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”衝突” ~世界一周旅日記~ チベット編 【第三章:第3話】雲と地平線の間
これまでの旅日記はこちらをご覧ください↓
12/12(高山病)
高山病のため日記を書く気がおきない。
チベット人の民家でごちそうになり、
チベット仏教の寺院(リタンゴンパ)を訪ねた。
リタンでめっちゃいい写真が撮れた
チベット人の家にある仏壇
曼陀羅、かっこいい〜
四天王、かっこいい〜
リタンの子供、髪がナチュラルドレットヘアでかっこいい〜
ここリタンまでは開放地区。
明日からは非開放地区に入る。
とりあえず、ゆっくり寝ることにする。
12/13(非開放地区潜入)
朝6:30
リタンをバスで出発
そのまま、バタンを通過。
(途中、検問が1カ所あったが、
検問では警察はビリヤードをして遊んでいたので、
こちらには気がつかず、無事通過。)
バスの中から撮った写真
13時間後の夜7:00、
バスはマルカムに到着した。
ビクビクしながら僕とrioさんは、
バスを降りた。
「左の方に警察の車が見える。」
とrioさんが言うので、
隠れるようにそそくさと、
右へ向かう。
少し歩くと1軒の宿を見つけた。
(宿探しも大切。
宿によっては警察に告げ口をする宿(通称チクリ宿)もある。
警察とはもちろん中国警察のことである。
そのため、中国人経営の宿がチクリ宿の場合が多い。)
見つけた宿の経営者はチベット人。
チベット人は、
基本的に中国人が嫌いで、
「ギャミ マレ(中国人じゃないよ)」
「ンガ ニポンニェン(日本人だよ)」
と言うと、親切にしてくれる。
さすがにここはチクリ宿ではないだろう。
夜10:00
警官が部屋を訪ねてくる気配はない。
もう大丈夫だろう。
明日は朝、警察が仕事をはじめる前に、
この町を抜けなければならない。
早めに寝ることにする。
高山病も良化してきた。
12/14(衝突)
中国ヒッチハイク事情は、特殊だ。
中国でヒッチハイクをする際、
長い距離を乗せてもらう場合、
お礼のお金を渡す必要がある。
渡さなくてもいいが、
それがマナーである。
※ヒッチハイクで世界を旅する番組があったけど、
どうやって旅してたんだろう(笑)
また、ここ中国はヒッチハイクは違法である。
よって、ヒッチハイクをしていることを、
警察に発見されるとまずい事になってしまう。
ヒッチハイクする側も、される側も、それを承知で
ドキドキしながら警察の目をかいくぐっていくのである。
朝7:00
警察の目があるので、
町中でヒッチハイクをするわけにはいかない。
よって警察の目が届かない町はずれまで、
移動しなければならない。
まだ太陽の出ないマルカムの町中を、
町はずれ目指して歩いていると、
ふと、大きなバスステーションを見つけた。
ここは、非開放地区なので、
外国人にバスチケットを売ってくれる保証はないが、
チケットを売ってくれるかどうか試してみる価値はある。
バスステーションの中にあるチケットセンターへおそるおそる行き、
「ポムダ」と一言、
行き先を告げると、
すんなりチケットを買えた。
ふと、バスステーションを見まわすと、
バスステーションの中ほどに、
妙に背の高い男がうろうろしている。
髪が金髪?
「何でここに西洋人がいるんだよ。ありえないだろ。」
rioさんがひそひそと困惑した顔で話す。
「どうする?話しかけてみる?」
rioさんと相談した結果、話かけてみることにした。
「どこの国から来たの?」
金髪の男が、ビックリした顔で、答える。
「英語話せるの?(中国人は9割方英語を話せない。)
ニュージーランド出身だけど。」
「ふーん。ところで、この地域に外国人が入るのは違法だって知ってる?」
「えっ、本当?全然知らなかった。」
「そうなんだ。で、これからどこ行くの?」
「ラサへ行こうと思うんだけど。」
「無理だと思うよ。僕たち日本人なんだよね。
で、これからラサへ行くんだけど、
僕たちでさえこのルートはハードなのに、
ましてや西洋人の君には難しいと思うよ。」
「なんで?」
「いや、なんで?って、顔がね。
すぐに外国人ってバレるでしょ。」
「大丈夫。大丈夫。君たちの次の目的地はどこなんだい?」
「えっ?ポムダだけど」
「じゃあ、僕、自分のチケット買ってくるよ。」
デイブと名乗ったニュージーランド人は、
さっそうとチケットセンターへチケットを買いに行ってしまった。
もし、彼がチケットを買ってしまうと、
僕たちと共に行動することになるだろう。
そうなると、
外国人ということが簡単にバレてしまうことになる。
「ちょっとマズい状況じゃない?」
rioさんが、そう言うので、
「いや、彼はチケット買えないでしょ。
それで、彼も諦めるよ。」
そう答えた。
彼がチケットを買えないことを願いながら。
そして数分後、
満面の笑顔のデイブが、
チケットセンターから戻ってきた。
どうやら、チケットを購入できたらしい。
「終わった。せっかくここまで努力してきたのに。」
rioさんがつぶやく。
朝8:00
バスに乗り込む
昼11:00
バスが故障。
1時間ほど停車。
ふと、デイブを見ると、
一番後ろの席で大きな体を横たえて、
グーグーいびきをかきながら寝ている。
他の乗客は皆、
席に座って行儀良くしているのに。
とても目立っている。
「なにやってるんだよ。あいつは。」
rioさんがイライラしながらつぶやく。
15:00
中継地点、ゾゴンに着く。
ここで昼食。
乗客達はぞろぞろと昼食をとりに食堂へ。
ふと見ると、近くに警察の車が止まっている。
出られない!!
