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”警官との接触” ~世界一周旅日記~ チベット編 【第三章:第4話】雲と地平線の間

これまでの旅日記はこちらをご覧ください↓


12/14(中国警官との接触)

※前回までのあらすじ
外国人の入域が許可されていないチベット非解放地区。
そこを突破してチベットの中心地、ラサに辿り着こうと、
スミアキ、rio、デイブの3人は、
警察の目を逃れながら、
ヒッチハイクでラサを目指す。
しかし、とうとう警察の検問に引っ掛かってしまう。


僕の肩をたたく者がいる。
ふりかえる。


警官だ!!


しまった。
ここは検問ゾーンだったようだ。
さっき車が乗り上げたところが、
検問のはじまりだったんだ。

車がスピードを上げて、
検問を突破できないように、
わざと土山をつくって車が乗り上げるようにしてたんだ。


声を出してはいけない、
日本語か英語を発したとたん、
外国人だということがバレてしまう。


警官の質問に無言で答え、
荷物をトランクに詰め直す作業に専念する。


デイブは車の中から出てこない。
OK.デイブが車から出てきたら、
またたく間に終わりだ。


今度は、警官がチベット人の運転手に話しかける。
運転手も無言だ。

ヒッチハイクをさせている手前、
警官と話をするわけにはいかないのだろう。
※中国ではヒッチハイクは違法


30秒程で、車から落ちた荷物を車に詰め込み、
全ての作業を終えて車の中に戻る。


運転手がいそいで車のエンジンをかける。

ドゥルルルルルル
よかった。バッテリーはあがってないようだ。


緊急発進。


デイブにフードをかぶって顔を隠すよう合図する。
デイブ、いそいでフードをかぶる。


少し行くと、右手にまた違う警官の姿が見える。
こちらに向かって何か叫んでいる。


次は左手に50cm位の岩にのぼった警官が、
ライトで車の中を照らしだそうとしている。


車は猛烈なスピードで進んでいく。
検問の終わりを示す、
車を止めるための土山が見えてきた。


車はスピードを保持したまま、
その土山へ突進した。


「ドンッッ!」
大きな音とともに車全体がジャンプした。


遊園地の乗り物のような浮遊感。
掴めるところを掴んで踏ん張る。


「ドスンッ。」
車全体が地面に着地した。


そのまま車は、猛スピードで走っていく。


後ろを振り返る。
検問の明かりが、だんだん小さくなっていく。

検問を無事、突破した!


夜11:00
ようやくパシュに着いた。
運転手にお礼の50元を渡した。


rioさんと話しあった結果、
明日、もう一度、他の車をヒッチハイクをするより、
この車でポメまで連れて行ってもらおうということになった。



パシュからポメまでの料金を交渉する。

はじめは、一人当たり100元(1600円程度)と言っていたが、
80元(1200円程度)というところで交渉が落ち着いた。


デイブにその事を告げる。


すると、デイブ、
「そんなに高いお金は払いたくない。
ラサまでもっと安く行けるはずだ。
僕は、自分でバスを探す。」
そう言ってバスを探しに行ってしまった。


夜12:00
遅い夜食を取る。

車の中にいたチベット人3人と僕、rioさん、そして、
バスが見つからなかったデイブの6人。


食事中、運転手が妙なことを言い出した。

さっき、町でフランス人旅行者5人組に出会い、
一人当たり100元でポメまで行ってくれないか?
と言われたということだ。


フランス人?そんなことがあるはずがない。
この非開放地区にフランス人旅行者がいるなんて?
しかも5人も?


「5人だったら車に入りきらないだろう?どうするんだ?」
と聞くと、運転手は、

「車は6人乗りだから、友達の2人のチベット人はここで降ろして、
オレとフランス人5人組、
あわせて6人でポメまで行く。」
と言う。


ようするに、
僕たちをポメまで乗せられないということだ。


運転手はお金が入る、と喜んでいる。

やってくれる。
フランス人がいるはずはない。

フランス人が2人とかなら、
僕たちも一緒に乗って行くことができる。
しかし都合よく、
僕たちが車に乗れなくなるほどの5人のフランス人のグループが、
お金を多く出そうと出現した、
ということか。


