解離性障害について④〜解離性遁走編〜

今日は四つめということで、解離性遁走のお話です。

まずは教科書的な説明を見てみましょう。

解離性遁走とは解離性健忘の一種であり、過去の記憶の一部またはすべてを失い、通常は家族や仕事を残して普段の居場所から姿を消してしまうこと。(「遁走」とは「脱走」や「逃避」を意味する。)
解離性遁走の持続時間は、数時間の場合もあれば、数カ月間、ときにはさらに長期間にわたる場合もある。遁走の期間が短いと、職場に遅刻したり、帰宅が遅くなったりしただけのように見えることがある。遁走が数日以上続く場合は、自宅から遠く離れた土地におもむき、自分の人生の変化に気づかないまま、新たな自己同一性を形成し、新たな仕事を始めることもある。

解離性健忘については、以下のnoteを参照ください。

https://note.com/suimituto_00/n/naf2f52b760a1

次に、ぼくの場合についてです。

ぼくの場合は数時間で収まる体験しかしたことがありません。
ぼくの場合、1番ひどい遁走中はどうやら現実検討能力が失われているようです。
フラフラと歩き回り、時には信号無視したりひたすら直進だけしたりと社会性が失われた夢遊病のような状態になることがあるらしいです。(ただしこれは解離性遁走ではなく解離性同一性障害の完全ではないいくつかの機能だけ備わった半人格が起こしているアクションであるとの見方もできます。解離性同一性障害については今後出す予定のnoteを参照ください。)
現実検討能力が戻った時いつの間にか予期しない場所にいてびっくりすることもあれば、現実検討能力が戻っても健忘状態が続いていてここはどこ私はだれ状態のこともあります。(定義に忠実に考えるならば、この現実検討能力が戻ったけれど健忘している状態でフラフラと現実の生活から外れて動き回ってしまうことが解離性遁走なのだろうと思われます。)

具体的なエピソードを紹介してみましょう。

その日は同居パートナーが朝から用事で出かけていて、朝の弱いぼくはおそらくお昼ごろまでゆっくり寝ていました。
気づくと知らない駅にいました。何故ここにいるのか、何処から来たのか、自分は誰なのか、思い出そうとしてもまるで思い出せません。
肩にカバンを下げていることに気づき、とりあえずその中を見てみることにしました。すると、障害者手帳と、それと一緒にしてあったヘルプカードを見つけました。
そこに書かれていることが自分のことなのかさっぱりわかりませんでしたが、パートナーと書かれた連絡先にとりあえず電話を掛けてみることにして公衆電話を探しました。
電話は通じず、留守番電話にメッセージを残しましたが不安と焦りで必要な情報は何も伝えられませんでした。
それからヘルプカードに自分は解離性障害で記憶をなくすことがあると書いてあったため、これは病気の症状なんだと思い、交番に行って保護を求めました。しかしヘルプカードを見つけていなければ、ぼくは状況が飲み込めないままどこかへ行ってしまったかもしれません。
交番でパートナーに連絡を取ってもらい、迎えに来てもらいました。
パートナーだと名乗る迎えに来た男性もまるで見覚えがありませんでしたが、障害について説明され一緒に家だという場所に帰りました。
それからしばらくして、ふと記憶が戻りました。

以上がぼく視点での出来事のあらましです。
次に、後からパートナーと解離性同一性障害の交代人格から聞いた情報です。
交代人格のYが薄いシャツのみで外に出ていることに気づき、Yの意識で体がコントロールできているうちに急いで服を調達して着替えたそうです。
それからまたYはコントロールを失い、気づくと家から徒歩1時間ほどの駅にいました。Yは自分についての情報を健忘していなかったので、駅の案内所で電話を借りてパートナーに迎えを頼んだそうです。
それからまたYはコントロールを失い、次に出てきたぼくは上記のような行動を取りました。
Yとぼくとパートナーの意思疎通が出来ず、パートナーに保護されるまで駅構内ですれ違いがあったようです。
家を出てフラフラとさまよってしまったのは、おそらく解離性同一性障害の半人格なのだと思います。(これについては今後出す予定のnoteを参照してください。)

このような感じで症状が出ます。ぼくの場合はパートナーと一緒にいる時よりもひとりで過ごしている時に症状が出ることが多いです。
最近ではこの対策としてスマホにGPSで位置をパートナーが確認できる迷子アプリを入れたり、ヘルプマークやヘルプカードを持ち歩いたりするようにしていますが、遁走時は自分のことを健忘しているのでなかなかそれらが扱えるかどうか怪しいことがあります。これも厄介な症状ですね。
この症状で警察のお世話になることも多いのですが(保護してもらう)、優しく対応してくださる警察の方に当たるかどうか問題もあり、毎回健忘が解けてから頭を抱えます。
他の同じ症状をもつ方がどんな対策をしているのか聞いてみたいですね。

今日はこれで終わりにします。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?