SUKIYAKI

初めまして。SUKIYAKIと申します。文章を書くことが好きで、日常の中で感じたことや、頭に浮かんだ物語を綴っています。読者の皆様に楽しんでいただけるような短編やエッセイをお届けしたいと思っています。少しでも心に残る言葉や物語に出会っていただけたら幸いです。

SUKIYAKI

初めまして。SUKIYAKIと申します。文章を書くことが好きで、日常の中で感じたことや、頭に浮かんだ物語を綴っています。読者の皆様に楽しんでいただけるような短編やエッセイをお届けしたいと思っています。少しでも心に残る言葉や物語に出会っていただけたら幸いです。

最近の記事

夜の静寂が深まる頃、彼女はあの約束の場所へと足を運んだ。毎年この日、この場所で彼と再会することが、彼女の生きがいだった。彼女にとって、彼との時間は一年に一度の奇跡だった。 「彼」との出会いは、偶然だった。夏の夜、薄暗い森の中でひとり迷子になった彼女は、光を放つ小さな存在に導かれた。そこにいたのは、一匹の蛍だった。彼女はその蛍に魅了され、その光を追いかけるようにして進んでいった。やがて、蛍の光に導かれた先で、彼女は一人の青年に出会う。 彼は静かに微笑み、彼女を見つめていた。

    • さんかく

      夜の静まり返った学校の教室で、小さな三角形が目を覚ました。彼は、机の上に散らばった文房具の一部であり、自分が何か重要な役割を果たすことを夢見ていたが、ただの道具に過ぎないことに少し寂しさを感じていた。 ある晩、彼は隣に座っていた古びた定規に話しかけた。「僕は、何のために存在しているんだろう?」と。定規は優しく答えた。「君は、他の道具と一緒に働いて、素晴らしいものを作り出す力を持っているんだ。だけど、その力は君一人では発揮できないんだよ。」 その言葉が心に響いた三角形は、夜

      • ライター

        街の中心にある古びた文房具店には、奇妙な品が並んでいた。その中で最も目を引くのは、錆びた金属のライターだった。店主はそれを「使えないライター」と呼び、値段もつけずに店の片隅に置いていた。ライターにはほとんど擦り傷と塗装の剥がれしかなく、誰も手を伸ばさなかった。 ある日、一人の若い女性がその文房具店に立ち寄った。彼女は雑誌に載っていた珍しい文房具を探しており、店主に尋ねたが、目当てのものは見つからなかった。店を出ようとした時、ふと目に留まったのがそのライターだった。興味本位で

        • クリームソーダ

          夏の夕暮れ、男はふと立ち寄った懐かしい雰囲気の喫茶店に足を踏み入れた。店内は静かで、どこか昔の思い出を呼び起こすような空気が漂っている。「クリームソーダをお願いします」と、彼は注文を告げた。 しばらくして、カウンターの奥から店主がゆっくりとグラスを差し出した。「このクリームソーダを飲むと、一番幸せだった夏に戻れるんです」と、彼は柔らかな声で言った。 半信半疑で一口飲むと、眩しい光に包まれた。気づけば、彼は高校時代の夏祭りにいた。夜空には花火が咲き、浴衣姿の初恋の彼女が隣に

          SUKIYAKIより

          これから短編集を綴ってまいります。このnoteでは、さまざまな物語を少しずつ紡ぎ出していく予定です。一つ一つの短編が、読んでくださる皆様の心に小さな灯火となって灯れば幸いです。日常の喧騒から少しだけ離れて、物語の世界に浸っていただければと思います。今後とも、どうぞよろしくお願い申し上げます。皆様との新たな出会いやご意見を楽しみにしております。

          SUKIYAKIより