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Pファンクのお勉強を始めました
だいぶ今さらの話だけど、去年くらいから少しずつPファンクの勉強を始めてる。
元々ドクター・ドレーやスヌープなんかの西海岸Gファンクは好きだから元ネタとしての存在は知ってたし、アフロフューチャリズムやらデトロイトテクノの文脈で語られることも多いからずっと興味はあったんだけどイマイチ踏み込めなくて避けてきた世界に、40歳を超えてからようやく一歩足を踏み入れた感じだ。
そもそもパーラメントとファンカデリックの2バンドがある上に、関連人脈や関連作品まで含めると膨大な数の曲があるからなかなか全貌がつかみにくいんだけど、最近はいろいろ良い関連本も出てるから、それらを片手に少しずつ勉強してる感じだ。
今日はその辺の話について書いてみよう。
Pファンクを学ぶガイド本
①P-FUNK / 河地 依子 (2011年)
今回もっとも参考になったと思ってるのが河地依子さんが書いた2011年に書いたその名もP-FUNKという本。
いわゆる歴史本って感じで本の内容自体もいいんだけど、それ以上にディスクレビューが充実してて、本体であるパーラメントとファンカデリック以外のアルバムについてもかなり詳細にレビューが行われてるのが嬉しい。しかもPファンク本体の作品群といっしょに時系列に並んでるから、プーツィー・コリンズ(b)やバニー・ウォーレル(key)ら関連作がどのタイミングでリリースされたのかもよく分かる。
今は絶版になってるから少し高騰してるけど、Pファンクのことを体系的に知りたいならこの本がベストだと思う。
②レコード・コレクターズ増刊 ソウル&ファンク(1993年)
最初から河地さんの本を買うのが少しハードル高いと言うのであれば、少し古い本だけど1993年に出たレコード・コレクターズ増刊のこれがオススメ。
レコード・コレクターズ誌上で80年代後半から90年代初頭に組まれたソウルやファンク系のいくつかの特集を集めたもので、Pファンクに関しては89年8月の特集がそのまま+αで掲載されている。
掲載元のレココレを直接買うのもアリだけど、こっちの増刊だとジェームズ・ブラウン特集も同時掲載せれてるのが嬉しい。プーツィー・コリンズ(b)やフレッド・ウェズリー(tb)、メイシオ・パーカー(as)なんかは元々JBのところにいて、その後にパーラメントに合流してるからね。この本を読めばJBバックバンド期含めてその活動の歴史を知ることが出来る。
③ファンクはつらいよ / ジョージ・クリントン(2014年)
そして、こちらがPファンク総裁であるジョージ自身が書いた自伝。これも今は絶版で高騰してるけど内容としては面白い。
活動歴の長さ、しっかりした音楽教育を受けてないこと、カリスマ性などなど読んでてなんとなくクレイジーケンバンドの横山剣さんといろいろ通じる部分があるように感じた。
剣さんも前に同じくらいの分厚さの自伝を書いてるけど、幼少期の体験から下積み、プロになって世間から賞賛を浴びるまでの過程がかなり似通ってるんだよね。まぁどちらかというと剣さんがジョージに似てるって言った方が適切なのかもしれないけどさ。
本の内容自体は河地依子さんの内容と重なってる部分が当然多いんだけど、ジョージ自身の言葉で語られてるから、また受ける印象も少し違う。特に印象的だったのは例のマザーシップ・コネクションのツアーに関する回想。
自分にできることとできないことについて、明確に認識していないアーティストは多い。俺は自分の限界を知っていた。自分にできないことを把握していた。俺は楽器ができない。歌やアレンジだって、一番上手いわけではない。それでも、高所から全体像を眺めることができたため、飛行機を着陸することができた。
色々その言動や振る舞いに尾ひれがついたりすることもあるけれど、これがきっと彼の本質なんだと思う。
④GEORGE CLINTON AND P-FUNK / Marcel Visser, Arno Konings(2013年)
最後がこれ。Pファンク関連の膨大なジャケットワークやレコードラベル、販促資料などをまとめた192ページの大判のアート本。これは凄い。
洋書だけどほとんど文章なくてアートだけだから問題ないし、ファンならぜひ手元に置いておきたい本。装丁もかっこいいから、部屋にあるだけでなんとなくオシャレな感じもあるしね。
著者本人が出版時にYoutubeにプロモーション動画をアップしてるので、これを見るとどんな内容か参考になると思う。
ただ、いかんせん今となっては手に入りにくいのが難点。この手のアート本って装丁が特殊で部数も少ないから出たときに買っておかないと、後から探すの苦労するんだよね。とりあえず見つけたら即ゲット推奨。
僕がP-Funkをまとめるとこんな感じ
で、いつもの通り好きな曲をまとめてコンピレーションにしてみた。リンクとトラックリストはこんな感じ。
The Landing Of The Holy Mothership
1. P-Funk (Wants to Get Funked Up) / Parliament
2. Children Of Production / Parliament
3. Mothership Connection (Star Child) / Parliament
4. No Rump To Bump / Parlet
5. Much Thrust / Bernie Worrell
6. Flash Light / Parliament
7. Stretchin' Out (In A Rubber Band) / Bootsy's Rubber Band
8. Do That Staff / Parliament
9. Bop Gun / Parliament
10. Disco To Go / The Brides Of Funkenstein
11. Cholly (Funk Getting Ready To Roll!) / Funkadelic
12. The Pinocchio Theory / Bootsy's Rubber Band
13. I'll Be With You / Bernie Worrell
14. Give Up The Funk (Tear The Roof Off The Sucker) / Parliament
マザーシップ・コネクションを中心にしながら、プーツィーズ・ラバー・バンドや派生グループの曲も交えつつ、まとめてみた感じ。こういう並びで選曲すると曲調的にファンカデリックはあまり合わないので1曲だけに留め、パーラメント名義の曲が中心。
個人的にはChildren Of Production冒頭のホーンアレンジと男女混声ボーカルによる歌メロの絡みが最高にカッコ良いと思ってるんだけど残ってるライブ演奏ではどれもゴスペル調にアレンジされてて残念。せっかくなのでイントロ的な1曲目のすぐ後にスタジオ録音盤を入れてみた。
あとはまぁ気を衒わず定番どころを集めた感じ。Pファンク関連作は発売レーベルがバラバラだから公式ではこういう選曲はなかなかできないけど、作品リリース時期もメンバーもほぼ同じだから並べるとバッチリとハマる。適当に選曲したわりに、自分でもかなり良い出来になったなって感じだ。
さてさて、そんな感じで今日はようやく本腰入れて聴き始めたPファンクの話。収録曲の都合で自作コンピには入れてないけどファンカデリックについても鋭意勉強中だ。
初めに書いた通り関連作が多過ぎてなかなか手を出しづらいから本腰入れて聴くの躊躇しがちだけど、とりあえずレココレか河地さんの本をガイドにしながら聴き始めれば全貌が見えてくるはず。僕は利用してないけど今はサブスクもあって勉強もしやすいだろうし、興味があるならぜひ一度触れてみるのがオススメ。
多くの人がいいって認めるものはやっぱりいいからね。