詩|つばめ
つばめが颯爽ととんでいく
ひらりふわりと弧を描き
かしましい巣の方へ戻ってく
ぼくらはきっとぴいぴいと
鳴いてるだけのひよどりだ
口をあけて待っているだけ
家族から友から愛をもらい
社会から仕事と金をもらい
ネットから善意と悪意をもらい
ぬくぬくと巣の中で生きているのだ
空を知らなければ飛べなかったと
嘆くこともないだろう
飛んだら飛んだでリスクがあって
コスパが悪いと思うだろう
でもいつかは飛ぶ日がくる
否が応でもやってくる
それは死だという人もいて
それは再生だという人もいて
でもきっと本当は
ただ空を飛んだというだけなんだ
巣に戻ってどんなに言葉を尽くしても
空を飛んだとしか言えないし
きっと伝わらないんだろう
ぼくならそこであきらめて
ぴいぴいとひよどりにもどったふりをする
もしかして実はみんな
飛んだことあったりするのかな