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しっとりとドット絵の世界にひたれるゲーム。『Refind Self: 性格診断ゲーム』感想

Refind Selfリファインド セルフ: 性格診断ゲーム』との出合いは、今夏の8月27日のニンテンドーダイレクトでした。

インディーダイレクトの中でも、ひときわ良さそうなドットゲーあるやん、と第一印象。

実は製品版とUIがちょっと違う

大手メーカーはどこも3Dグラフィックでしかゲーム作らなくなっちゃったんで、インディーならドット絵の作品を選びたい。ゲームといえばドット絵の世代なので。GBAとかのね。

加えて、日本アニメ風のキャラデザインの女の子。これが良い。インディーでもカートゥーンよりはやっぱり日本風の絵柄。キャラが好きになれるなら、作品も好きになれる可能性大。

これだけ理由があれば購入を決めるのには十分でした。というワケで、10月3日予定だったSwitch版の発売を待って、さっそく購入。


①どういうゲーム?

自分はニンテンドーダイレクトを見てこのゲームの事を知ったんですけど、ぶっちゃけインディーゲーって、Switch版を買うよりSteam版やスマホ版を買うほうが安いんですよね。

今作もSwitch版は1210円で、スマホ版は600円だから半額以下(2024年11月現在)。

だからこれ、フツーならスマホ版を買いますよね。同じ内容で違う値段なら、安いほうを買うのが当然。それに、ゲーム機を持ち出すよりもスマホのほうがパっと始めやすい。

金額、簡易さを重視する考え方。

でも、Switch版を買う事によるメリットもあるんですよ。長時間やるゲームであればやっぱりコンシューマーのほうが操作しやすいし、パソコンやスマホと違ってOSのアップデートでゲームが遊べなくなるという事もない。

操作性、永続性を重視する考え方。

どちらが良いと思ったでしょうか? もちろん人それぞれですが、その「選択」には個々人が重視する価値観、つまりは「性格」が出るんですよね。
 

そしてこのゲームの公式サイトを見ると、1行目の文章にこうあります。「ゲームって、性格が出ると思いませんか?」

↑英語のページタイトルだけどリンク踏むと日本語になる

 
まさに『Refind Self』は、ゲーム内でのプレイヤーのそういった「選択」を通して、プレイヤーの「性格」を診断するという作品なのです。

1回のプレイは40分くらい。それを3回繰り返す事でプレイヤーの性格が完全に診断され、ゲームもエンディングを迎えて終わり。

まあ、それだけの短いゲームです。ですが、その中に目を見張る要素が結構詰まっています。

②ドット絵とキャラデザ

シックな色合いのアートワーク

まず、グラフィック面。ドット絵とキャラデザが良いですね。最初に書いた通り、ひと目見てそれが良かったから買ったんですが。

ゲーム内のグラフィックは全編ドット絵で描かれています。やっぱドットは落ち着きますねー。まさにゲームって感じがするし、ドットキャラ独特の可愛らしさもある。

普段はそりゃ3Dのゲームやってるんですけど、ふと思い返すと、画面いっぱいの3Dモデルって何か情報量多いというか。一方、ドットは画面情報が限られてるのが心地良い。

また、白・ベージュ・オレンジなどのアースカラーを基調としたグラフィックデザインで、目に優しい。そこに世界観の雰囲気やBGMなども合わさる事で、ゲーム全体として穏やかなイメージが演出されていると思います。

フィールドや操作キャラのデザインは『アンダーテール』(2015)風。やっぱりインディーゲーといえばコレって事でしょうか。

主人公の「うつわちゃん」(名前変更可)。
10月上旬は金木犀の季節が近かったので「フレグラント」と命名。
1~3周目はこの名前でプレイ

加えて、キャラクターのデザインが可愛い。日本アニメ風の絵柄は良いですね。だって日本人だもん。

ゲームもアニメも何でも、キャラクターのビジュアルデザインが目に留まるか、特に主人公を気に入るかどうかは非常に重要な要素だと考えています。

そこへいくと、この作品は白髪ロボットの主人公「うつわちゃん」が可愛いし、黒髪の同型ロボットのサブキャラクター「だる」「きぼう」「みらい」達も可愛い。

カフェ店員の「だる」。実のところ、仕事はできる。やる気の問題。線目が可愛い。

お助けロボットの「きぼう」。どの周回でも突然空からの垂直落下で現れる。おもしれー女。

カジノディーラーの「みらい」。きっぷの良い男口調がカッコいい。何故かロケットランチャーを携帯している。

③世界観

人型も、それ以外も、みんなロボット

作中の世界観も良いですね。主人公のうつわちゃんが歩くのは、人間のいなくなったロボットだけの世界。そんな世界でうつわちゃんをどう動かしたかによってプレイヤーの性格が診断されるというのがゲーム内容。

