本をめくる

鮮やかな日常もすべて時間の彼方に消え去る
遠く遠く色褪せていく

砂漠に落ちた砂粒を、もういちど拾うことができないように
もう二度ともどらない
すべてはかつての過去の中

夢ともつかぬ遠い昔のこと
思い出されることもない

煌めく光を追いかけた明るい日々
その日に思い出した遠い過去の話
暗闇のなかでただ眺める夢の欠片

浮かびながら自分の後ろを振り返った
これは夢、永遠に続く夢

過去には過去があり、その過去にもまた過去があり、大昔をたどると現在と同じようなことをしている
今は一瞬で過去の出来事となり、延々と繰り返される

閉じられた夢、終わらない夢

道をたどればまた巡り来る
未来のこと
はるか先にたどり着くだろう今の話

繰り返される他愛ない過去と未来の情景に、辟易して読んでいた本から顔をあげた
誰かと目が合い、それはいつかの出来事と同じだった

ページをめくる音がする
気がつけば繰り返している
終わりに向かって歩き出す

一歩、また一歩、踏み出す度に過去をなぞる
終わらない本の中、縁を描いて繰り返す

終わらない夢、見たことのある夢
未知を繰り返し繰り返し探検した


2023.12.4


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