夢見る少女じゃいられない
暑すぎて何も考えられなくなっていた。
相変わらず肌の調子は悪い。
「大きくなったら何になりたいですか?」
小学生の頃、漫画家になりたかった。
ちゃおで連載されていたきらりんレボリューションに衝撃を受けて、家に帰って毎日絵を描いていた。鉛筆を持ちすぎたせいで、右手の中指に大きなペンだこが出来て、未だに残っている。
夢って、偉大だ。
何にでもなれるような気がする。
あれになりたい、これになりたい。思い浮かべるのは自由で、だからこそ何にでもなれるような、出来るような気がする。幸せな時間。
落書き帳に書きだめていた少女漫画は、今はどこかへ消えてしまった。
いつからか夢を叶えるのは難しいことだと、つまりは夢から醒めて、落書き帳ではなく教科書に鉛筆を向けるようになった。
あたしを救ってくれるのはスーパーヒーローではなくて、あたしが見る夢そのものだったのかもしれない。
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