だけど人間がいなくなったからといって荒みきった世界というワケではなく、人間がいないならいないなりに、残ったロボットたちがそれぞれのあり方で生活を営んでいます。

ポストアポカリプスってヤツですが、けっして暗くない世界観が良い。終末後の静かな平穏というか。グラフィックやBGMも相まって、とても落ち着く。

とはいえ完全に平和というワケではなく、この世界が「今の姿」になった理由や影響が、様々な所に存在していたりもするのだけど……。

まあプレイヤーとしては、それを探るも良し、何もせずにラーメンを食べたり猫を撫でたりするのも良し、というゲームです。

そう、この世界では色んなコトが出来て、現実でも出来そうだけどあまり出来ないコトも出来るのが良い所。特にカフェでアルバイトしたり、タバコを吸ったり出来るのが非日常でオシャレでスキ。

こういうしっとりした世界観は好きですね。ドットとの相性も良い。こういう穏やかな世界観の作品には増えてほしいものです。

④双方向体験

「大きな人」にバッテリーを渡せば、「貧しき人」は活動を停止するだろう。逆もまた然り。
では3つ目の選択肢は?

ゲームは「双方向体験」のメディアといわれます。

映画やアニメが視聴者に映像や音などを届けるだけの一方通行なのに対して、ゲームはプレイヤーが動きを入力すればキャラが動き、敵にダメージを与えれば敵が倒れる、というプレイヤーのアクションに対してゲームがリアクションをする「双方向性」がある、というコトです。

……と言われても、これ、ゲームでは当たり前のコトですよね。プレイヤーが何かすれば、ゲームが何かを返してくるのは、ゲームでは当然。常識すぎてどのゲームだってそうじゃん、と思うのではないでしょうか。

だけど、これって本来とても面白いコトなんじゃないかと思うんですよ。プレイヤーの一つ一つのアクションに対し、ゲームが何らかの個別の反応を返してくる。プレイヤーの行動で、ゲームの中の世界が変革する。

この『Refind Self』は、まさにそんなゲームの「双方向体験」の面白さを凝縮したようなゲームでもあると感じます。

「愛情」を貰うと、「聖職者」に【+4】される。いや愛情を貰うってどゆ(ry

このゲームは、プレイヤーの様々な行動を最後の「性格診断」の結果に反映させます。

最初に落ちてるアイテムを拾うのか、拾わないのか。町へ行くのか、来た道を戻るのか、それとも動かないのか。2体いるロボットのどちらの命を救うのか、あるいは両方見捨てるのか。

プレイヤーの干渉は世界に反映され、その周回では結果は固定されます。どんな選択肢をとってもいいですが、見捨てたり殺したりしたキャラの命は戻りません。

そして大体どんな行動を取っても、何らかの職業にまつわるポイントが加算されます。上の画像だと「愛情を貰う」選択をした事で、「聖職者」に【+4】されています。プレイヤーの行動のすべてがゲームに判定されるのです。

少なくとも1周目は、最後の性格診断まで含めて「自分の選択の結果」が、ゲームからダイレクトに反応として返ってくる事がとても新鮮に感じられました。

そういう「ドラクエ1で十字キー押したらゲーム内の主人公が動いて感動!」みたいな、ゲームというメディアが持つ「双方向体験の楽しさ」を、このゲームは地味ながら原始的なカタチで持っているなと思いました。

たくさんのゲームをやってきたという人ほど、一回これを体験してみてほしいですね。

⑤ストーリー

このゲームは性格診断のゲームなのですが、実はちゃんとストーリーもあります。

先に書いたように、世界観の謎を探るのもその要素。ゲームを進めるにつれて、主人公のうつわちゃんには生みの親である「博士」がいた事、うつわちゃんと博士はある約束をしていて、うつわちゃんはそれを果たすという使命がある事がわかってきます。

そして性格診断が終わる3周目の最後、ストーリーも最後の局面を迎えます。探索を通して「博士」の考え方を理解していれば、最後のストーリーの仕掛けに気付いて、納得のエンディングを迎えられる事でしょう。

でも、もしかしたら最後までやっても意味がよくわからないストーリーだったと感じるかもしれません。正直、最後のネタバラシが結構説明足らずなので。

上述の探索で過去の博士の姿を見つけられるかはプレイ次第だし、見つけていたとしても説明が少ないから正しく解釈できるかはプレイヤーに託されていると感じます。

はっきり言って、自分は初見ではエンディングのストーリーが何故そうなるのかを理解できませんでした。多くを語らない行間を読ませる作りともいえますが、プレイヤーに理解されていないのでは設計としては良くないと思います。意図を理解できていれば、良いストーリーだとわかるのですが。

