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【大会(前編)】第3回 球磨川リバイバルトレイル・球磨川コース/約167km D +9400m(2024/11/16-17)

初めての100マイルトレイルレース!


基本情報

開催日: 2024年11月16-17日
走行エリア:水上村-九州脊梁エリア-八代
距離:約166km
標高差:YAMAP実測 +10730m -11050m
            (COROS実測 170.92km D+8623m)
開始時間: 朝5時00分
制限時間: 41時間

水上村・五木村・球磨村・山江村・八代のトレイル・ロードを辿って球磨川の源流から八代までを繋ぐワンウェイコース。道中では普段アクセスが難しい九州脊梁エリアや、いまだ復旧が進まない災害跡の残る区間など様々な場所を経由する。

コースは
①102km/D+5800mの川辺川コース(制限時間30h)
②167km/9400mの球磨川コース(制限時間41h)

の2種類。球磨川コースは水上村からスタートし、川辺川コースに脊梁エリアを足したものとなる。A3以降は通る道は同じ。ただスタート時間が7時間違うためコースの印象は全く違うと思われる。

球磨川コースの累積標高は何で測っても8500mを下ることはないハードなレイアウトであり、制限時間も割と厳しいタフなコース。
自身初の100マイルレース、かつ今年の総決算として挑み甲斐があったこのレース。前日から振り返っていく。

※なおすでに別で書いた文を一部改訂、補足して使うことにする。コースの詳細について書いているわけではないこら、レースの参考にはならないと思います…。

※長いので前編・後編に分けます。


表記

エイド:A
ウォーターステーション:W

前日

水上村まで

前泊は専用サイトから指定先のどこかに申し込む必要がある。球磨川コースだと水上村。熊本・宮崎のほぼ県境に位置しており、交通手段がかなり限られて普段でもわりとアクセスが大変なところにある(特に阿蘇方面からの場合は顕著)
この大会では送迎用の予約バスがあるのでそれに乗り、だいたい2時間切るくらいで到着した。  

バスに揺られて水上村。体育館
参加者は少なめなので受付は広々
ドロップバッグを凌ぐ荷物量なので、バッグインバッグで対応した

17時くらいなので既に辺りは暗い。少し歩いて受付、参加賞の受け取り。さすが九州の100マイルレースということで知り合いが多い。明日はがんばりますかー、と予約していた宿へ向かう。


風情がありまくる
修学旅行みたいなテンションで楽しく過ごせた
素朴だけどウマイ!基本的には自家調達とのこと。
ハンバーグは鹿肉!
漬物と新米もたまらない。

宿は良い感じで、素朴ながら美味しい晩ごはんとちょいヌルヌルのアルカリ温泉を楽しんだ。部屋では4人相部屋となって、全員やることは同じなので色々なことが実にスムーズに進行する。
この大会はドロップバッグが置けるA3が67kmと早いうちにくるため、補給食を含め装備は最後まで難儀した。しかも直前1週間は天気予報がコロコロ変わっており、万一の荒天を考慮し道具を多めに持っていった結果合計80L分くらいはあったのではないかな。

当日の天気予報を最終確認してドロップバッグの不用品を調整しつつ、事前に分けていた食料なども再度実際の流れをイメージして配置しなおした。

予報によるとベストコンディションと言えるような天候。この時期の脊梁は1週間ズレるだけで一気に冷え込むらしく寒さ対策は重要視していた。結果的には最低気温一桁台になることはなく、ほぼ半袖で問題なかった(本稿執筆時の11/19時点で確認したところ、大会1週間後の11/24は1200m地点が最低気温3℃になっていた。助かった…)

同室の人たちと楽しく雑談しながら準備して、あらかた終わった後は20時に消灯。しかし環境がいつもと違うため眠りは浅く寝付けない。たぶん3時間寝れたかどうか。だけど時計は「快眠6時間記録」。嘘つき。


