Technique:自習ブースを使わない生徒は、毎月数万円ソンしている。
ほぼ全ての学習塾には自習ブースがある。
いくつかの机と椅子が設置され、
(「自習室」という形で独立している部屋も多い)
静かで殺風景な環境の中で勉強することができる。
もちろん、在籍生徒はタダで使い放題だ。
学習塾に携わって気付かされたのは、
この自習ブースを卒業まで一度も使わない生徒が少なくない
ということだ。
使わないから出来が良い・悪いの問題ではない。
通い詰める優等生もいたし、家で勉強する優等生もいた。
通い詰める普通の子もいたし、家で勉強する普通の子もいた。
通い詰める劣等生の子は滅多にいなかったが。
通い詰める子に絞って話をすると、
優等生や優等生予備軍の子は
一人でやるべきことを黙々とやってサッと帰っていくのに対し、
劣等生や劣等生予備軍の子は
仲良しグループでゾロゾロ現れては終始くっちゃべっていた。
だから私は
「誰にとっても自習ブースが絶対効果的ですよ」
と言うつもりはない。
私が見てきたありのままの真実をお伝えすると、
真面目な子にとっては自習ブースは良い学習の場所になるが、
不真面目な子にとっては
「塾に来たぞ」という事実でお腹いっぱいになり
あとはお昼寝タイム・お喋りタイムになることが多かった。
換言すれば、
一人でしっかり頑張れる真面目な子は自習ブースを使わない手はない。
これほど最強の場所もないからだ。
- パーテーション(一人一人の仕切り)があることが大半
- 使う子が比較的少ないため、新しい机や椅子であることが多い
- 一人一人ごとにデスクライトも完備
- 取り組む教材やプリントは頼めば貰える(手ぶらOK)
- 塾にいるスタッフや講師に質問等を聞く事ができる
- 余計なものが設置されていない
ざっと挙げてみるだけでもこれだけのメリットがある。
中でも子供にとっては最後のポイントの
「余計なものがない」というのが極めて大切である。
私はその子の精神力がよほど強靭でない限り
家での自習を中心とすることをおすすめしていない。
その理由はシンプルで、家には無限の誘惑があるからだ。
まず手元にスマホがある。
少し手を伸ばせばゲームや漫画がある。
家によってはパソコンもあるだろう。
部屋を出れば家のどこかにテレビもある。
現時点で勉強ができない子は
揃いも揃って集中力がない。
なぜ集中力がないかと言えば、
この手の手に届く誘惑を周囲にばら撒いているからだ。
逆に言えば、
これらの誘惑を全て取り除いた空間で勉強するだけでも学習効果は伸びる。
そのための空間が自習ブースであるということだ。
だが、それにしてもタイトルの「数万円ソン」とはどういうことか。
これは誇張ではなく本当だ。
あなたがもし社会人なら特に分かると思うが、
学習塾の自習ブース並みに
余計なものを排除して集中できる空間というのはかなり限られる。
無料図書館では人が多すぎる。
カフェやレストランは人もいる上に周りの雑音・環境音もある。
それこそ、最近流行の有料自習室・シェアオフィスの類か
ホテルの部屋ぐらいになってしまう。
だが、前者は1時間千円単位でお金が出ていくし
ホテルで缶詰となればそれ以上を覚悟する必要がある。
しかし、学習塾の自習ブースなら在籍生徒はタダなのだ。
仮に日曜を除いて週6で1時間通うとして、
1時間の使用料は1,000円であるとしよう。
1,000円×6時間(6日分)×4週間=24,000円だ。
そこにプリント代や質問対応の人件費等を入れてあげればもっといく。
この(例えば)24,000円分の価値を、
全生徒が「諸経費」ということで入塾の時点で既に全額前払いしている。
これは使い倒さなければソンだ。
…筆者、透佳(スミカ)