ネタバレになりますが、クリア済プレイヤー向けにエンディングのストーリーの考察を置いておきます。未プレイの方は飛ばしてもらえるとありがたい。なるべく核心はボカして書いてみますが。
 

【考察】博士は「うつわちゃんが同じボディである事」にこだわった。うつわちゃんも、博士の思いに共感した。博士はある目的のために、自分のDNAを羊の中に残した。その博士の行動は、うつわちゃんには矛盾して見えた。博士がかつてこだわったのと同じように、うつわちゃんもこだわった。だからこそ、うつわちゃんは周回の最後にあの行動をとり続けた……。だと思います。

⑥性格診断

そうして1回のプレイを終えると、その終わりごとにプレイヤーの性格診断がなされます。

この数々の職業に扮したうつわちゃんのドット絵がまた可愛い。

性格を象徴する職業の分類はいくつもあります。色んなエリアに足を運びまくってたら「冒険家」、キャラに対して親切な行動を取り続けてたら「聖職者」、強引な手段をよく取ってたら「番長」……みたいな感じ。たぶん。

ちなみに自分は、初回プレイだけが「武闘家」で、2周目以降はずっと「侍」と診断され続けました。7周目までやったんですが。そんなに大和魂?

どうあがいても「侍」

まあ性格診断要素に関しては、ぶっちゃけ最初から性格診断に興味持って買ったんじゃなかったし、診断とかされても何ともな~というところです。

何の職業に診断されたところでゲーム内で何かあるワケでもないし。まあ女の子ならこういうのは好きなんじゃないでしょうか。

なんか画像内のIDから自分のプレイ記録と全国のプレイヤーの行動を比較できたりもするらしいので、もし興味のある方はどうぞ。

3周目終了後の最終結果のグラフ。最も遠い性格は【-6】の「哲学者」。はお~ん


でも「ゲームのプレイを通して性格診断をして、それを元に主人公のキャラを選ぶ」という仕組みのゲームは、もしあったら面白いんじゃないかな、とは思いました。

性格診断されてゲームにお前の性格はこれ、って言われてるんだから、単一の主人公や自由なキャラメイクから始まるより主人公キャラに感情移入できそう。

『ドラクエ3』(1988)は最初にそんな要素ありますよね。『ポケモン不思議ダンジョン』(2005~)もそう。

思えば「最初に主人公を選ばせるゲーム」は、プレイヤーに複数から1つを選択させる事で主人公への感情移入を促す意図があると感じます。御三家から1体を選ばせるポケモン本編しかり、4~8人の主人公候補から1人を選ばせるサガシリーズしかり。

はー、ゲーム作る人って色々考えてるんすねぇ。

⑦総括

私の事が好き…ってコト!?

それではゲーム感想の総括に入りたいと思います。まず『Refind Self』の魅力は、ドット絵とキャラデザと世界観。これは間違いない。

落ち着いたグラフィックと世界観に合ったBGMも良いですね。おそらく日本人制作者で、日本語が自然なのもインディーゲーとしては良いところです。

性格診断要素はあまり興味がないかな。ストーリーは一見してオチがわかりにくいけど、真意を理解できれば良いと感じられるストーリーです。

インディーゲーは当たり外れあるとは思いますが、自分はこれは買って良かった。プレイ時間こそ短かったけど、2024年の記憶に残るゲームだったと思います。
 

そんな感じでした。普通に遊べば2時間くらいで終わるので、1000円はちょっと割高かなと思うのですが、スマホ版もあるし、そこはまあ個々人の「性格」次第というコトで。

アートや世界観を楽しむ2時間としては間違いなく良いモノになる、と自分は保証します。

似たような雰囲気でもっとボリューム増やしたゲームを作ってくれたら値段高くても自分は応援しますよー!?

⑧オマケ要素

実は3周クリアしてエンディングを迎えた後にオマケ要素が解禁されるんだけど、これ気付いてる人どれくらいいるんでしょうか? 4周目を開始しようとしない限りはゲームからは教えてくれないし。

メニュー画面のメインコンピュータの隣にある、サブコンピュータを選択すると始められます。多数派の選択を当てる、2択クイズゲームです。

これが最初は「コーヒーか紅茶、どっちが好き?」みたいな普通の質問から始まるんだけど、途中からギア上げてきて色んなジャンルのパロディが始まったりするのが面白い。まあオマケ要素らしく、楽屋裏ってカンジですね。

どこにでも行けるドアと無限なポケット!!?


あとコレ何? ワザッポ? 理由はもちろんお分かりですね?

 
 
それでは以上です。ここまで読んでくださってありがとうございました。

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