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化け物心中 感想(後半ネタバレ注意)

まず表紙で一目惚れ、
さらには私の好きな作家、森見登美彦先生が
脱帽したという『化け物心中』
どんなものかと思って読んでみたのですが…

なんかもう、凄い!!(初手から語彙力皆無)

最初の方はイマイチ話が掴みきれなかったのですが、読み進めていくうちにどんどん物語の世界に惹き込まれて気付けば読み終わってしまいました。

先ず作者様の語彙力が凄くてですね…
私も読めない漢字が幾つも出てきて辞書をポチポチしながら読み進めていく必要があり、とても勉強になりました。(信天翁とか私初めて知りました)

簡単にあらすじを説明しますと、
鳥が大好きな心優しき少年藤九郎と、元女形で膝から下が無い色気ムンムンの魚之助が座元に頼まれて芝居小屋に潜む鬼を暴く というのが大まかな内容です。

「鬼」…。

最近あちらこちらの作品で耳にして最早鬼供給過多なのですが、「鬼」の定義が作品に寄って違っていて面白いですよね。

実はこの作品の中で「鬼」の定義というのがなかなか重要になってくるのです。

本当にいるのかすら曖昧な鬼を探す中で、
藤九郎は1番残忍な心を持っている人を「鬼」と
定義し役者陣の心の闇を暴いていくのですが…。


⚠ここから先は重大なネタバレになります


正直私は、鬼の正体は人の心なんですよ。というオチかなと検討をつけていたのですが、全然違っていましたね!!

一番残忍なのでは無く、打算や恨み、欲望で人を殺すことの無い者が鬼、というのが物凄く意外でした。

鬼もすごくあっさりしていて、食った人間と2人何処かへ消えていくのを「心中」と表現するのが最高にしびれたし、タイトルもこれ以上に相応しいものは無いなと思います。

話の中で主人公、少し無知で結構無神経な事を言いまくるので少し嫌だったのですが、役者陣の醜い心を見ていくうちに成長して、最後は魚之助を受け入れる事が出来たのは本当に涙が止まりませんでした。

魚之助も最初は完全無欠のお助けキャラかと思ったのですが、話を進めるうちにどんどん人間臭い部分が見えてきて大好きになりました。
(そもそも魚之介の全てが性癖すぎて元から萌えていましたが…)

「大事なのは、藤九郎が魚之助が好きだということです」

という言葉がすごくグッときました。
シンプルな言葉が良く刺さるんだ…。

過去の回想で飛べなくなった鳥に
「ここから始まるんだ」と言った藤九郎に
魚之助は自分を肯定してくれるかもしれないと
期待していたのかも知れないなと思ったり…。


すごく綺麗にまとまった神小説でした。
私の感想を一方的に述べただけですが、是非興味を持ってくれると嬉しいです!
とてもオススメ小説!!

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