千夜閃冊/5冊目:北野幸伯『プーチンはすでに、戦略的に負けている』
戦略と戦術の違いを理解すること。それが一番大事。
ども! 夏樹です。さてさて。
少し時間がかかってしまいましたが、
敬愛している国際関係アナリストの北野幸伯師
(私にとって〝氏〟ではなく
〝師〟と呼びたくなるほど)
のレビュー記事をようやく書けた。
その北野師が新刊を
だしてくれちゃったのです。
まさにタイトル通り。
そう、プーチンはすでに
戦略的にすでに負けているというね。
刺激的なタイトルだよな。
ウクライナ・ロシア戦争が
始まったとき、
世間の予想ではもっと
早くロシアは倒れるはずだった。
おれも「三年でロシアが負ける」
と予想していたし。
2022年2月24日の侵攻から考えると、
あと一年を切っている。
さて、どうなるか。
この戦争は我々の
生活物資やエネルギーの
アホほどの値上げにの発端
にもなっているので、
国際政治にあまり関心のない人たちでも、
ネガティブな意味ではあるが、
まさに自分事として考える
ことができるテーマだと思う。
そして、
国際政治の緻密な分析で
知られる北野幸伯師が、
その鋭い視点でプーチン政権の
戦略的失敗を暴露する最新作『
プーチンはすでに、
戦略的に負けている』を出したのだ。
本書は、
現代の地政学を
理解するための必読書だ。
ちなみに、
私が書いているメルマガ
『魂の神秘学』
の読者にはスピリチュアル系の人が多い。
そのため、
プーチンやトランプ元大統領を
妙に『正義』の側に置いて考える傾向がある。
しかし、
北野師も本レビューも基本的に
そのようなスタンスは取らない。
なぜなら、グローバリスト
(世界中の富を集約しようとする側)と、
プーチンやトランプといった
ナショナリスト(自国利益が最優先)
が構造的に衝突しているからだ。
正義だの悪だのではないんよな。
それは余談だが、本論に入る。
序論
まず、北野師の新著は
現代の国際関係を解き明かす一方で、
読者に戦略的思考の重要性を
教えてくれる。
プーチンの戦略が
どのようにして失敗に終わったのか、
その過程を詳細に描き出している。
特に序論では、
日本の真珠湾攻撃などの史実をもとに、
「戦術的に成功」しても
戦略的に敗北する具体例を示し、
「戦略」の重要性を伝えている。
実は、俺としては国際政治に
あまり関心がない人にも、
この書の序盤だけでも
理解してほしいと願っているのだ。
なぜなら、
この部分が自分の人生に
もっとも応用できるからだ。
戦略を自分の思考に浸透させよう。
日本の失敗(アメリカを
参戦させる口実を与えてしまった)、
ヒトラーの独ソ戦の失敗
(独ソ不可侵条約を破って
領土的野心を拡大させてしまった)
といった具合に、
実は日本もドイツも、
余計な攻撃をしてプレイヤーを
増やさなければあの戦争は
なんとかなったのかもしれないのである。
と序盤ばかり伝えてもいけないな。(笑)
本書の概要
無論、本書の中心テーマは、
プーチンの戦略的失敗である。
プーチンが主役である。(笑)
戦術的には一時的な勝利を
収めたように見えるが、
長期的な視点で見れば、
その行動がロシアにとって
大きな損失をもたらしていることが
明らかにされている。
特に、フィンランドとスウェーデンの
NATO加盟や旧ソ連圏の影響力喪失、
中国への依存増大などが具体的に
取り上げられている。
(note(ノート))。
リンクを張ったノートの方が
詳細に記されている。
主要なポイントの分析
プーチン政権の戦略的失敗は、
具体的な事例によって裏付けられている。
例えば、
フィンランドとスウェーデンの
NATO加盟は、
ロシアの安全保障環境を
一層悪化させた。
また、
旧ソ連圏の影響力喪失も
重大な問題だ。
ウクライナ、モルドバ、
ジョージアがEU加盟を申請し、
中央アジア諸国も中国との
関係を強化している。
これにより、
ロシアは旧ソ連圏での
盟主としての地位を完全に失った。
(note(ノート)) (NHK | 日本放送協会)。
