若草色の便箋、セピアの写真。
前略、この季節になると貴方を思い出します。夏の匂いがします。正確には、畳の匂いかもしれません。太腿にじわじわと汗をかかせながら、隣で正座をして、会話をしていたことがありました。その声は正しくそれの高さや幼さを保っています。残り香の如く、鼓膜にこびりついたままで。反芻できてしまうのです。今も尚。爛々と輝く星と、月と、真っ暗な空をも思い出します。お祭りで買ったラムネの味も、炭酸で刺激された舌が覚えています。瓶のそのおかしな凹凸も、手渡したビードロ玉の冷たささえも、未だに手の中に残