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「ホテル×クリエイティブ×テックでホテルの総合商社化を目指す 」株式会社水星の3つの事業戦略|水星ボードメンバー座談会Vol.1

ホテル事業部、プロデュース事業部、プラットフォーム事業部(CHILLNN)の3つの事業を軸に、観光、ライフスタイルの領域で挑戦を続ける株式会社水星と株式会社CHILLNN。
今回は、水星CEO龍崎、COO大籠、CHILLNN CEO永田の3名のボードメンバーをゲストに迎え、「ホテル」と「クリエイティブ」と「テック」異なる強みを持つ水星/CHILLNNならではの事業戦略と、お互いのシナジー、今後の展望について、ざっくばらんに語り合うボードメンバー座談会をお届けします。

Vol.1では、コロナを乗り越えて、事業の多角化や組織の再編を経て、これから成長拡大路線を描くための第二創業期と位置づけている現在の各事業部の戦略について話しました。

プロフィール



人々に新しい選択肢を届け、社会に実装するためのメディアとしてホテル

ー水星は、新しい事業戦略の中で、ホテルを起点に、ライフスタイルと観光の領域で、社会に新しい選択肢をつくる「ホテルプロデュースカンパニー」を掲げています。プロデュース事業部、プラットフォーム事業部( CHILLNN )と事業領域が広がる中で、改めて、「ホテル」を事業の中心に位置づけている理由について、まずは、翔子さんにお話をうかがえたらと思います。

龍崎 よろしくお願いします!よく聞かれるんですよね、「なんでホテルにこだわっているの?」って(笑)。私たち自身、以前は「ホテルだけの会社じゃない!」と語っていた時期もあるのですが、最近は1周回って『ホテル』というドメインに軸足を置いて事業をしていきたいなと思うようになりました。前提として、私たちは「ホテルをつくること」を目的としているのではなく、「社会に新しい選択を生み出す会社」でありたいと思っています。その上で、人々に新しい選択肢を届け、社会に実装するための媒介(メディア)としてホテルをつくっていると考えているんです。

例えばですが、お酒は産地や素材、製造法などのささやかな違いを楽しむためのさまざまなバリエーションがあるのに、ノンアルは全然選択肢がない、みたいなことってあるじゃないですか。

永田 確かに、ノンアルのメニューにコーラとウーロン茶しかない、みたいなことってよくありますもんね。

龍崎 最近は、ノンアルコールでもお酒のようにさまざまな産地や素材、製造法でバリエーションを楽しむことができるようになってきていて、選択肢が広がってすごく素敵だなと思うんです。同じように、音楽もSpotifyやApple Musicで聴くのが当たり前になっているけど、レコードやカセットテープなど、音楽を楽しむための媒体って本当はもっと色々な選択肢があって、それらを体験することで少し生活が豊かになるかもしれない。

お酒も音楽も、そういった人の生活に関わるすべての体験って、ホテルで生み出すことができるんですよね。そういう意味でホテルって本当の意味でライフスタイル提案ができる場所なんじゃないかなと思っています。

大籠 僕がホテルっていいなと思い水星の創業期に参画した理由もそこにあります。ホテルは衣食住から遊学働まで、人の生活に関わるものをつめ込むことができる空間メディアであり、新しい体験や文化をゲストに届けることが水星のミッションだと思っています。

龍崎 そういう意味で、私たちは「ホテルはライフスタイルを試着する空間である」と捉えていて、雑誌やテレビが社会に新しい価値観やアイテム、文化を伝えていくように、ホテルをメディアと見立てて、生活や体験を伴いながら五感を通じて世の中に新しい選択肢を提案していきたいと思っています。

また最近は、「ホテルは人の人生の一部をお預かりする場所」でもあると考えています。飲食店や図書館、テーマパークなど人が滞在するサービスは様々ですが、滞在時間は数時間からせいぜい半日程度。あらゆるコンテンツや空間が人々の時間を奪い合っているそんな中で、数十時間から数日、場合によっては、1週間、1ヶ月という単位で人が滞在する空間を運営できるサービスは、ホテル以外にないと思います。

ホテルは、ゲストが一時的に自宅とは異なる暮らしを営むことができる場所で、人の住環境を一時的に代替できる場所とも言える。そうしたまだあまり注目されていないホテルの可能性を引き出して、実装していくことで、ゲストに人生に新しい選択肢を提案していきたいと思っています。

ー水星が「ホテル」という軸を大切にしている理由がよく理解できました。
 ここから、各事業の具体的な事業戦略の内容について詳しく聞いていきたいと思います。まずは中核のホテル事業からお願いします。

龍崎 ホテル事業について、水星が目指しているホテルづくりは、新しい社会インフラをつくる挑戦だと言えるかもしれません。例えば、分かりやすい事例を挙げると、ホテルとイマーシブシアターを組み合わせた『泊まれる演劇や、産後ケアリゾートの『HOTEL CAFUNEなど。ホテルをいわゆる観光の付帯物として捉えるのではなく、社会生活に関わる別のサービスと組み合わせて、新しい選択肢を生み出しています。

大籠 ホテルではあるんだけど、既存のホテルのマーケットに留まらず、他の領域ににじみ出ていくような新しいホテルをつくっているということが、さまざまなホテル事業者がいる中での水星の特徴であり、戦略の軸になっていますね。

龍崎 よく、インバウンドはどうなんやとか富裕層をどう取り込んでるんやとか尋ねられるのですが(笑)もちろんそういった視点は現実的には大切ではありつつも、水星が生み出していきたいホテルの本質とはまた違ったところにあるんじゃないかなと思っています。

