見出し画像

Somnambulism: 無魂病殺人事件

このタイトル画像は【眠れないバニー】のようだ。何故かわからないが、夢遊病には両手を差し上げて歩行するモノだ、と思っている人が多いみたいだ。本当の夢遊病者は両手を上げたりしない。ごく普通の態度で、起床している時と変わらない動作となる。それが混乱の理由となり、普通の動作が出来るなら、意識がないなど、馬鹿なこと言うな、となる。コレは大きな誤解だ。


ソムナブリズムとは、無魂病を意味する。無魂病とは、夢遊病の事だ。夢遊病とは、何か。英語で云った方が簡単で解り易いので、訳すると、SLEEPWALKING と言う。

今日は、この病を患い、殺人を犯すも無罪になったケースや訴追されて有罪になったケースなど、アメリカ法の法廷で沢山ある為、コレを取り上げたい。

日本では、判事が多分この戦略法を否とする為、一件として見つからない。だから、アメリカ法に限らせてもらう。

夢遊病は、催眠中に歩き廻る事である。歩き廻るだけでなく、次の日の朝ご飯の料理をし、普通に風呂に入り、車を運転し、セックスもするし、喧嘩も出来るし、ナイフなんて持たせると、見えている様で見えていないから、刃の方を持って後に大怪我してしまうケースが多くある(夢遊病者にはこの怪我の種が多い)が、それでも立派に且つ、無残に、然も、無意識に、相手を殺す事が出来る。

動作的には、夢遊病の患者は、どんな事も出来る事が可能だ。併しながら、一つ欠点があり、周りの人間とコミュニケーションが図れない。夢を見ているので、うなされる様に、喋れないのである。うめくか、うなるだけだ。だから、注意を即す事は出来ない。話しかけても無視されて、乱暴に突き飛ばされる。夢の世界には突き飛ばす際の力の入れ様に相手への考慮はされない。

また、夢遊病者は、やっている事を一切憶えていない。コレは大変都合好い事だ、と警察官がよく嫌味を言っているが、実際、事件が発生し、患者が被疑者の場合、本人には一切夢遊歩行時間の記憶は無くなっている。警察官から見ると、惚けているのかと思わされるものの、実のところ、被疑者は記憶が無いのだ。

夢遊病は、所謂「睡眠不足時の脳の病」の一つであるので、脳の動きが異常となる。従ってその間の記憶は消失する。だが、一つの悪夢として心に残る場合がある。コレは、精神病ではない。

大体、夢遊病の病は、慢性的であり、どんな患者も必ず、以前、幾らかの形で専門医にかかる。同時に、この病気は遺伝する。遺伝の方法は間隔を置くようなことはなく、第一子から末っ子まで親から貰ってしまう病気だ。従って、患者自身が夢遊病の持病を自覚することが多い。カナダの法廷で初めて無魂病による殺人行為を法廷で無実になったロバート・パークスを始め(現在病院で治療している筈)、夢遊病で他人を殺してしまった被疑者が無実になる事も、まま多かった。

証明は医師の証言と脳の検査等の証拠として提出する事が、大変難しい。まずアメリカの法廷に心療内科医師を呼び出し、事前に診療させて、被疑者が実際に夢遊病の申告があった場合は、実際にスペシャリストとして、発症した記録などを、法廷で証言願う必要があるが、夢遊病は、突然発症しないのだ。

アメリカの法廷では、上記のカナダ・オタワ市政府vsロバート・パークス事件の義母の殺人に関して、無罪評決を前に判例として、現実的に病気に罹患した為の症状、と理解する様になった。

が、同時に、これに対する法廷(判事)側が付与する弁護側へのハードルは非常に重く、今までアメリカ側で刑事事件を起こした被疑者が無罪に評決となった試しは一度としてない、と謂う。