中国への依存増大も深刻な問題だ。
ロシアが石油や天然ガスの
輸出先を欧州から
中国にシフトした結果、
中国への依存が増大し、
その影響力が強まっている。
中国はロシアのエネルギー
を買い叩き、
ロシアを経済的に
支配しようとしている。
この状況はプーチン政権の
戦略的失敗を如実に物語っている。
(note(ノート))。
はっきり言ってガチマジで
「ロシアは中国の属国化した」
と言っていいと思う。
こうした点からもロシアは
すでに戦略的に負けているのよな。
戦略と戦術の違いについてもう一度
さんざん冒頭で語って
しまった気がするが、
やはり本書の第1章
「戦略脳と戦術脳」こそ、
一市民にとってはもっとも
価値があると思う。
では、戦略と戦術の違いとは何か。
戦略とは長期的な
目標達成のための計画であり、
戦術はその計画を
実行するための具体的な手段だ。
北野師は、
この違いを理解することが
個人の人生やキャリアにも
重要であると説いている。
我々市民も、
長期的な目標を持ち、
それに向けた具体的な行動計画を
立てることの重要性を
学ぶことができる (note(ノート))。
著者の分析と意見
北野師の分析はデータと
具体例に基づいており非常に
説得力がある。
例えば、
プーチンが2014年に
クリミア半島を奪取したことが、
戦術的には成功したものの、
西側諸国からの経済制裁を招き、
ロシア経済に深刻な打撃を
与えたことが詳細に描かれている。
このように、戦術的勝利が
戦略的敗北に繋がる典型的な例が
紹介されている。 (note(ノート))。
総評
総合的に見て、
『プーチンはすでに、
戦略的に負けている』は、
ロシアの現状を理解するための
重要な一冊だ。
本書の強みは詳細な分析と
豊富なデータにある。
データベースで科学的に
主張の裏付けを行っている。
特に、ロシアの現状を
冷静かつ客観的に
描写している点は評価に値する。
日本のメディアは欧米情報の
垂れ流しや、感情論的に
「ロシアより弱いウクライナが
攻められているからかわいそう」
といった報道が多い。
・・・・イスラエルが
ハマスにテロられたにもかかわらず、
反イスラエルの大合唱が
起こることがある。
余談だが、
ハマスの黒幕はイランであり、
本拠地も資金も
武器も提供している。
イランはイスラエルの
10倍近い人口の大国である。
その大統領が5月20日、
ヘリの墜落死である。
https://mainichi.jp/articles/20240520/k00/00m/030/101000c
・・・イスラエルの
諜報機関モサドの仕事か
あるいはイスラエルvsハマス(withイラン)
という火種をさらに
燃え広がらせたい人たちの仕業なのか。
はたまた本当にただの事故か・・・。
話しが大きくそれたが、
要は国際関係は「感情論で善悪を決めるな」
ということである。
連日新宿やイスラエル大使館前で
「フリーガザ!」
とかお祭り騒ぎのように
喚いているのも、
「プーチン(トランプ)は正義の戦士!」
と肯定しているのも
根っこは同じなのである。
何はともあれ、
現代史の流れ(ファクト)を
積み上げ、
戦略的思考の重要性を
再認識できる本書は、
現在進行形の「国際政治のリアル」の
真の理解を助けるだろう。
そしてその理解とは、
我々市民の日常生活にも役立つ
『戦略的思考』
の学習に他ならないのだ。
国際関係や戦略に興味のある方には、
ぜひ一読をお勧めする。
そしてこれからの
「世界大戦」を迎えるに
等しい世界において、
いかに生き残るのかを考えるのは
一市民にこそ重要であり、
本書は役立つと付け加えたい。
そして何度も繰り返すが、
本書を通じて、
私たちも自らの人生において
戦略的思考を取り入れ、
長期的な目標達成に向けた
計画を立てることの重要性を
学ぶべきなのである。
とまぁ、そんな話でしたとさ。
じゃーの。( ̄▽ ̄)ノ
追申
こちらで入手しよう!
『プーチンはすでに、戦略的には負けている~戦術的勝利が戦略的敗北に変わるとき』(ワニ・プラス)