Reality:現時点で勉強できない子が、マイペースなどと言ってはいけない。
「ウチの子は個別指導でマイペースにやらせたいんです…」
そう相談してくる親御さんは少なくなかった。
確かに、「部活が忙しい」「周りの人に見られるのが苦手」など様々な理由で
集団授業よりも個別指導の方が向いている生徒は少なくない。
だが、この「マイペース」という言葉には注意が必要だ。
結論から言ってしまうと、
現時点で勉強できない子はマイペースで勉強してはいけない。
「マイペース」で勉強した結果勉強ができなくなったのであり、
そのペースを続ける限りはずっとそのままの学力だからである。
概して、勉強ができる子のマイペースというのは猛烈に早い。
その日に取り組むべき内容を最初にサッと確認し、
それらに計画通りサッと取り組んで、サッと終わらせる。
サッと終わらせるから、サッと結果が出る。
サッと結果が出るから、次に向けての改善案が出やすい。
サッと改善案が出るから、それを元にまた次の勉強をサッと始めることができる。
こうやって正のスパイラルを描きながら、
優等生は時を経るにつれてどんどん勉強ができるようになっていく。
これに対して、勉強ができない子というのはマイペースが猛烈に遅い。
そもそもそれ以前に、
「学校の宿題が大変で」
「ゲームしたい」
「友達と遊びたい」
…など、中身はどうでもいいが
例えばこういった言い訳を誰に聞かれたわけでもないのに並び立てる。
ようやく始めたと思ったら、分からない問題を目の前にウンウン唸り始める。
解ける問題ももったいぶったようにチンタラ解くから中々終わらない。
結局すぐに集中力が尽きるか勉強に飽きて、「今日も頑張ったな」とスマホを取り出す。
その割には休憩時間はどっぷり取りたがるのも特徴だ。
問題が終わらないから、答え合わせをすることにはとっくに力尽きていて
そこから改善点を…なんてことは全くもって考えてない。
この面倒な作業がとっとと終わるか、
できればゼロになってほしいという妄想で頭の中がいっぱいだ。
こうやって負のスパイラルを描きながら、どんどん勉強ができなくなっていく。
いかだだろうか。
これは塾講師の際も一次情報で複数人確認しているから間違いないが、
「マイペース」のテキパキ具合がそのまま成績に比例しているといって過言ではなかった。
だからこそ私は、現時点で出来の悪い子がマイペースという言葉を出した瞬間に
こうやって諭すようにしてきた。
「お子さんのマイペースというのは、つまりチンタラやって身につかないという意味ですよね?」
と。
ここまで直球で本音を言ってくる講師もいないから、当初はドン引きされる。
だが、しっかり話をすると皆「確かに…」と首肯してくれたものだ。
特に「マイペース」を理由に集団授業を嫌う親子は多いが、
今勉強ができないからこそ「マイペース」は壊した方がいい。
周りに揉まれながら自分の基準を上げていかないと、勉強はおぼつかない。
…筆者、透佳(スミカ)