癇癪・衝動性・怒りへの対応のヒント
今回の記事では、息子が最も苦労していると言える特性、癇癪・衝動性・怒りのコントロールの対応についてまとめました。
すぐ怒ってしまう・怒りが爆発して問題行動を起こしてしまうなどの特性は、他人に怪我をさせたり何かを壊したりするリスクがあります。
そもそも怒りや乱暴な行動をする人は、当たり前ですが周囲から嫌われます。
そのため、癇癪や衝動性が強い発達障害児は自分の特性のせいで孤立してしまうのですが、「自分の行動に原因がある」と理解できる年になっても簡単に行動を改められません。
そして、子どもの乱暴な行動は保護者も苦しめます。
直接的な親への暴力や、友達に手をだす他害がある子どももいるでしょう。
他害のせいで、本人が居場所を失ってしまう・保護者が精神の健康を維持できなくなってしまう・・そんな話も聞きます。
でもね他の保護者からしても、自分の子どもが発達障害児に怪我をさせられた・させられるような状況は、耐えられないものです。
だから、本当に・・この特性は辛い。
うちの息子は他害はなかったけれど、怒りを物にぶつけます。
いまだに、その回数は0回にはなりません。
物が人に当たれば、そのつもりじゃなくても他害と一緒です・・。
癇癪や衝動を予防することは可能か?
発達障害児育児に欠かせない「事前対応」ですが・・
癇癪や怒りの衝動を事前準備でなんとかすることは、かなり難しいです。
発達障害児の怒りスイッチは無数にあり、足の踏み場もない状態だからです。
怒りスイッチが明確な場合には、一時的に該当の取り組みを避けることも有効です。
例えば、息子はとにかく勝ち負けへのこだわりが強く、ゲームで負けると怒り狂います。
だから、我が家では他人が加わる集まりこそ、ゲームが絡むことを避けました。
癇癪や怒りのせいで彼の人間関係を悪化させないための配慮でしたが、それが良かったのかは分かりません。
だって、残念ながら人生から完全にゲーム要素を取り除くことは不可能です。授業中にも多少のゲーム要素が加わることもありますからね。
怒りの原因を100%取り除くことが正しいとは限らないわけです。
少しずつトレーニングをしながら、苦手なことにも慣れていく必要があります。
この塩梅が難しい。
とにかく、いつどこで何が起こるか完全に予測できない限り、癇癪や怒りの衝動を事前に防ぐのは不可能に近い・・と考えてください。
ダメもと??怒りをコントロールする方法
これ、これができたら悩んでないよな・・という取り組みだけど、発達障害児の衝動性をコントロールするための代表的な方法を説明します。
怒りを感じたら10数えてみる
自分の感情を色で表現してみる(怒りは赤・悲しみは青など)
ルービックキューブなどで気を紛らわす
怒りを感じた時に発散させるセリフを決めておく「悔しい!」など
もちろん我が家も怒りのコントロールの方法は、いろいろ試してみました。
しかし、正直・・繰り返しのトレーニングをしても、なかなか効果は得られなかったんです。
怒りは一瞬でガーっと大きくなるみたい。普通の人もそうですね。
その後、本人が思いついてしばらくやっていた「作り笑顔をする(とにかく口角を上げる)」は、なぜか多少の効果があったようです。
今は、衝動性自体がだいぶ落ち着いてきたので、うちは怒りのコントロールにぴったりな技をマスターする前に年齢を重ねた感じですね。
癇癪・衝動性の対応ではクールダウンを重要視するべき
クールダウンとは、怒りをおさめて心が落ち着くことを指しています。
クールダウンを素早くできるようになれば、怒りの衝動がスッと消えて問題行動を最小限に抑えられると考えてください。
うちの子の場合、問題の原因から離れることでクールダウンできることが分かりました。
そのような子どもは多いようです。
問題が起きたら、まずその場から離れる
可能なら部屋を変える
幼稚園頃までは私も一緒に退室して話を聞くことが効果的でしたが、小学校高学年になると一人になる時間が重要なようです。(私が一緒だと悪化します)
クールダウンに必要な時間は年々短くなり、今では数分以内に自分で自分の気持ちを抑えられます。
学校では先生にお願いして「トイレに行って良い権利」をいただきました。
マレーシアでは授業中のトイレが比較的自由です。
それでも息子に至っては特に授業の邪魔にならないように、彼の感情が不安定なら先生にトイレへ促してもらっています。
先ほども書いたように、癇癪と衝動性を予防する・なくすことは非常〜に難しいけれど、クールダウンの方法は子どもを観察しているうちに何となく見えてくるものです。
だから癇癪・怒りの衝動性の対応は、クールダウンの方法を見つける・学校にクールダウンの方法を共有することが重要だと考えてください。
癇癪と衝動性の改善に非常に有効だと感じること
何度も書きますが、特に困った特性である癇癪や怒りの衝動は、なかなか改善しませんし、たくさんの問題の原因になります。
本当に、この特性がなければ息子の問題の9割は無くなるんじゃないかなと思うくらいです。
そんな日々を何年も過ごすうちに、息子の衝動性は劇的に良くなりました。
効果的だと感じた要素は以下のようなものです。
子供の成長を待つ
いつもこれ・・
またこれ?って思う気持ちも分かります。
結局、癇癪や衝動性の特性は年々落ち着いてくるケースが多いようです。
一般的にはピークは小学校3〜4年生。
我が家の場合は、ピークが小学生1〜2年生、そこからはゆ〜っくり少しずつ改善を重ねた感じです。
本当に、すこ〜しずつです・・
今が辛いんですよね。分かります。
そう、今が辛いんです。
だから、ひたすら子どもの成長を待つのではなく、次の章で説明する「環境調整」で問題の改善を図ることをお勧めします。
子どもに適した環境を用意する
子ども本人には分からなくても、環境が合わずに特性が悪化するケースは多いです。
息子は小学校入学と同時に特性が暴走しました。
毎日何度も教室から飛び出しプリントをビリビリに破いて食べたり踏んだり、叫び声を上げていた息子・・
その小学校で何があったのかはここでは説明しませんが、彼にとって良くない環境だったことは間違いありません。
我が家は転校をして配慮を求められる学校に通うようになったことで、最悪の状況から抜け出せました。
適していない環境下にいると、特性による問題行動は悪化します。
周囲が悪いというわけではありません。相性の問題です。
本人と周りの子どもたちのためにも、合わない環境からは離してあげることが大切です。
二次障害を防ぐ・改善する
二次障害とは、発達障害児が自分の問題行動のせいで劣等感を強くし、鬱や不登校になってしまうことを指しています。
発達障害児に限らず、大人だって精神的に不安定な状態に陥れば、より感情コントロールが難しくなるものです。
先ほどの環境調整にもつながる部分ですが、発達障害児の困った特性は簡単に改善しません。
本人を無理矢理短期間で変えようとするのではなく、特性が出にくい環境を用意し、これ以上本人の自尊心が低くならないようにしてください。
まとめ:癇癪や怒りの衝動が強い特性は簡単に治りません
まとめに辛いことを再度書きますが、癇癪や衝動性は本当に年単位で少しずつしか改善しません。
そして周囲の子どもは、年々何倍ものスピードで自分の感情をコントロールできるようになります。
だから、成長してないのではないか・改善してないのではないかと思ってしまうこともあるでしょう。
その年齢相当ではなく他の子どもとも比べずに、本人の成長を振り返りながら進んでください。
今の環境が子どもに適しているのなら、問題は少しずつ減っていくはずです。