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一足早い読書の秋に小説をじっくり読む

脚本家・壽倉雅(すくら・みやび)でございます。

まもなく9月も終わり、ようやく酷暑からも解放されそうです。まだ暑い日が続いていますが、意外と夜は涼しくなったりしています。
長い酷暑で、ここ数年はすっかり「秋」と呼ばれる時期が短く感じ、一気に寒くなりすぐに「冬」という季節が到来します。

「読書の秋」は、基本的に10月下旬から11月上旬の時期を言うそうですが、今回は一足早く「読書の秋」を迎えた私が読んだ、小説を2作ご紹介したいと思います。


初めて日本に降り立った日本人女性の、ある1年近くの出来事を描いた『女の顔(上・下)』(作:平岩弓枝)

まずご紹介するのは、平岩弓枝氏作による『女の顔(上・下)』。
父が戦死した後、アメリカに渡った母の元で日本教育を受けた主人公の女性。その母が亡くなり、遺骨を抱いて初めて日本の地に足を踏み入れるところから物語が始まります。

情報を頼りに、父の実家や母の実家を訪れますが、かつて結婚に反対していた父の実家では親戚一同から邪険に思われ、故郷を捨てた母の実家では近所への気兼ねで親戚に迷惑をかけてしまうと、一人行方をくらまし、東京で家政婦紹介所の寮で暮らし、家政婦として働き始めます。

派遣先で世話になる家族や、父の実家、そしてその周囲の人物……一見接点がないと思われる登場人物が、意外なところで全て繋がっていきます。
「え、この人とこの人が繋がるの?」と、まさしくこれは偶然なのか必然なのか分かりませんが、とにかく出てくる登場人物たちは、基本誰かの同級生や幼馴染やかつての恋人……と、繋がりに繋がりを重ねていきます。

主人公の女性は、日本人でありながら、これまで暮らしたことのなかった「日本」で暮らしはじめ、そんな周囲の人に巻き込まれながら様々な出来事に遭遇していきます。そして、主人公と深くかかわる男の人たちも……。

かつて、1970年代にはテレビドラマ化もされたことのある本作。DVD-BOXも発売されているようなので、ぜひ機会があれば見てみたいものです。

幕末という激動の時代を駆け抜けた女性の一代記を描いた『天璋院篤姫(上・下)』(作:宮尾登美子)

次にご紹介しますのは、宮尾登美子氏作による『天璋院篤姫(上・下)』。
タイトルのとおり、江戸幕府第13代将軍に嫁いだ天璋院こと篤姫の半生を描く一代記。幼少期のエピソード、やがて藩主の養女となったのち、将軍御台所として大奥に入興し、無血開城を迎えていくまでの、様々な出来事を描いています。

時は幕末。薩摩島津家の分家の娘として生まれた篤姫は、男勝りな性格で、勉学にも励み、たくましい女の子に育っていきます。やがて、藩主・島津斉彬にその才覚を認められ、本家の養女となります。そして、斉彬の思惑に操られるように、江戸幕府将軍家の御台所として嫁ぎ、大奥で生きていきます。

幕末は激動の時代で、大奥に上がったのちも、将軍継嗣問題、安政の大獄、桜田門外の変、公武合体、無血開城など、歴史上に残る様々な出来事に遭遇していく篤姫。武家である薩摩出身でありながら御台所となり、徳川の人間として生きていくも、やがて倒幕問題となると故郷薩摩と嫁ぎ先徳川の板挟みとなります。

明治という新時代を迎えるまでの、天璋院篤姫の怒涛で波乱な生涯の中で抱える心境が丁寧に繊細に描写された一冊となっています。

ご存じの通り、この小説を原作にしてテレビドラマ化されたのが、2008年放送の大河ドラマ『篤姫』です。


1ヶ月の中で、こんなにも小説作品に没頭したのは初めてだったかもしれません。今後、小説執筆と販売を考えてる私にとっては、インプットのできるとても充実した1ヶ月でした。

これからも、小説は定期的に読みたいと思います。

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