運転手が、
「ご飯を食べないのか?」
と質問してきたが、
身振りでおなかが一杯ということをアピールした。
本当はおなか減っているのに。
結局、rioさん、デイブ、僕の3人だけが、
バスの中に残った。
16:00
ポムダに到着。
ポムダは小さな町。
バスステーションらしきものは見あたらない。
次の町にいくため、
ヒッチハイクをすることにした。
ヒッチハイクをするために町の状況を確認をしていると、
デイブがいなくなっている。
「デイブはどこへ行った?」
rioさんが言う。
「さあね。もう知らないよ。ほっとこうよ。」
僕が言う。
20分位すると、
町の食堂から出てくるデイブが見えた。
「どういうことなんだ。何で勝手に食堂に行ったんだ?」
デイブにつめよる。
「とても、おなかが減っていたから。」
デイブが答える。
「おなかが減っているのは、
僕たちだって同じだ。
何で、勝手な行動をするんだ。
さっきも言ったけど、ここは非開放地区なんだ。
デイブ、君の顔はここではまるきり外国人なんだ。
それに対して、
どれだけ僕たちが神経質になってるのかが分かっているのか?
君が外国人だということは、
もう食堂の人たちは分かってしまった。
誰かが、警察に、今、告げ口してたらどうするんだ。
なかには、
貧乏な人もいる。
お金ほしさに警察に告げ口する人だっているんだ。
そして、君がつかまったら、僕たちもつかまるんだぞ。
いいか、僕たちはチームなんだ。
1人でも勝手な行動をすると、
僕たちは全てが終わりなんだ。」
「分かった。すまなかった。これからは気をつける。」
デイブが謝る。
どうやら現在の状況認識に対して、
少し、温度差があるようだ。
一応、事も収まったので、
ヒッチハイクを開始することにした。
警察の目が届かない町はずれまで行き、
くぼみに自分たちの荷物を隠す。
くぼみに隠す理由は、
荷物が少ないと思わせた方が、
車が止まってくれやすいからだ。
ここは、車通りが少ないようだ。
ほとんど車が通らない。
荷物がなくならないよう、
くぼみのところでデイブと荷物番をしながら、
雑談をする。
rioさんはチベット語を話せるので、
通りがかりのチベット人の人と話をしている。
2,30分くらいたっただろうか。
デイブが、
「日本のゲストハウスの料金はどのくらいするの?」
と質問した時だった。
車が見えた!!
車だ!車が走ってきた!!
僕は大げさに車に向かって手を振った。
ダメだ。
車は僕を無視して、
その脇を通過していく。
失敗だ。
車の後ろ姿を目で追う。
その時、
rioさんが道路に飛び出て、車の前に立ちはだかった。
両手をひろげて、
車のとおせんぼをしている。
車が止まったのが見えた。
やった!!
rioさんが運転手と交渉をはじめる。
1,2分交渉した後、
rioさんがこちらに走ってきながら、
ジャンプをしてガッツポーズをした。
「イエス!!」
それを見た僕もガッツポーズをして、
いそいで荷物を運ぶためにくぼみのところへ戻った。
交渉の結果、
次の町、
パシュまで1人あたり50元(800円程度)で
連れて行ってくれるようだ。
少々高いが仕方ない。
車の中には運転手も含めて、
チベット人が3人いた。
チベット人3人、日本人2人、
ニュージーランド人1人の6人の旅となった。
道はとても悪い。
道の左側は山、右側はガケ。
僕は右側の席に座っているので、
窓からはガケしか見えない。
ガケの下の方に川が見える。
車の窓から撮影。伝わりずらいかも知れないが、少しでも車が運転をあやまると崖に転落するような場所がたくさんある。
「1年に、このルートで何台の車が転落してるのかね。」
rioさんが、突然、不吉なことを言い出す。
「いや、ほとんど、そんな事はないんじゃない?」
僕が答える。
「いや、結構あるでしょ。
この前も大理(ダーリー)から景洪(ジンホン)へいくバスがガケに
転落して、日本人バックパッカーが数人、亡くなってたし。」
rioさんが答える。
どうか、この車は転落しませんように。
夜8:00
しばらくすると、
ガタン、大きな音と何かに乗り上げる振動がした。
体が、ちょっと宙に浮いた。
突然、デイブが叫んだ。
「荷物が落ちた!!」
この車はバンだ。
バンは真後ろにもドアがある。
どうやらさっきの振動でバンの真後ろのドアが開き、
後ろに積んであった荷物が道路に落ちたらしい。
運転手が車を止め、
運転席から飛び出す。
とたんに、
車が後ろに下がりだす。
この道、坂道になっているらしい。
下手をすると車がガケに落ちてしまう。
「サイドブレーキをひけ!!」
rioさんがさけぶ。
助手席に座っているチベット人が、
いそいでサイドブレーキをひく。
「キー、ギリギリギリ」
耳が嫌がる金属音がして車が止まった。
rioさんが外に飛び出した。
ふと、気がついた。
車のライトがつきっぱなしだ!!
バッテリーがあがってしまう。
ライトを消そうとしたが、
改造している車で、
どこにライトのスイッチがあるか分からない。
「運転手!!」
僕も、叫びながら車から飛び出した。
車から出た突然、
耳慣れない中国語が聞こえた。
僕の肩をたたく者がいる。
ふりかえる。
警官だ!!
しまった。
ここは検問ゾーンだったんだ。
さっき車が乗り上げたところが、
検問のはじまりだったんだ。
車がスピードを上げて、
検問を突破できないように、
わざと土山をつくって車が乗り上げるようにしてたんだ。
やばい、どうする!
<次号の旅日記は9月14日です!>
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