日記を書く。釣り上げた魚をすぐに締めなければならないのと同じで、日記もやはりその日のうちに書かなければならないなと思った。睡眠を挟むことで記憶の鮮度がガクンと落ちてしまう。そのため遅々として筆が進まず、ダラダラと書くことに。
午後。日記を書き上げると、食欲と睡眠欲が同時に襲ってくる。睡眠欲の方に分があり、三時間ほど昼寝をする。暖房をつけっぱなしにしながら寝てしまったので悪夢を見た。無理やりサイズの小さい服を着せられ、首が絞まる夢。本当に死ぬかと思った。悪夢を見てる時の自分を録画して見てみたい。窒息する夢を見ている時、寝ながら自分で息を止めて悶え苦しんでいるのだろうか?
昼寝から目覚めると、深夜から釣りに行っていた父が帰ってきた。釣果は上々らしい。かなり大きいサイズのチヌとハネを見せてくれた。あまりにも大きいので、台所で捌くのに手こずっていた。話を聞いていると、またすぐに釣りに出かけるそう。釣り上げた時に出るドーパミンが癖になってやめられない模様。なんだかパチンコみたい。
晩飯は家族でかっぱ寿司。僕の卒業祝いだ。えんがわ、サーモン、鉄火巻き、鰹、はまち、アサリの味噌汁、鶏の唐揚げ、チョコレートケーキを食べた。正直僕よりも父の方が張り切って食べていた。高級皿の鰻にも手を出していたし、デザートにパフェとプリンを食べていた。
帰宅後は自室で村上春樹「シェエラザード」を読んだ。終始不穏な感じを漂わせたまま何が起こるわけでもない。しかし泥のようなものが脳裏にべっとりとこべりついてくるような読後感。作中、女が語る「ヤツメウナギ」や「鱒」は何を意味しているのか。女の語る物語は現実なのか、夢想なのか、はたまたどちらもなのか。こういうことを考えている時間が何よりも楽しく、何度も読み返したくなる。こういった体験を提供してくれる所が村上春樹を好きな理由の一つでもある。
明日、濱口竜介「ドライヴ・マイ・カー」を観に行くことになりそうなので、寝るまでもう少し読み込んでみようかなと思う。映画を観るのは2回目だけどとても楽しみだ。