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書店員さん

振り替えると長蛇の列ができていた。

一日中クーラーがついている家で過ごしていて、急に不安感が襲った。
「死ぬかもしれない!」
あまりにも快適な環境下に慣れてしまっていることに不意に気づいたのである。このまま冷気に当たり続けたら、甘ったれた、なよなよっとした体へと変貌し、ソファの上から動かなくなり、ひっそりと息を引き取るんだ、誰にも気づかれず…!

重い腰を上げることにした。
リハビリだ、リハビリ。

灼熱のコンクリート荒野に身を投じ、5分と経たない内にコンビニへ直行。アイスコーナーを覗き冷静さを取り戻す。
「…………違う違う!リハビリになってないぞ!」
頭を振り、店員の怪訝そうな目を無視して再び外へ。

とりあえず、15分。
体全体がぬるっとぬちゃっとしてきたところで本屋に入る。
「はあああ……っ!」
涼しさに思わず声が漏れ、再び怪訝そうな目が向けられる。
なんとか正気を取り戻し、欲しい本があったことを思い出す。あ、そうだプリペイドカードも買うんだった。と、いそいそと商品を持ってレジへ。

このとき、この買い方がいかに面倒かを私はまだ知らない。

このご時世、店員はマスク、自分もマスク、レジの上部には透明なシート。シートの切れ目に商品を置く。店員に尋ねられる。

「ポイントカードはお持ちですか?」

あ、はい、と財布からカードを取り出す。

「プリペイドカードにはポイントが付きませんので、会計は別になりますがよろしいですか?」
「はい、大丈夫です」

あれ…?

「ポイントはご利用になりますか?」
「いえ、使わないです。」
「レジ袋はご利用ですか?」
「いらないです」
「カバーはお掛けしますか?」
「お願いします」

……あれ…?

「◯◯円になります。」「プリペイドカードのお支払になります。おいくらご利用ですか?」「プリペイドカードご購入の際は返金できませんがよろしいですか?」「左の画面の確認ボタンを押してください。」「レジ袋はご利用ですか?」「1万円からでよろしいですか?」

……もしかして、俺、すっっごいめんどくさい買い方してる!?

店員のセリフ量が尋常じゃないことに気づいた。気づいたが時既に遅し。後ろをちらりと振り返ると行列ができてしまっていた。

ポイントカード、プリペイドカード、レジ袋、本のカバー、マスクとシートによる二度聞き。何かのサービスや効率の犠牲になった皺寄せがここに来ている!

私は接客のアルバイトもしたことが無いような腑抜けた大学生だが、この会計の手順の多さはどうにかした方がいいのでは?と思ってしまった。

というか、何よりも、そんな買い方をしてしまって、本当にごめんなさい!本屋の店員さん!せめてまた買いに来ます!

反省してるんだか、してないんだか。買うことが仕事を増やしてることに、変わりはないのだけれど。

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助六
つたない文章や絵ですが読んだり見たりしてくださり、ありがとうございます。僕のnoteを読んで「ふっ。」と「ほっ。」ときっと出光してくれたらエネゴリ君になります!不束者ですが、何卒。