Teaching:授業で吐き出すために、授業外で徹底的にインプットせよ。
インプット・アウトプットという言葉を聞いたことはあるだろう。
インプットは取り入れること、
アウトプットは吐き出すことを指す。
例えば読書、動画鑑賞、人から話を聞くことがインプットであり、
プレゼン、作文、人に話をすることがアウトプットである。
当たり前だが、塾講師は話してナンボの職業だ。
口から発することに対してお金を貰っているといってもいいだろう。
つまり、塾講師は毎日授業という形で
すさまじい質量のアウトプット・吐き出しを行っている。
だが、授業のみならずこの世の全てにおいてそうだが
何事もただ吐き出すだけではいずれ枯れてなくなってしまう。
ペットボトルの水も出すだけではいずれなくなってしまう。
お笑い芸人のネタも出すだけではいずれなくなってしまう。
お金も出すだけではいずれなくなってしまう。
それを防ぐためには、新しく何かを取り入れるしかない。
水を注ぎ足す、新しいネタを作る、お金を稼ぐ。
塾講師もこれと全く同じで、
毎日大量のアウトプットを行う以上は
最低でもそれと同じくらいのインプットを行わないとネタが尽きてしまうのだ。
ネタが尽きるとどうなるかといえば、
これまでと全く同じネタを何回も・何年も使い回すことになる。
それで魅力的かつ効果があるならそれでいいのだが、
そうではない講師の方がこの世には多い。
「あ、この人の話すことには新鮮味・面白味がないな」
「何か言っていることが根本的に間違っているな」という講師は、
揃いも揃ってインプットを止めてしまった講師なのだ。
では、インプットが大事なことは分かったが
塾講師にはどのようなインプットが必要なのだろうか。
塾講師のインプットには、大きく分けて2種類ある。
授業に直接関係のあるインプットと、直接は関係のないインプットだ。
まず「直接関係のあるインプット」とは、指導科目の知識・理解のことだ。
何をどう理解すれば、学校のテストで点数が取れるのか。
何をどう理解すれば、志望校の過去問や今年の問題が解けるのか。
何をどう理解すれば、英検や漢検などの資格試験を通るのか。
どの科目にも、その為の初歩・基本・最低限の知識というものがある。
英語で言えば例えば「単語」「文法」「発音」がそれに該当する。
これらは塾講師として必ず勉強しておくべきことである。
そして「知識」で大切なのは、
毎年微妙にトレンドが変わるものがあるということだ。
「昔は文法問題が多かったけど、今は読解問題が多いぞ」
「昔は単語の問題が多かったけど、今は教科書の本文の問題が多いぞ」
こういう情報は毎年アップデートする必要が出てくるし、
そうしないと最新から置いていかれてしまうのは言うまでもない。
一番怖いのは、
今年から変わったことについて、昨年までの知識で間違えて教えてしまうことだ。
これはプロとして一番避けなければならない。
そして次に「直接関係のないインプット」だが、
これは身も蓋もない話をしてしまえば
生徒が少し退屈してきた時に話すフリートークのネタである。
漫画・ゲーム・アニメ・お笑い芸人・YouTube…なんでもいい。
映像が半永久的に保存される映像授業では推奨されないが、
生授業ではこの手のトピックを存分に使うことができる。
(生授業の特権でもある)
もちろんただ話すだけではただの脱線トークになってしまうから注意が必要だが、
うまく指導科目と結びつけることができれば生徒を一気に惹きつけることができる。
ここで「今の子のやっていることはよく分からない」の一点張りでは、
学生から「あのおじさんはつまらない」と烙印を押されてしまう。
私が知っている講師の中には、
「生徒の話題についていくためだけに、『鬼滅の刃』を全巻読破した」
という中年講師まで存在した。
ある意味これぞプロだと思う。
ここで一番私が伝えたいことは、
先生として生徒に教えるのが講師の仕事ではあるが
講師こそが生徒に負けないほどのテンションで勉強を続けるべきだ。
自らが生徒でもある講師の授業は、
生徒の気持ちが誰よりも分かっているから生徒も聞きやすい。
…筆者、透佳(スミカ)