夕暮れ月晶

つれづれなるままに生きていきたくて自由人をめざす人間。素敵な隠居ライフを送りたい。 ここでは創作物を上げていきたいなあなんて思っていますがどうなるかは風向き次第。 一応、書くけれど無断転載禁止です。

夕暮れ月晶

つれづれなるままに生きていきたくて自由人をめざす人間。素敵な隠居ライフを送りたい。 ここでは創作物を上げていきたいなあなんて思っていますがどうなるかは風向き次第。 一応、書くけれど無断転載禁止です。

最近の記事

石磨き

きらきらにさせてよ 丁寧に磨くから ひとつひとつヤスリをかけて美しくしていくの 微粒子を纏った指先が星つぶのように煌めく 路傍の石だって何億年も前に出来た  永い時を過ごして光を浴びた きらきらにしてもいい? 丁寧に磨くから 複雑な反射、光の干渉、透明な輝き 『美しい』を閉じ込めて切り取ったような永遠 プリズムが瞳をとらえる 人の都合で磨いたけれど、あなたの中では一瞬なのでしょう きらきらにさせてよ 魔法のように不可思議な その煌めきをみせておくれよ 2024.11.3

    • 本をめくる

      鮮やかな日常もすべて時間の彼方に消え去る 遠く遠く色褪せていく 砂漠に落ちた砂粒を、もういちど拾うことができないように もう二度ともどらない すべてはかつての過去の中 夢ともつかぬ遠い昔のこと 思い出されることもない 煌めく光を追いかけた明るい日々 その日に思い出した遠い過去の話 暗闇のなかでただ眺める夢の欠片 浮かびながら自分の後ろを振り返った これは夢、永遠に続く夢 過去には過去があり、その過去にもまた過去があり、大昔をたどると現在と同じようなことをしている 今

      • 秋の最後

        秋の最後。陽光がさす。金色の光のなかで羽を伸ばす鳥たちの輝き。 枯れ葉の中で虫たちも翅を伸ばして光を浴びる。ひんやりした空気が山の向こうからやってきて、大地をおおっていく。黄昏の時間。 彩られた木々の合間を塗って落ちてくる暖かい光の粒が、雨に濡れそぼった葉を照らしている。 赤く色付いた葉っぱに、斜陽が投げ掛けられさらに赤く、茜に光り、滴る雫は虹色に反射している。 夕暮れは最後のぬくもり。 空は藍色に変わり、太陽は沈んでいく。 冷たい空気におおわれて、夜。 星がガラ

        • 波間の星たち

          暗闇の波間に、たくさんの星が浮かんでいました。まばゆい光、優しい光、たくさんの光たちが、一粒一粒、それぞれの光を放ちながら、ゆっくりと運ばれていました。 小舟がひとつ、波にあわせてゆらりゆらりと揺れながら闇のなかを進んでいきます。櫂を動かせば浮かぶ星はゆらりと姿が歪み、しばらくするともとの形に戻っていきます。 小舟にはどこかで見たことのあるような、ないような姿の旅人がはるか頭上に青く輝く三日月をじっと見据えていました。 旅人の隣では、人のような魚のような、足に鱗を持つ少女

          安らかな夢を。

          極彩色が重なりすぎて色がくすんだ部分も、美しいグラデーションや透過した部分も、何もかも暗闇のなかで輝きを失い、静かに眠り、やがて無いものに変わっていく時がくる。 『全ての人がみんな幸福』という状態にになれないこの世界が、眠りについたあと安らかな夢を見られるように祈る。 最果ての時間の中で全部消えてしまっても、きっとまたなにかが目覚めて絵の具を散りばめていくのだとしても。 静かに還るその時を待つ。 はやく気がついて。 幻が夢を見ている。 2024

          安らかな夢を。

          頭の中の空想

          空想ぎみな頭の中 空の上のステージ きらきらした宝石たちの洞窟 とびきりかわいいお洋服、ゆめかわ、ゴスロリ、クラシカルなドレス エルフやドワーフ、妖精、人魚 あり得ない夢の話を、いつも唱えている 現実は布団の中、横たわっているだけ。 目を開ければ、ただ生きているだけ。 食べて、活動して、種のために貢献して、そして眠る。それだけの繰り返し。 動物らしくツガイをもって子供を育てて繁栄を繋ぐだけ。本当はそれだけのこと。 空想ぎみな頭の中 あり得ない夢の話をする 文化、教養、

          魔女の放浪猫

          昔、魔女が言った。 『あなたにはいくつもの命があるのよ。尊い存在なの。私よりも長生きで、神秘的で、きっと、精霊の子供なのね。』 魔女は森の中の小さなぼろ小屋にすんでいて、村の人々の困り事を解決する仕事をしていた。あるときは神秘的な呪文と共に薬草をすりつぶし、混ぜ合わせて処方する。あるときは不思議な模様を描いた地面の上に文字が刻まれた石をなげ、その結果を村人に伝えた。魔女自ら村人の家におもむき、葬儀やお産、成人の儀式などを執り行った。 村人は魔女を深く尊敬し、頼りにしていた