ようするに運転手はポメまで行く料金を80元ではなく、
100元に値上げしたいのだ。


「分かった。
一人当たり100元払うからポメまで連れて行ってくれないか?」
そう言うと、
もちろんすぐに、運転手は嬉しそうに承知した。


フランス人5人を100元で乗せて行った方が、
お金がもっと入る。
だから僕たち3人が100元払う、と言っても、
普通は承知しないはず。

承知した、ということは、
フランス人なんて、
こんなところにもともといない。


あとは、デイブを話し合いをする必要がある。

食事が終わり宿に戻る。
(宿は運転手が、
僕たちの身元がばれないよう、
自分の名前を使ってチェックインしてくれた。)


rioさんが口火を切った。
「デイブ、僕たちは怒っているんだが、何でか分かるか?」

「なんで?」

デイブはポカーンとした顔でこっちを見ている。


rioさんが、なお続ける。

「今日、夕方も言ったけど、デイブ、
君の顔は簡単に外国人だとバレるんだ。
それに対して、こっちも気をつかって、
なるべくバレないようにスミさんと、いろいろ相談したり、
警察に捕まった時は、こう言い訳しよう。とか、
いろいろ考えてるんだ。
夕方も僕たちはチームだって言ったよね。
なのに、ここに着いた突然、
お金が高いから自分でバスを探す、
ってどういう事だ。」

「アイムソーリー」
デイブが謝る。

僕が続けて言う。
「バスを見つけたかったら見つければいい。
でも、どうやってバスを見つけるんだ?
中国語が読めるのか?
うろうろしてる間に警察に捕まるぞ。」

最後にrioさんが言う。
「ついてきても、自分一人でラサを目指しても、
どちらでもいいが、明日の朝までに決めておいてくれ。
ちなみに僕とスミさんは明日、
朝8:00にここを出発する。」


深夜1:00
就寝


今日は、移動中、ドラゴンアッシュの歌詞の事、
ずっと考えてた。


太陽よりすこし早く目ざめ
こいめのコーヒー口にふくみ

夜空を色どる星の数かぞえ
壁にぶつかっていることを実感

六肝を刺激するこの恐怖
ぬけ出そうとするたびにまた加速

Be stronger 強くなれ
Fly higher 羽ばたけ
Don't be afraid 恐るな

もっと強くなりたい
そして、その眼前に広がる新しい世界を見てみたい


12/15(無くしたもの、もらったもの)

朝8:00に出発予定だったが、
運転手の寝坊により8:30出発となった。

デイブも自分でバスを探すのを諦め、
一緒に来ることになった。


ポメへ向けて出発!!

出発してすぐ、
勝手に車の真後ろのドアが開いた。
が、
荷物は落ちなかったので、
ドアを閉めてすぐ出発した。


道の脇に、五体投地でラサを目指す人をたまに見るようになった。
ラサが少し近づいた証拠だ。


チベットの人達は、
自分の家からラサを目指して五体投地で旅をする。

長い人は数年間の旅となるそうだ。


悠然とそびえる5,6千メートル級の岩山。
アフリカ最高峰のキリマンジャロ級の山々が、
当たり前のようにそびえている。
チベットは、スケールが突き抜けている。
太陽の光により、当たりに積もった雪はキラキラ輝いている。
赤茶色い大地に黒い斑点が転々と広がっている。
黒い体を持つヤクの群れだ。
赤や青や黄色のきらびやかな衣装に身をつつんだチベットの
遊牧民が、馬に乗って走っていく。
白いふさふさした毛を持つヒツジの群れが草を食べている。

おだやかな風景がどこまでもつづいていく。

画像1

車から見える風景


11:00
中継都市、ラウォに着いた。


んっ?
こんな小さな町なのに、検問が!!


警官がやってきた。
警官が車のドアを開ける。

僕とrioさんは、平静をよそおい、
外を眺めるふりをする。


デイブは腕で顔を隠して、寝たふりをしている。

運転手が警官につれていかれた。
助手席のチベット人も車を降りる。


連行されたのか?


取り敢えず、待つしかない。


車の中はシーンとしている。
外で、運転手と警官が話している声が聞こえる。


5分ほど待っただろうか?運転手が戻ってきた。


表情を見ると、大丈夫だったようだ。
何事もなかったかのように車はラウォをあとにする。


12:00
「ドゥロロロ……ドゥ、ドゥ、ド……」
車のエンジンが、突然、止まった。

坂道を登っていたので、
車が後ろに下がっていく。

運転手がいそいでサイドブレーキをひく。
車が止まった。


運転手はエンジンをかけようとする。

「ドゥロロ…プスン、プスン…」


再度、エンジンをかけようとする。

「ドゥロロ…プスン、プスン…」


エンジンが、かからない。


<次号の旅日記は9月17日です!>

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