水浴びドーム
前回の投稿につづいて、「ヒロシマより愛をこめて」から。
写真の奥に控えているのが原爆ドームです。
「これに水浴びさせちゃろ」と、思い立って閃いたのがこのポジション。
被爆死された魂のよりしろに見立てた原爆ドームの上から、噴水の涼しげな水しぶきをかけてやることができました。
ご存知のように、被爆者たちは直接太陽に触れたも同然の熱線に灼かれ、炎天下の焼け野が原の逃避行に疲れはてての渇きから、あるいは死期が迫っての末期の水を求めたのでしょうか、みな口々に「水をください!」といって倒れていったそうです。
その望みが叶った被爆者は、ほんのひと握り。ほとんどの被爆者は、一滴の水をふくむこともないまま息を引き取って行ったとか。
その無念を癒したい、そんな祈りのショットでした。
原爆ドームの手前に白いタオルのようにかかっているのは、平和記念式典の参列者用に設営されたテント。
60年目の式典の準備が進められていた2005年8月4日に撮影したものです。
ぴちぴち
じゃぶじゃぶ
水浴びて
しばし忘れよ
灼熱の記憶
ちなみに後日、同じカットを撮りにいってみたのですが、なぜかどこからのぞいてもこのカットは撮れませんでした。
この一瞬だけ、想いが通じて撮影が許されたんでしょうか。