開始前

朝3時頃に起床。眠い。着替えと手荷物預けのことを考えるとこの辺りの時間になる。
まずあらかじめ持参していた朝食。そこから着替えつつ、レース用の準備。プロテクトJ1はしっかり塗り、普段は使わないゴンテックスの膝用テーピングや少し不安のあるハムストリングスにもしっかり貼る。
終わったら荷物を絞り込み、レース前の補給、水の準備…など割と思ったより時間がかかった。

手荷物預けとスタート位置が異なり、スタート位置までは歩いて1分でいけたので先に預けて一旦宿に戻る。すこしだけゆっくりできた。朝食としておにぎり2つが貰えるけど、せいぜい250kcal程度なので案内に記載があった通り持参したほうが良い。

整えた後、4時半に再度スタート位置へ。
まだ暗く、夜間光源がほとんどない水上村においてゲートの眩い光は異彩を放っている。知り合いを探して一声かけていく。
みなさん、がんばりましょう。

ゲートへ並ぶ時間になった。不思議と緊張はしていないし、思ったより頭もさえている。最後尾から少しだけ前に進んだところに位置する。自分はどうやら後半型らしく、ロングレースでは無理して突っ込まないほうがパフォーマンスを発揮できることが今年判明したからだ。ゆるりと進もう。

あらかじめインストールしたコースGPXにより時計のナビを起動しようと思ったけど、電池消費が加速され40時間持たないことに直前で気づいたので計測のみ使用(USB持ってきてなかった)
Apex2Proの電池100%でも37時間くらいになるらしい。まぁYAMAPがあるので問題はない。

さぁいよいよ

朝5時、ついに号砲。
球磨川を下っていくように、熊本の奥深い山間部から村々を辿り街へ向かう、およそ170kmの長い旅が始まった。


~W1 不土野峠(12km)

最初はロードの登りが続き、結構長い登り林道につながり、そこそこな標高をいきなり稼ぐことになる。最高点からすぐに稼いだぶんを降っていく。このとき標高図を見直して、これはタフな展開になるぞ…と実感がわいた。

ペース自体はゆっくり。橘湾岸173kmの結果を参照し可能な限りイージーゾーンの心拍130程度の巡航を意識していたけど、実際はトレイルの多いこの大会だと遅すぎたので有酸素ゾーンの上限150までに修正した。ゆっくりだから話しながらでも楽に進める。

水上村のトレイルは滝があったり走りやすかったりでランするのに適している(ちょっと急斜面もある)。暗い時間が長かったのでしっかりとは見れなかったけど、進んでいくうちに明るくなった。

7時半ごろにW1の不土野峠に到着。最初の給水は水のみ。このときにソフトフラスクのバイトバルブが裂け、フラスク倒したらお漏らしする状態になってしまう…(使用には差し支えない)

W1
ちなみに今回はレース中の写真がこういうところしかない

ここまではイントロ。いよいよ林道から先は個人的に未踏の九州脊梁エリアとなり、エイドの400m地点から最高1600mまで細かいアップダウンが連発する尾根を進む。

~A1 旧古屋敷小学校跡 (22km)

今回あまり写真を撮ってないのでこの区間はいまいち思い出せないのだけど、A1までおよそ800mほど登っていく。たしか林道だったような気がする…。

A1には9時到着。最初のエイドなので軽食程度のものが提供される。標高がそこそこあるので停まると少し寒い。シェル着るほどではなかった。
エイドのメニューではうどんスープがめちゃくちゃうまかった。

A1 停滞すると少し冷える

A1からおよそ1時間ほどでW2に到着。しっかりと給水する。ここからA2までがとにかく長く、進めど進めど全然距離が変わらない感覚に陥る。
たしかトレイルだけで18kmくらいあったはずなので、水は最低1.5Lが必要になる区間だ。緊急の水場などは存在しないので暑いときは2L用意したほうがいいと思う。

W2
ここはしっかり水を補充しないとまずいところ


~A2 高塚山登山口(43km)

景色は素敵で、これが脊梁の光景か~!と感動する。原生林にガスがかかってなんとも神秘的。
所々紅葉を見ることができ、テント担いでハイクしたら楽しそうだなと思いながら進む。残念ながらほぼずっとガスっていたので遠方は臨めなかった。まぁ、遮光物がないので直射日光を防いでくれた…と考えるとレース的にはありがたい。懸念の雨はパラパラと降ったけど、1mmくらいなのでレインを着るまでには至らなかった。

