見出し画像

【短歌】孤児院へ|文語の定型短歌を詠む 34

この赤児あかごはスラムの路地に捨てられしと職員の手より受けし子を抱く

寄付を渡し院長と談笑するも職員の一人断じて目を合はせざり

弱き者をかへりみざる目 つ国のたみさげすむ目の 日本人

超高層マンション群れ立つダウンタウン マニラは豊か東京よりも

デパートにあふるるマニラの若者ら 子連れ夫婦ら 懐かしきけい

東京の平日午後のバス車内 五十代の 最年少か

2014年3月詠 『橄欖』2014年6月号初出