見出し画像

レコードの値段から物価を考える

昨日湘南T-SITEにふらっと出かけたらレコードフェアみたいなものをやっていた。先日出張で行った仙台駅近くの商業施設でもレコードフェアやってたから、まぁ色々なところでやってるんだろうね。やっぱり世の中的にはちょっとしたレコードブームなのかな。

一応チラッとのぞくだけのぞいてみたところ驚いたのがその価格設定。一昔前に二束三文だったシティポップがめちゃくちゃ値上がりしてる話は前にも書いたけど、新譜というかリイシュー盤の値段もめちゃくちゃ上がってる!

チラッと目に止まったパーラメントのマザーシップ・コネクションの輸入版リイシューで5,280円とか付いてた。他の盤も3,000円台後半なら良い方で4,000円以上もちらほら。改めて昨今のレコードの高さに驚いた。。。

デフレで育った青春時代

で、なんだか最近のレコードめちゃくちゃ高くなったなぁって思いながら帰ってきたんだけど、ふと我にかえってみると僕らが一番レコードを買ってた90年代後半〜00年代のデフレが異常だったってだけで、よくよく考えてみたら新譜レコードの値段ってそれくらいが適正なのかもしれないって気がしてきた。

70年代後半の国内盤レコードって定価2,000円前後って書かれてるけど、当時の大卒初任給って10万円くらい。それを今の初任給との比率に置き換えて考えると、いま1枚4,000円前後ってのもあながちない話でもないかなぁと。。。

でもさ。こっちはそのデフレと円高のまっただなかで青春時代を過ごしてきてるわけ。

牛丼並盛は280円、ハンバーガーは80円、はなまるうどんのかけ小は100円。牛丼やハンバーガーはキャンペーンでもっと安くなるときもあったけど、僕が大学生くらいのときはこんな価格設定だった。吸ってたマイルドセブンは2003年に一度値上げされたけど、それでもまだ270円。

1ドルはたぶん110円手前くらいかな。ただ、90年代の超円高を小学生の頃に体験してるから、体感的には1ドル=100円くらいの気持ちでいた。当時海外からよくレコードを買ってたけど、感覚的には「100円で計算しちゃうとちょっとだけ高く付いちゃうよね」くらいのものだ。

ちなみにリイシュー盤の輸入レコードの価格はDMRで1,480円くらい。レコファンだともう少し安かった覚えがある。ニュージャズ系の新譜2LPは2,480円程度かな。だから澤野工房なんかが出してた欧州ジャズの高品質リイシューは3,800円くらいで凄く割高のイメージだった。今じゃありえないけどさ。

育ってきた環境による感覚は変わらない

でもまぁ一番レコードを買ってるときがそういう時代だったから、最近のリイシュー盤が4,000円台とか、新譜の2LPだと6,000〜7,000円しちゃうことについてはやっぱりすごい抵抗感はあるんだよね。

円高の話、原材料や人件費の高騰、プレス工場の少数化、サブスク時代における収益確保観点からの値上げ必要性、全部アタマでは分かるんだけど、それでも心情的にはやっぱり「ちょっと高いな」と思ってしまう。

7インチとかでも今2,000円近くするでしょ。昔レゲエのジャケなし7インチなんて680円くらいだったからね。あまりのインフレっぷりに驚嘆を隠せない。

山崎まさよしが書いたSMAPの"セロリ"じゃないけど、やっぱり育ってきた環境ってのがあるからさ。こうして今の環境に違和感もっちゃうのは仕方ないのかなって思う。たぶん今アラフォーくらいの僕らの世代がいちばんこの辺り感じてるんじゃないかな。

昔は大学生のバイト代でも1週間に何枚もレコード買えてたけど、今もう絶対ムリだもんね。。。

まぁいちばんレコードが欲しかった時期に値段が安かったのを喜ぶべきなのか、いま物価の高騰に賃上げが全然追いついてないのを憂うべきかわからないけどさ。


売られてるレコードの価格を見ながらそんなことを考えたので、今日はそんな話。もっとも今日のこの話と前に書いたシティポップスのレコード高過ぎ問題はまた別だけどね。

松原みきの「真夜中のドア」が入ったアルバムとか中原めいこの初期アルバムとかが7,000円近くで売られてるのはやっぱり異常。需要があるからのダイナミックプライシングなのかもしれないけど、Light Mellow和モノが初めて出たころにココナッツディスクで1,000円くらいで買ったけどなぁ。。

そんなこともチラッと思い出した。いずれにしろ新譜も中古もアナログは今や高嶺の花。ちょっとしばらくはよっぽどじゃないと買えなそうだな。

そのうち今のブームが落ち着いたらまた買い始めるかもだけど、しばらくは横目で静観しておこう。。。

いいなと思ったら応援しよう!