          魔女の放浪猫

          森の奥/夏の虫など

          眠りにつくよ、森の奥 目覚めては死を迎え、夢の中 木漏れ日に揺られ、そよ風に撫でられる 真夏の熱気は真夜中に沈み、月の雫と消えていく 体はとっくに腐り落ち、喰われて溶けて無くなった 悪臭も穢れも流れに消えゆき、残ったのは沈黙だけ 眠りにつくよ、森の奥 優しい日々の夢を見た 夏の虫 夏の虫が鳴いたら、夏の始まり 歌う季節の手を取って、一緒に踊ろう 晴れた朝、まばゆい光を浴びたなら 入道雲が真上を通り、激しい雨を降らせたならば 西日の差し込む川の側、とんぼが目を赤くしたなら

          森の奥/夏の虫など

          生きていること(断片)

          『銀河』 銀の砂粒 銀の砂時計 落ちる落ちる暗闇に ひとり 渦巻く銀河の端っこから、こぼれ落ちたひと粒の砂 9.18 『生きていること』 夢中になれることがなくても、生きていける。 穏やかすぎて波風がなくても、しあわせということ。 愛するものが遠いほうが安らかと感じてもいい。 遠くの星を愛でるように、 淡く薄い大気の揺らぎで光がまたたくような かすかな揺らめきに命を感じて。 人と人が縁を結こと、深く関わりを持つこと、臆病で触れられなくても、生きてい

          生きていること(断片)

          星造りの女神と人間

          雨の中、緑が鮮やかに潤み、宝石のように光っていました。 「もう生きたくないよ。人生とか、人間とか、だって結局はむやみやたらとこすりあい、傷をつけたり直したりしながら、死んでいく。」 「じゃあもう生きなくていいよ。ここで眠っていなさい。その代わり、あなたの魂は私の世界のエネルギーになってもらう。」 「わかった、いいよ、たましいをあげる。」 女神と人間は契約を結び、人間は心地のいいところで眠りにつきました。 女神は人間の魂からエネルギーを取り出して自らの星に率いれ、核と

          星造りの女神と人間

          秋色

          心は、湖のように冷たく、透き通って光が差し込む。 凍った輪郭は形を定めて強固にする。ガラスのようにただそこにあり、うすい影をつくる。 ひよどりの声が反響して、秋を形作る。色づく葉、銀杏の黄色、紅葉の赤、楓の橙色、鮮やかな水色の空に、真っ白な鱗雲。透き通る風にのって虫の声。 いつまでも吹き抜ける風は肌に寒く、日差しは暖かい。枯れ葉の香りが鼻をかすめる。 りんご、梨、ブドウの収穫。 湖のほとりは静に波が押し寄せて、さざ波が広がる。魚は肥えて冬に備える。ドングリ、栗、ぎん

          みえない魚

          透明な空気がある みえない魚が泳いでいる すいすい、すいすい 雨を避けながら、雨を浴びながら 美しいヒレをゆらゆら、ゆらしている みえない世界に手をのばす 魚が指をつついている どこにも行けない生活ごと、まるごとその背中にのせて 何万の生活、何万の命。 みえない魚は泳いでいく。 みえない暗闇のなか、見えない空間と時間の間 みえない魚が泳いでいく もう飽きたと言うように、目の前から去っていく。 このまちから去っていく。 鱗を一枚だけ落として、 すい

          UTAU音源、月晶ちひろを作った感想など。

          お話や詩ではなく、最近の活動についての話です。 なんと、ノリと勢いで、自分の声を使い、UTAU音源を作りました。 名前は「月晶ちひろ連続音バージョン1.0」です!  本当はしゃべるのが面倒で、私の代わりに話してくれる合成音声を考えていたのですが、調べているうちにUTAUにたどり着き、なんとなくその方向で作業を進めて行きました。UTAUも活用次第ではしゃべらせることが出来るらしい、というのもありました。 様々なサイトを調べ、参考にし、先人の知恵をお借りしながら収録をし、原

          UTAU音源、月晶ちひろを作った感想など。

          星空

          生きている事と同じくらい、意味のないこと。 石を磨くとか、絵を描くとか、お話を書くとか。 空虚の宇宙に星が描かれて、光っては消える。 光っては消える。 いずれは訪れる静かの海。 光をともせばひとつ、ふたつと輝いて、空一杯の輝きが、誰かの心を慰める。 遠ざかる静かの海。 人生と同じくらい意味のないことが色をもって空へ流れていく。

          秋の気配

          秋の中に寝転がっていると、水面に浮かんでいるような心地になる。気持ちが沈めば水底に沈み、気持ちが浮けば空の上に浮いていく。 ささらと流れる紅葉した葉、遥か高い場所にある鱗雲。それらがゆっくりと風に流されて、澄みきった穏やかな気持ち。 虫の声が囁くと、すすき野原にたっているかのよう。そこではただ美しい音色が茂みのあちらこちらから響き、風に揺れるすすきの穂が心地よい音を立てて揺れる。透き通った風が彼方から吹き抜けて、またどこまでも遠くへと去っていく。

          とりとめのないかき散らし

          とりとめのないかき散らし(たぶん幸福について) 漠然と、遠くには自由があると思っていた。 物理的に遠くに来たけれど、どこに行ってもなにが良いのかさっぱりわからない社会をわからないまま生きている。 どこにいても同じ、生活が続いていく。 もっと遠くに行っても、たぶん変わらない。 星の音は重要な出来事を囁いているように見えるが、それは自然な存在であって、特別、私たちに語りかけてはいない。 私たちはそれを勝手に拾って解釈しているだけだった。 しかし、星々からなにかを見いだして大切に

          とりとめのないかき散らし