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4週間で30㎏の体重増加。

ICUに移ってから、
元々メインで治療してくれていた
膠原病科の先生チームに加えて

救急科や消化器内科、感染症内科など
色々な科が関わるようになった。

転院した直後は
敗血症という全身に感染が
回ってしまっていた状態で
生命の危機も感じていたけれど

すぐに抗生剤が再開されて
感染症自体は改善。
血圧も安定して、
昇圧剤も不要になった。

けれど、低アルブミンの状態は
持続しており、
アルブミンの投与が必要不可欠な
状態でした。

母の場合、小腸の炎症が広範であり、
急速に進行していたため、
点滴での補充が追いつかなかった。

胸水や腹水はもちろん、
むくみは全身に広がっていた。

最初に入院した7月の下旬と比べて、
体重は約30㎏の増加を
認めていた。

しかもこれは
3週間くらいの間の出来事。

こんなに短期間にこれほどの体重が
増えるなんてあり得ない。
自分の看護師経験の中でも
見たことがなかった。

吐いていた当初は
40kg半ばの体重だったのに
ICU入室中にあれよあれよと
体重は70kgを超えた。

低アルブミンの恐ろしさ、
自己炎症性疾患の恐ろしさを
目の当たりにし始めた頃だった。

この時点ですでに母は
約1ヶ月は寝たきり状態に
なっていた。

吐き気や嘔吐、下痢が
持続的に見られる中で
自分で動くことが
できなくなった。

母は50歳代だったけど
こればかりは若さではない。
誰にでも歩けなくなる、
寝たきりになる可能性がある
ということ。

そして、母の足やお腹には
無数のひび割れ線。

「妊婦さんよりひどい肉割れだね」

病気によって、姿も何もかも
変えられてしまっていた。

なんとも悲しそうに
言うものだから、

妊婦さん用の妊娠線予防や
改善クリームとやらをAmazonで入手し
ケアを開始した。

効くかどうかはもはや
重要ではない。

何か1つでも食い止めないと
変化しないようにしないと
身も心も追いつかないような
気がしたから。

母に対して何かできること
を見つけたらやらずには
いられなかった。

そしてこの状態について、
医師からは「SCLS」
かもしれないと説明された。

”SCLS:Systemic capillary leak syndrome”

先生によると世界で200例、
日本でも40例しか
報告がないそう。

こういう時、看護師であるが故
知った言葉を
もっと知りたくなってしまう。

独自に病態を調べた。
どうやら状態は母のものと
近いものがある。

文献にも書かれていた通り
アルブミンやグロブリン、
ステロイドなど

できる得る治療を
総動員していた。

ICUに来て1週間ほど経った頃、
みるみるうちにむくみが
改善していった。

体重では50㎏台まで戻った。
それも数日の経過で。

小腸の炎症に対しては
ステロイドの点滴をしていたけれど
全く効いていない状態。

感染など、全身状態が
安定してきた段階で、
小腸炎の検査を
進めていくことになった。

今回はここまで。
最後まで読んでくださり
ありがとうございました。

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