すばらしい…!
グループ走みたいになった

およそ3時間半かけて高塚山に到着。最初のわかりやすいピークだ。

1508mとけっこう高い。
400mからのアップ

A2の高塚山登山口に行くには一旦200m近く降り、その後登らなくてはならないピストンで(直登ではなく細々したアップダウンがあるため標高差の実測は300mくらい)、その際に先行していた知り合いの面々とすれ違って声をかける。みなさんとの時間差を計算するとイメージより遅れてることに気づいたけど計画通り。自分の後ろに知り合いはいないような状態だった。この時点では後からの3割に位置していたはず。
OK,まずはじっくり脚を残して進もう。

20分ほど尾根を降ってA2に到着。給食はジビエバーガーや餃子など昼メシ時にありがたいものばかり。なぜスポンサーに弐ノ弐(福岡の焼き餃子店)があるの?と思ってたけど、この餃子がそれだった。そりゃうまいよね。味変に湖池屋のポテチも最高。コーラも合わせてアメリカンだ。補給食はあまり食べてなかったので、エイド飯をがっつり食べて昼飯とする。おにぎりは携行した。
最低300mは登ってまたあそこに行くのか〜と考えつつ少し休み、再び高塚山の分岐地点へ向かう。

A2は美味しいだらけ
ワオ!実際はもっと赤々したいい景色!


~A3 高野体育館(67km)

A2からW3まで降り基調(実は登り満載)という、標高図の圧縮度を変えないと見えない隠しアップダウン地獄が待っている。ゼッケンに標高図が記載されているけどアテにしてはいけない、それが球磨川リバイバルトレイルだ。これは最後までそう。

名残惜しいが脊梁トレイルを後にする。今度また別の機会に行きますよ。以降何度も出てくる足裏に厳しい砂利林道を駆け下る。最初は一気に走れるから楽だな…と思うも、その実は中々厄介で足裏へのダメージがじわじわと蓄積されている。それに明るく景色が見えていたから楽に感じてただけなのだと後に気づかされた。

林道の後は長いロードを下り、W3で水を補給する。11kmでA3に着くらしい。ドロップバッグが待っている。しかし残念ながら時間的にヘッデンを付けずにいくのはギリ無理だったので、少し早いが装着してW3を出る。

ここは水だけを

道中はこれまで比で言えばほぼフラット。坂は歩き、キロ7分半くらいで進んだ。
川沿いを進むと耶馬渓のような景勝地となっており、名を天狗岩というそうだ。同名の岩は各地にあるけど突出してでかい。明るいうちに通れてよかった。川もきれいなところだった。

こんな感じ。耶馬渓そのもの
天狗岩。岩ってレベル超えてない?

集落を超えた先からは少しアップダウンが増えてくる。基本的に街灯はなく、この時点でライトを灯す。真っ暗な道を進むと前の人たちを次第に抜いていくことになった。ルートは旧道なのか、派手に崩落しているところがある。車道がガードレールごと沈下している箇所があり驚いた。
うっかり気づかず進んだら普通に危ない。ライトをちゃんと照らしつつ走った。

A3に到着。時間ほぼぴたり13時間。想定より30分遅い。ただペースがかなりゆっくりだったのでこんなもんか、と以降の進行感覚を得る。
幸いにもA3ではラン仲間が荷物入れ替えのサポートをしてくれたおかげで30分の滞在で済んだ。本当にありがたい。食べ物もがっつり摂り、装備を一新し先へ進む。


装備はザックとシューズも変更し、服も夜間想定のものに着替えた。トレランレースなのに18LのPhantomがパツパツになるほどの荷物量!


残り2ステージ。
今回、ドロップバッグが早いこともあって「これは3ステージレースである」という考えで色々と準備をしてきた。だいたい12時間を1単位としている。そして、これから進むステージ2は最も厳しい区間となった。


後編へ続く

後編


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