安田の公式
さて突然ですが、安田の公式というものをご存じでしょうか?
安田の公式とは、分数関数 $${y=\dfrac {f(x)} {g(x)} }$$ が $${x=\alpha}$$ で極値をとるときに
$$
\dfrac {f(\alpha)} {g(\alpha)} = \dfrac {f'(\alpha)} {g'(\alpha)}
$$
が成立する、というものです。note で書くととても分かりづらいですね。
注記:数式で書けることを知ったので数式で書いてみます。
安田の公式は、安田亨先生が考え出した公式です。安田先生は、ハッと目覚める確率を書いた先生です。大学受験の数学界隈では有名な先生です。
安田先生が考え出した、とはいうものの、考えてみれば成り立つのは当たり前なんですが、言われないとなかなか気づけないです。
考えてみれば成り立つのは当たり前、というのは、証明すれば簡単です。
商の微分を考えてみましょう。商の微分は前微分-後ろ微分ですね。商の微分法を忘れてしまった人は、積の微分法からなんとか作り出しましょう。
$$
\begin{split}
\left \{ \dfrac {f(x)} {g(x)} \right \} ' &= \left \{ f(x) (g(x)) ^{-1} \right \}' \\
&= f'(x) ( g(x) ) ^{-1}+f(x) \left \{-g'(x) ( g(x) ) ^{-2} \right \} \\
&= \dfrac {f'(x)g(x)-f(x)g'(x)} {g(x)^2} \\
\end{split}
$$
と導出します。
知りたいのは $${x=\alpha}$$ のときです。 $${y= \dfrac {f(x)} {g(x)} }$$ が $${x= \alpha}$$ で極値を持つということは $${g(\alpha)\not=0}$$ が成り立ちます($${g(\alpha)=0}$$ のとき、 $${y}$$ は $${\infty, \space -\infty}$$ のどちらかに発散しています)。
先ほど
$$
\left \{ \dfrac {f(x)} {g(x)} \right \} '=\dfrac {f'(x)g(x)-f(x)g'(x)} {g(x)^2}
$$
を導出しました。$${x=\alpha}$$ で極値を持つとき、
$$
\left (\left \{ \dfrac {f(\alpha)} {g(\alpha)} \right \} ' = \right ) \dfrac {f'(\alpha)g(\alpha)-f(\alpha)g'(\alpha)} {g(\alpha)^2} =0
$$
ここで、 $${g(\alpha) \not =0}$$ より両辺を $${ \{ g(α) \} ^2}$$ 倍して
$$
f'(\alpha)g(\alpha)-f(\alpha)g'(\alpha)=0
$$
が成り立ちます。
移項して
$$
f'(\alpha)g(\alpha)=f(\alpha)g'(\alpha)
$$
両辺を $${g(\alpha)g'(\alpha)}$$ で割ると
$$
\dfrac {f(\alpha)} {g(\alpha)}= \dfrac {f'(\alpha)} {g'(\alpha)}
$$
が成り立ちます。
なぜ思い出したのかさっぱりわかりませんが、今が大学受験シーズンだからでしょうかね。わたしは理系でしたし、数学がそこそこ得意でした。なお、計算ミスが多くてとある大学を落ちましたし、入学した大学でも2次試験で数学が足を引っ張っています(たぶん)。
ちなみに、大学入試でこの公式が使える機会はありませんでした。まあ、知らなくても分数関数の極値は力業で出せます。
この公式を使う機会がない理由として最も大きいのは、これが役に立つ問題がそもそもそこまでないことです。分数関数の極値を求めるときぐらいですから。しかし、分数関数の極値を求める問題が出されたらこの公式を知っているだけで無双できます。計算時に次数を減らせますから。25 年ほど前は福島県立医科大で毎年出されていて、この公式を知っているかどうかが合否を分けたらしいですが、今はどうなんでしょう? 有識者待ってます。
今日は、今までの note とは少し毛色の違うものになりましたが、好き勝手書いているのでこれからはこういうことも書きたいと思います。