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最も読み返してる本〜ブラック・マシン・ミュージック

これまでの人生でもっとも読み返してる本は、野田努さんの「ブラック・マシーン・ミュージック」。

以前、読むクラブミュージックというタイトルで記事を書いたときにも紹介したけど、70年代ニューヨークのアンダーグラウンドディスコから始まって、様々なエピソードやサイドストーリーを交えながらシカゴハウス〜デトロイトテクノと話がつながっていく著者渾身の名著だ。

最近また本棚から引っ張り出して読んでるので、今日はこの本のことを書こう。

はじめて読んだときの話

僕がこの本の存在を知って初めて読んだのは20代なかばの頃で今から15年近く前。前にも書いたけど、当時はデトロイトテクノ聞き初めだったからめちゃくちゃ影響を受けた(笑)

いま比較的手に入り安くてテクノの歴史がまとまって書かれてる本ってほぼこれだけだから、僕と同じように影響を受けてる人もそれなりにいるように思う。

ただ、実は最初に読んだときは斜め読みしてた箇所もかなり多かった。なんというか出てくる人名と曲名が多過ぎて、初心者に優しくないんだよね。。。

特に2章のシカゴハウスについてはフランキー・ナックルズくらいしか知らない状態で読んだからキツかった。

まぁ内容が深い分、読者にも一定以上の前提知識が要求されるってのは、この本に限らず専門書あるあるだけどね。

改めて読んでわかったこと

この2章についてスラスラ読めるようになったのはここ数年の話。他にいくつか本や雑誌を読んだり実際に曲を聴いたりすることで、人の名前や大まかな流れがアタマに入ったから、ようやく内容がスッと入ってくるようになった。

不思議なもので、内容がきちんと入ってくるようになると、最初は何言ってるか分からなかった文章も興味深く読めるようになってくるんだよね。

書かれてる内容に関してはほぼビル・ブルースターの「そして、みんなクレイジーになっていく」の再構成だったりもするんだけど、この本が発売された時点では邦訳版も出てなかったし、本全体の話の流れを分かりやすくするためにすごく頑張って書いたんだろうなという印象だ。

ちなみに3章以降のデトロイトテクノの話になると、過去の自身のインタビューなどをベースに実体験も踏まえて書いてるので、とたんに読みやすくなる。

今まであんまり気にしてなかったけど、巻末に膨大な参照元や引用元が載ってて、それを見るとremixやele-kingあたりのインタビュー記事を膨らましてこの本が書かれているのがよくわかる。それを見てURについての記述がやけに充実してた理由にも納得いった。

はじめて野田さん自身がマッドマイクに会いにデトロイトに行ったルポが載ってるele-kingの22号とかめちゃくちゃ内容濃かったしさ。

自分の体験やインタビューで得た内容と、本で勉強した内容を比べたら当然記事のテンションも変わるよね。改めて読んでそのあたりのバックグラウンドに気づくことが出来たから面白かった。

内容をより理解するための副読本


ちなみにこの本自体にはディスクガイドみたいなものはついてないから、曲と一緒に楽しみたいときは以下の2冊を副読本的に添えるのがおすすめ。

House Legendの方はアンダーグラウンドディスコ〜ハウス黎明期、GROOVEの2000年7月号の方はブラックミュージック目線でのテクノに関するディスクガイドが非常に充実してるから、この2冊を読めばブラック・マシン・ミュージック中で書かれてる範囲は全てカバー出来る。

両方ともアマゾンでは異常に高騰してるけど、古本で出てくればそんなに極端に高くはないはずなので、興味があれば探してみるといいかも。House Legendの方は新装版じゃなぬて旧版でもOK。

他にもディスクガイドは幾つかあるけど、どれも載ってる範囲が広すぎるから、このブラック・マシン・ミュージックに対する副読本的位置付けならこの2冊が適切だと思う。


さて、久々に本を読み返したので、今日はそのことについて書いてみた。

ホントはシカゴハウスについてはビル・ブルースターの「そして、みんなクレイジーになっていく」を読んだ方が詳しく載ってるんだけど、この本は高騰してて勧めにくいから、そういう意味でもハウスの歴史について興味ある人は、まずはこのブラック・マシン・ミュージックを読んでみるといいと思う。

改めて読み返しても、やっぱり他にちょっとない良書だ。文系のクラブミュージック好きでまだ読んだことないって人はぜひ手にとってみることをおすすめしたい。

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