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例えば息をするだけで
例えば息をするだけで、精一杯な日がある。
生きているだけで偉いと自分を甘やかしたい日がある。
モニター前の自分は何者でもなくて、
真に誰とも繋がれないそれは、私の存在を消していった。
久々に街に出た。
改札が変わり広告が変わり、パチンコはドラッグストアに、駅前には高層ビルが建っていた。
知らない世界が何処までも広がっていた。
何処にいても新しかった。
私の時間が止まっていても、それでも世界は進んでいた。
友人との会話がこんなに幸せだとは。
ただ言葉を交わすだけで笑顔になれる幸せを噛み締めた。これからは「ただ」なんて付けないと誓う、それくらい幸福な時間だった。
やっと地に足がついたような気がした。
自分がそこに存在していた。
自分が居ようが居まいが進んで行く世界が
私の時間を戻してくれた。
自分の何かが変わった訳でも得た訳でもないけれど、
「ここに居る」と強く感じた一日だった。