来年の夏は・・・
北海道の我が家にはクーラーはついていない。
海に囲まれて、風の爽やかなこの街ではクーラー普及率はそう高くないはずだ。
昨年まではそう問題ではなかったが、この夏は30度を超える日が何日もあり、流石に暑かった。高齢者比率の多いこの市の病院は熱中症患者で一時満床になったそうだ。
最近は誰と会っても来年はクーラーを買うべきか?という話題ばかりだ。
我が家の場合、アルツハイマーの母が、ついているものは消す、開いているものは閉める。という習性の人なので、それが厄介。
扇風機は止められ、風を取り込むために開放した窓は閉められてしまう。
家族一同、暑いだけでも不機嫌なのに、母のその行動にイラついて「暑いんだよー」と誰か彼かが怒鳴る。
わたしもとにかく老人二人が熱中症にならないように、まめに水分を採らせて、少しでも涼しいように室内環境を維持することに務めたのだけれども、いつも上機嫌で居られる訳じゃない。
水分を飲みたがらない母に、「いいから飲んで!」と強い口調になることもあるし、いつの間にか閉まっている窓を開ける動作に、ついイラついた力が加わって荒々しい音を立ててしまうこともある。
夏中ずっとそんな毎日で、ほんと、正直、つかれた。
加えてがっかりする現象もあって、ちょっと凹んでる。
両親は二人とも生きて夏を乗り切ったけれども、母の脳の機能の一部は夏の間に死んでしまったみたいなのだ。
最近明らかに、記憶の欠落が増えた。
家の中にいても、次に何をしたらいいのか、どこへ行けば良いのか分からなくなって立ち尽くしていることがある。今までできていた生活のルーティンが出来ないという日もある。
それは夏の間に起こったことで、やっぱり暑さは悪影響を与えたのか、いや、もしかしたら、夏中、わたしが不機嫌に対応していたせいかも?とか、ふと、そんなことも考えてしまう。
来年は、我が家にもクーラーを導入しよう。
それで父母は快適に夏を過ごせるんだろうか。
それでわたしはイライラせずに過ごせるんだろうか。