専門家の適切な関わり

2019年に熊本日日新聞で掲載していたコラムの一部を紹介します。

 熊本地震で大切さを実感したことの一つが専門家の関わりです。
避難所だった益城町総合体育館で、子ども支援のキッズルームの運営を私たちが引き継いだのは2016年6月。
仕切りの向こうで過ごしている避難者に迷惑が掛からないよう、細心の注意を払いながらの活動でした。
 親子の相談に応じるため、公認心理師の先生が足しげく通ってくださいました。当時、避難が長期化や激変した生活環境で不安さを抱えた子どもや保護者は少なくなく、支援する側の私たちにとっても先生は心強い存在でした。
 町の乳児検診が滞っている事情を知った歯科衛生士はママたちの相談に乗り、歯磨き指導もしてくれました。
 地震前の子育て講座は託児付きで、親子を分離して保護者に集中して参加してもらう形式でしたが、キッズルームでは子どもを親から離さず一緒に遊べる内容に改めました。工夫ができないか県立劇場に相談すると、東京の演劇家の来熊が実現しました。表現活動の指導を受けた親子はおおきな声で飛んだり跳ねたり。幼児向けの体育指導の専門家も、親子で楽しめる運動を教えてくれました。
 周囲の家屋は倒壊し、道路は波打っていました。危険な中で子ども達は窮屈な車中泊を続け、避難所では周りを気遣って小声で話す生活を強いられていました。必要な時期に専門的な支援をいただけたことに感謝するばかりです。久しぶりに笑って動いて・・・親子の輝いた表情が今も忘れられません。
2019年4月19日掲載

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