【小説】アルカナの守り人(13) ヒカリ
「ふふ…、ふふふ。本当にあなたって…。」
先程は、思わず泣いてしまったヒカリだったが、フウタの台詞に思わず、笑みをこぼした。
本当に疑いを知らない、純粋な人ね。
あんなに警戒して、偽の依頼まで用意して…。色々と考えていた私がバカみたいだわ。これなら、最初から本当のことを話しても問題なかったのかもしれないわね。 …今更だけど。
と、ヒカリは思った。
「それで…、結局のところ、本当の依頼っていうのは何なんだ? ヨウに関係することだろ?」
フウタは、ヒカリが泣き止んだことで安心したのか、近くの椅子に、さっさと腰を下ろしている。頭の後ろで手を組み、大分、リラックスした姿勢だ。
「ええ。本当に依頼したかったのは、ヨウを助ける「鍵」を探してもらうこと。」
「鍵を探すのは変わらないんだな。」
フウタはニヤリと笑った。
「ふふ。そうね。言い訳に聞こえるかもしれないけど、あなたには、最初から嘘は言ってないのよ。ちゃんと説明するから聞いてくれる?」
ヒカリは真剣な顔で言った。フウタはもちろんと、力強く頷く。
「…そもそも、ヨウは太陽のアルカナ能力者だわ。だから、常に太陽との繋がりがあるはずなの。それにも関わらず、奇病に侵されてしまったのは、幼い身体で無理をしたせいかもしれない…。はっきりしたことはわからないけど。どちらにしても、ヨウと太陽との繋がりが弱まっているのは確かだわ。だからこそ、どうにかして力を取り戻さないと、と思ったの。そして、その時だった。古本のあるページに文字が現れたことに気づいたのは…。」
「お、もしかして、ヒントとかか?」
「たぶん…、そうだと思う。」
ヒカリはそう呟きながら、古本を開き、該当のページをぱらぱらと探す。そして、フウタの前に古本を差し出す。
スペス リベルタティス ラティティア
そこに浮かび上がっていたのは、たったそれだけだった。
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