私は一度、YouTubeで911を架けて自分の両親が死んでいる通報をしたアレックスと言う少年(当時15歳)の生の通報テープを聴いた事がある。

本人の証言が録音されたテープは、両親が死んでいる事への驚き、彼の半狂乱の叫び、親の死への嘆きと、何で親を殺した凶器を自分が持っているのか、理由が分からない為、混乱している事実と、自分に返り血が架かっている事を自覚してさらに半狂乱になっている約20分の911オペレータとの会話をすべてカバーしていた。アレックスの悲鳴や涙に、オペレータは不憫に思ったのか、非常に優しく彼を取り扱い、まるで彼の死んだ母親の代わりを務めた様だった。

「アレックス、アレックス。聴いて。お願い。息を吸って、吐いて。そうそう。ねぇ、風呂場にお母様は横たわっているの?」
「うん、うん(嗚咽)」
「もう息はしていない?」
「うん、パパも」
「おぉ。二人共も殺されたのね」
「でも、でも、僕はしていないの。なのに、僕は血だらけだし。何故なの?僕がやったの?怖いよ! ママ、パパ、あぁぁぁ、助けて…僕は分からない。今目が覚めたんだ(悲鳴を上げて大泣きが再開)わぁぁぁぁぁ」
オペレータは可哀相で、何も言えなかったようだ。

アレックスは、悪夢に魘されていた、とその前にオペレータに話していた。そして、ハッ、と目が覚めた時、寝床が血だらけで、自分の身体を見下ろしたら、大きな銃(自動小銃)を持っていて、身体が血みどろだった、と言う。

アレックスがオペレータに謂った内容を弁護士が聴いて、すぐに親類に確かめに行ったりしたらしいが、彼自身が何のニュースにもそれ以降出なかった事を考えると、若しかしたら後程、弁護士が好い仕事をしたのかも知れぬ。

この911テープを聴いていると、一種独特な治療されていない無魂病、つまり夢遊病の主要症状が手に取る様に分かる。

この子供は自分の持病の事とかを理解しておらず、最初の警察通報では夢遊病について適切な説明を誰からも話されずにいた。親だけが知っていたのかも知れぬ。悲しい事に、自分の病を知らずに親を殺してしまった為に、最初は刑務所で15歳という若さで苦労したらしい。可哀相に。

●記憶がない
●状況が予想だに出来なかった事案なので、パニックする
●悪夢の記憶はある
上記3点は典型的な夢遊病の悪化状態の印である。スペシャリストのヘルプが必要だろう。

夢遊病は、元々子供がかかる病気だが、処置が遅くなり、生涯でずっとかかったまま時間を過ごす患者が多い。上の方で述べた、パークス事案の義母殺しで無罪に鳴った被疑者だ。

状況的に悪運が続き、ストレスが激しく罹った男子の子供が懸かり易いと言う。上のアレックスの例は、親が親類にもアンマリ話さずに息子を医者に診せたりしており、息子自身も自覚していなかったことが理由となり、非常に不憫な状況となった。

こう謂う夢遊病者の殺人案件は、まず、弁護士側で判事を通し、
●被疑者の精神鑑定をスペシャリストを通して実施する要望を出す
●睡眠異常についての鑑定も、最近には含まれるようになっているという事から、異常睡眠症状のヒヤリングが親類に必要となるだろう。
※例えばアレックスの両親殺人事件では、両親が死んだ時に、彼が自らの状況を述べた時だけでも、周囲にキチンと学習している心理医療士が居れば直ぐに、分る筈だ。

私自身、不眠症になって長いので、会社が始まると、夜の零時前までには寝てしまう。それ以上起きている事は不健康だ。

以前、大好きな好き彼さんからもアドバイス貰った事が有る。午後22時には寝ろ、と謂われた。床に就くが、眠れないので23時半までには床に就くこととした。

併し、実際のところ、親が夢遊病でもない限り、夢遊病に対して知識は持たなくてよい筈だ。遺伝、血の関わり、と言うモノがこの手の病気には多く関係しているからだ。私の父はちょっとおかしい人だったけれど夢遊病ではなかった。良かったなぁ、と思っている。




いいなと思ったら応援しよう!