自然対数の底eとは結局何だったのか?
先日、高校の数IIIで習う、自然対数の底と呼ばれる数 e(高校では、名前は習わないと思いますが「ネイピア数」という名の数です。)というものについて、その由来を掘り下げました。
指数関数を学び始める時点で、ネイピア数は唐突に出現します。これが本当に曲者です。まずもって定義が意味不明。
(# ゚Д゚)<はぁッ!?
ってなりますよ?自然に受け入れられる式じゃないんです。なぜこの形なのか、脈絡がないのが気に入りません。
例えばさ、格闘技で試合開始時に、
こんな感じの体勢で始まるんだったら、特に違和感なく受け入れられますよね?
でも、こんな感じで↓
「じゃ、はじめましょっか。」とか言われても、「いや、ちょっと待て!」て、なりますやん。明らかに赤いグローブ有利で、この体勢から始めていい脈絡がないからです。
試合の途中で、こんな感じのマウントポジションになり、その場所がロープ際で試合継続に支障があるので、体勢を維持しつつ、リング中央に移動して試合再開、というのだったら納得できます。試合でもよく見る展開です(筆者、総合格闘技見るの大好きです)。
それがなんで受け入れられるかって、脈絡があるからです。
脈絡って大事です。
話を戻しましょう。
指数関数の勉強を進めていて、「はい e の登場です。」
ドンッ!
て、脈絡なくこれが出てくるの、なしにしませんか?って話です。こういう教え方するから数学嫌いな人が続出するんだと思います。
このネイピア数が、どのように発見されたかについては、先ほど紹介の記事で詳述しました(再掲)。
↑ここに詳しく書きましたが、元々は利息計算の研究から発見されたものです。複雑な定義式は、複利計算の計算式そのものだったりします。
では、なぜ高校数学でネイピア数を勉強するかというと、学校的には利息のことはどうでも良く、微分しても形が全く変わらない数というものがある、というところを教えるためだと思います。
このような、ネイピア数を使った x の指数関数がある時、その微分は
と、全く形が変わりません。この性質は、大学レベルの数学で、微分方程式を解くのに不可欠のものとなります。物理学、特に電磁気学の分野では、知ってないと日常会話もまともにできないくらい重要です。
学校側は、技術分野を担う人材を育てるためには、理系選択の高校生には知ってもらわないと困る、という趣旨から数IIIでネイピア数を教えるのだと思います。(まあ、そういう意味では、数学の嫌いな人は既に文系に流れているから、少々雑な教え方しても、ついてこれるでしょ。という考え方が教える側の根底にあるのかもしれません。)
数学嫌いなのに理系を選んでしまった私はひどい目にあいましたけどね!!(だってさぁ、生物が面白くて理系にいきたかったんだよね・・・(ブツブツ))
普通の指数関数の微分はどうなるか
指数関数の本体部分(←という言い方が正しいか自信ありませんが)が、 e でないときは、f'(x)=f(x) とはなりません。実際やってみると、こんなふうです。ある定数 a の場合を想定し、
を微分することを考えることにしましょう。微分の定義式に従って計算するとこのようになります。
なので、これを定義式に代入すれば計算が進みます。
f′(x)=f(x) ではないですが、f(x) の原型(a の x 乗の部分)が、微分しても残るのが、指数関数の微分の特徴といえます。
e は、こう教えるべき
つまりですよ、e を教える時に、こういう言い方をしてくれれば、すんなり受け入れられると思うのです。
1.指数関数の微分では必ず元の形が残る
2.で、この a をうまいこと調整してやると、微分しても全く形の
変わらない関数というものが作れる
3.つまりそれは、
となるような a だ。この部分が1になるんだったら、f'(x)=f(x)
となるのが分かるだろう?
4.そんな特別な数をこれから e と書くことにするので、覚えろ。
というような感じにやってくれれば、まだ脈絡があって受け入れられるというものです。
因みに上の式を変形してやるとネイピア数の定義式ができます。
左辺からは Δx が消えたので、lim があろうがなかろうが、値は a のままなので lim は外せます。
ここで、n=1/Δx という変換をしましょう。Δx→0 のとき、n→∞ となります。よって、
これが冒頭に紹介したネイピア数の定義であることは、分かりますね。
ネイピア数には、更に様々な顔があり、書き尽くすにはかなり長い文章になってしまうので、筆者ももっと勉強しないと書けないので、この辺で本記事は終わりにしようと思います。
まとめ
今回扱ったネイピア数の意味、まとめるとこんな感じです。
1.ネイピア数は、複利計算から生まれた
2.学校では、微分しても変形しない指数関数を作れる数として教わる
余談ですが、イラストは自作しました。今後、ちょこちょこイラストも作りながら記事を書いていきたいと思います。
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