灯台下暗しと声変わり
長男の声がすっかり変わっていた。
声変わりはそろそろだと身構えていたけれど、まさかこんなに急に感じる日が来るとは思わなかった。
周りの人から「声変わったね」と言われても「そうかなぁ…?」とピンとこなかった。でもここ最近、「あぁ、確かに」と実感するように。
「あの可愛らしい声はどこにいったんだろう?」
その瞬間、大事な瞬間を見落としてきたのではないかと、胸がぎゅっと締めつけられる。
声変わりといえば、「掠れた声が出始める」と聞いていた。とはいえ長男の場合はそんな前兆はなく、毎日本当に少しずつ少しずつ変わっていって、気づいたときにはしっかり低い声になっていた感じ。
毎日一緒にいると、小さな変化には気づきにくいもの。たとえそうだとしても、毎日一緒にいるのになぁ、とも思う。
先日、友達家族と会ったときのこと。「長女はもうあと4年で大学生だよ」と友人が話していて驚いた。知人の子どもの成長は、より早く感じるものだ。でも羨ましく思うのは、知人の子の場合、身長が伸びたり声変わりが始まったりすると、わが子以上に早く成長に気づけるところかもしれない。
赤ちゃんのころは、一日一日がとても長く感じたのに、気づけばあっという間に12歳。成人まではもう折り返し地点を過ぎている。
慣れない子育てで毎日いっぱいいっぱいだった赤ちゃんの頃に、よく周りから「子育てなんて本当あっという間だよ」なんて言われたことがあった。その度に「どこが…」なんて思っていたけれど、今はその気持ちがよくわかる。
子どもたちが「ねぇ、見てみて!」と無邪気に話しかけてくれたあの頃の記憶。あのたどたどしくて、かわいくて、たまにはゆっくりさせてと鬱陶しく思った声を、もっと動画に残しておけばよかったなぁ。
子どもは成長していくものだとわかっていても、こうした変化に触れるたびに感情が揺れる。一瞬一瞬を見逃したくないなと、そう思う今日この頃です。