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ラテン系移民が選ぶネオバンク『Comun』の魅力とは?


アメリカに住む移民向けネオバンクの「Comun」が2,150万ドルの資金調達を実施した。これは、2023年12月に発表された450万ドルの資金調達からわずか9か月後のことである。

共同創設者のアンドレス・サントス氏とアビエル・グティエレス氏は、メキシコからの移民だ。米国に移住した際に金融排除に直面した経験から、2021年末にComunを立ち上げた。

今年の初めには新しいプロダクトを投入し、ユーザー数が増加とともに、ユーザーあたりの収益も約4倍に増加している。

競争が激化する「移民向けのFintech」市場で、Comunが持つ特徴とは何なのかを見ていく。

「移民向け」という巨大市場

Comunはスペイン語で「共通の」という意味を持つ。このサービスは、主にラテン系移民をターケットに、銀行口座とデビットカード、そして送金サービスを提供している。

移民向けのFintechはTandaやBloom Moneyなど、多くのスタートアップがひしめく競争の激しい領域だ。特にラテン系移民にフォーカスした場合、一見すると小規模な市場の争奪戦に見えるかもしれない。しかし、現実は異なる。

現在、アメリカでは6,200万人のラテン系移民が暮らしており、GDPベースでは世界で 5 番目に大きいGDP(3.2兆ドル)に相当する。この金額は、メキシコとブラジルを合わせた以上の規模となる。

さらに、毎年100万人以上のラテン系移民が増加しており、人口は2060年までに1億1,000万人に達すると予測されている。この巨大な市場をターゲットにしているのだ。

10億ドルを超える決済流通額

アメリカで銀行口座を開設するためには、通常、アメリカの社会保障番号や住所証明書が必要である。しかし、サントス氏によれば、これらの証明書類を持っていないために、多くの移民が「銀行を利用しない」という選択を余儀なくされているという。

Comunでは、ラテンアメリカからの100種類のIDを使用して口座を開設できるようになっており、移民が直面する多くの障害を取り除く設計がされている。また、同時に不正な口座開設を防ぐ取り組みも行っている。

収益は、決済手数料、送金手数料、預金利息、即時取引の仲介手数料などから構成される。口座開設料や会費は一切発生しない。

Comunは現在、年間10億ドル超の決済額を処理する見込みだ。サントス氏は「2024年初頭まで、収益の大部分はChimeや他のネオバンク同様、決済手数料から得ていた」と語っている。

新しい収益源へと成長

Comunは決済手数料への依存を減らすための取り組みを進めている。

今年3月には、新たな収益の柱として送金サービスをリリース。平均して月に3.1回の送金が行われており、「現在、決済手数料による収益は全体の50%未満に減少し、送金など他の収益源が大きく成長している」という。

現在、Comunには20人の従業員と約50人のカスタマーサポートエージェントが在籍している。

今回の資金調達を、拠点の拡大や新製品の開発に充てる計画だ。BrexやNubank、Capital Oneの出身者が、技術チームの半数以上を占めており、クレジット製品の開発が進行中である。


引用

https://blogs.callutheran.edu/cerf/files/2023/09/2023_USLatinoGDP_report.pdf


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