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レモンの図書室を読んだ

自分用の感想メモ

・序盤のカリプソは過去の私にとても似ていて親近感があった。本が好き。強い心を大事にする父。泣いてはダメだと思っているところ、人付き合いよりも本を読んでいる方が良いと思っているところ、読んでいる本(アンネの日記とか赤毛のアンとか)も昔の自分に似ていて昔の自分の思い出したくなかった部分を思い出して結構心をえぐられた。カリプソはお父さんとお母さんの死について気持ちを分かち合うことができなかったけど、私もお母さんのケアについて父と話し合うことができなくて、私ばかりが弱くて泣いていて、ダメな人間なんだと思っていた。現実の世界にはどうしてもダメ人間で大嫌いな自分が存在するけれど、本の中には自分は出てこない。自分の嫌な部分を見なくて済む。楽しい。他人との関わりも怖かったから、本当に本の世界は救いだった。もちろんカリプソのように物語の世界が純粋に好きだし、文章や言葉も好きだったけれど。アンネの日記は学校の図書室に毎日昼休みに通って読んでいた。教室から離れたかった。この頃は戦争に興味があって、「犬の消えた日」も読んでいた。

・カリプソと私が違うのは、友達の家と自分の家の違いを素直に認めて、愛のある方へ進んでいけるところ。愛情を受け取ることを恐れないところ。私だったら素直にメイのお家で夕飯を食べたり、楽しく遊んだりできなかったな・・・と思う。それはカリプソのお母さんが生きている間にカリプソに愛を与えてくれていたからだと思う。

・レモンの図書室の謎が解けるシーン。自分と似たカリプソが大声で感情をむき出しにするシーンは、昔の自分にはできなかったことをしていて、カタルシス的な効果もあったんだけど、同時にウッとつらくなるシーンでもあった。大人として、まだ少女のカリプソが子どもの身体には見合わない大きな感情を吐き出している様子を見ているのもつらかったし、児童文学っぽい雰囲気の本で自分も子どもに戻ったような気持ちで読んでいたので、カリプソの激情は子どもでは到底受け止めきれなくて、そういう意味でもつらかった。

・『WONDER 君は太陽』を読んだとき、オーガストの両親目線の章も欲しかったと思ったが、作者のインタビューで、「子ども向けの本なのであえて大人の事情は入れていない。大人にもそれぞれいろいろな事情はあるけれど子どもに心配させてはいけない。」と言っていて、確かにそれもそうだと思った。とはいえ、やっぱりカリプソのお父さんもどんなことを考えていたのか知りたいなーと思った。ケアを受けている人がどんな気持ちでいるのか知りたい。

・カリプソはまだあんまり乗り気じゃない感じだったけど、親の面倒をみる子どもの会に参加できてよかったと思う。実際にお父さんへの対処にも役立っていたし。きっとこれから、カリプソの力になってくれる場所になるんだろうなと思う。

・メイたんかわ・・・。メイもカリプソも健やかに育って幸せになってくれよ・・・!二次創作が得意な子どもだったら絶対にメイとカリプソが書いた小説を書いていたと思う。赤毛のアンの物語クラブのイメージにちょっと近い。メイのお母さんも優しい。布汚しちゃったシーン私まで泣くかと思った。

・レモンのようにちょっと苦みのあるシーンもちょいちょいあるけど、全体的には爽やかに、これからの希望になるような一冊。子どもの頃に出会っていたら、カリプソともメイとも友達になれていたと思う。


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