宿泊マーケットのルールを変えて、「狂ったホテル」を増やす


永田 
プラットフォーム事業部では、ユニークな宿のための直接予約サービス「CHILLNN(チルン)」を提供しています。人が旅行をする時、まずは、目的地となる観光地やイベントがあって、そのための手段としてホテルを探すというのが一般的な消費行動かと思います。そのためにつくられたのが大手のOTAと呼ばれる「楽天トラベル」や「じゃらん」などのみなさんお馴染みのサービスです。

一方でCHILLNNが届けたい旅行体験というのは、ホテルを起点に深くその土地の空気感や文化に触れることや、価値観が変わるような心が動く体験です。旅行先で得られる体験や旅のコンセプトに合わせてホテルを探したい場合、既存の大手のOTAでは不十分ということを、水星のホテル運営を通じて実感し、旅の目的地となるようなユニークな宿を中心に、求める体験や世界観でホテルを選べるサービスをつくりました。

龍崎 HOTEL SHE, KYOTOやTHE RYOKAN TOKYO YUGAWARA(※現在は他企業に運営譲渡)を経営している中で、宿泊事業者として予約導線にめっちゃ課題を感じていました。せっかくいい企画を作ってもOTAでは販売できないし、直接予約を取ろうにもUI/UXがイケてない。それなら自分達で予約システムを作り、お客さんに気持ちいい予約体験をお届けしよう、と始まったのがCHILLNNです。

永田 旅行の予約体験については、生活者目線での課題のみならず、宿を運営する事業者側にも課題があるんですよね。観光宿泊のマーケットはコロナ禍を経て、市場全体では以前の水準に回復しつつありますが、ホテルの新規開業をする際に、これまでにないユニークな体験や、エッジが効いたコンセプトを持ったホテルは資金を調達することが難しくなっていて、新しいホテルブランドが生まれ辛くなっているという状況があります。

なので我々は、そこにしかない宿泊体験を提供しているユニークなホテルが、継続的に集客出来る状態をつくる支援をすることで、尖っていること自体が価値になるマーケット環境をつくりたいと考えています。

大籠 今ではありがたいことに多くの宿泊事業者さんにも共感していただき、1000以上の施設さんに活用してもらってますよね。

龍崎 本当にありがたいです。

ーCHILLNN が掲げている「宿泊マーケットのルールを変えて、「狂ったホテル」を増やす」というミッションに通じるところですね。

龍崎 水星として世の中に新しい選択肢を届ける上で、すべての選択肢を自分たちでつくることは不可能です。CHILLNNは、私たちのコンセプトにマッチをした全国のユニークなホテルを新しい選択肢としてゲストに届けると共に、新しい選択肢が生まれやすい環境をつくるために、業界を耕す役割を担っていると思っています。

ナレッジを体系化してホテルというビジネスモデルを納品する


ー自分たちで直接新しい選択肢(ホテル)を届けるのがホテル事業部で、ユニークな宿が生まれやすい環境をつくるためにゲストとホテルを繋ぐ役目をしているのがCHILLNNということですね。
すると、プロデュース事業部は、私たちと同じく、世の中になんらかの新しい選択肢、価値を届けたいと考えるクライアントさんの支援をするという位置づけになるかと思うのですが、事業の主軸であるホテルの企画・開発について、市場に対する課題意識や、挑戦していることをおうかがいしたいと思います。

大籠 プロデュース事業部では、クライアントのホテル開業支援はもちろんのこと、昨年から、自社運営のホテル開業プロジェクトも本格化しており、現在複数のプロジェクトが進行しています。ホテルを開業するためには様々なハードルがあり、そのひとつにファイナンスの課題があります。市場環境として、資材の高騰などから建設コストが上がっており、その様な状況の中でも成立するホテル計画を考え、銀行や土地や建物のオーナーなど、様々なステークホルダーを説得し、事業スキームを成立させる必要があります。特に、水星では今後継続的な開業目標を設定しており、達成のためには、プロジェクトを横断したファイナンス戦略を考えることが重要になっています。

龍崎 プロデュースだけ、企画・開発だけ携わっていると思われることが多いのですが、クライアントの希望に応じて用地選定や資金調達、事業性の検証から始まり、オペレーションや組織体制の設計まで、包括的にホテル開発をしています。そういう意味で、「ホテルビジネスを納品する」事業だと自分達では思っています。

大籠 市場環境は決して楽な状況ではないのですが、逆に工夫のしがいがあって面白いタイミングであると考えています。今は、これまでの開業支援や自社ホテル運営の知見を踏まえて、現在の市場で戦えるホテルの企画・開発、経営戦略のノウハウを整理して体系化するということを進めています。これまで、翔子さんやぼく、現場の方々のマンパワーでやっていたところを組織のナレッジに転換していこうとしていて、今は、会社や組織として大きく成長している時期だと思います。

龍崎 今まで、個人の中の経験値の言語化や組織の中に点在していたナレッジを体系化して、組織に落とし込んでいます。もちろん、ホテル開発はそれに携わる人の纏う空気感や人生観、世界の眼差しが反映されるもので、単純にシステム化できるわけではない部分もありますが。ただ、水星のWAYを体現できるチームメンバーを増やしながら、日本中に価値あるホテルを生み出しています。


Vol.1では、プレイヤーとして世の中に新しい選択肢をつくるホテルブランドの開発をしながら、宿泊・観光市場全体を活性化させるために展開しているプロデュース事業部やプラットフォーム事業部の取り組みの概要について紹介させていただきました。
続いて、Vol.2では、ホテル事業部、プロデュース事業部、CHILLNNそれぞれの視点から考えるホテルのブランド戦略について3人の議論をお届け致します!

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