"普通ってなんだろう"ってなんだろう(仮)
「普通ってなんだろう?」
深刻ぶった顔でくだらない問と向き合っている人を見かける
一般的に「〜とは何か?」という問はつまり定義を考える問なのだと思うが、「『普通』」という言葉をどう定義するか?」という問ならば「集団の中で最も多い属性のことを普通と呼ぶ」とでも定義するのが自然なのではないかと思う
平たく言えば「一番多いやつ」のことだ
「普通」という言葉を使うとポリコレ違反みたいな雰囲気があるが、意味がわからない
「恋愛対象は異性である人が一番多いですよね」という発言のなにがどうポリティカルに間違っているというのだ(もちろん文脈によるが、ここでは字面以外の含意はないとする)
この言葉を聞いて「異性愛しか認めないのは差別です!!!!!!!」となる人はどうか落ち着いて、他者のことは気にせずまずは自分の幸福と向き合ってもらいたい
あなたが傷つく必要はない
皆が幸せに暮らせる道を模索すべきだ
とりいそぎ、インターネットとは距離を置くべきだろう
この「普通ってなんだろう?」という問を神妙な顔つきで議論する人たちが主張したいのは要は「私に普通を押し付けないで」ということだろう
なら最初からそう言ってくれ
そういうシュールなコントなのかと勘違いしてしまう
(シュールといえば、ネットで流行りがちな笑いについて思うところがあるのだが、それはまたの機会に)
なんだか哲学"的"な問を立てればカッコいいとでも思ってるのか知らないが、少なくとも真面目に議論がしたいならそういう回りくどいことをすべきではない
もちろん、カッコつけたいだけならそれで問題ない
---4/28(金)----
「普通」という言葉を親の仇のように嫌う風潮はなんなのだろうか
例えば「〇〇歳では結婚するのが"普通"」と言われて傷つくことは普通なのだろうか
もちろん、「普通」という言葉を「普通は〇〇なのに、そうじゃないあなたは変だ(≒悪い)」のように使う例はあるし、そういう意味で言われたならいい気分はしないだろう
しかしそれは「普通」という言葉を使わなくたって気分が悪いし、批判すべきは、表面的な言葉ではなく、悪意やそれを隠さないことの方だろう
くだらない言葉狩りばかりで問題の本質には向き合おうともしない、その愚昧で陰湿な態度が炎上だのなんだのといった昨今の社会の空気を生み出しているに違いない
お前らこそが悪臭の原因なのだ
普通の反対は異常・希少・特殊・特別…いろいろな言い方があるだろうが、ポジティブな意味を持つこともあれば、ネガティブな意味を持つこともある
「普通」という言葉それ自体はポジティブでもありネガティブでもある
問題は使われ方だ
というか言葉はすべてそうだ
言葉の意味は本当のところは誰とも共有できない
よく言われるのは色の例だろうか
「自分が"赤"と呼んでいる色が他人からは自分が"緑"と呼んでいる色に見えているかもしれないが、その人はその色を"赤"として学習していて、2人ともそれを"赤"と呼ぶのでそれを認識することはできない」みたいなアレ(逆転クオリアというらしい)
これはすべての言葉について同じことが言える
あなたが使っている「普通」と他人が使っている「普通」はどこまで同じでどれくらい違う意味を持っているのか測りようがない
あなたはネガティブな意味に捉えたかもしれないが、発言者はポジティブな意味で使ったかもしれない
それなのに、表面的な言葉のみを捕らえてポリコレだのなんだのと騒ぐことになんの意味があろうか
人を、言葉を、意図を、理解した気になるのは傲慢なことだ
そんなものは知り得ない、測り得ないということを念頭に置かねばならない
しかしそれは諦めではなく、むしろだからこそ他者のことを理解しようとするのだ
絶対に理解できることはないが、皆目検討もつかないということもまたない
「おそらくこういうことかな?」を互いに繰り返しながら感覚をすり合わせていく
それこそがコミュニケーションというものであろう
---4/29(土)---