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#066あちこち歩いて、見つけた珍しい石碑―身近な史跡、文化財の楽しみ方(13)

 多忙のかまけて、しばらくぶりの更新になってしまいました。その間にも、まず冒頭に、ここのところ書いていました、「年功序列で選挙が決まる!?―論文執筆、落穂ひろい」、「会期に上京して役得を得る?!―論文執筆、落穂ひろい」、「有名人にアタックせよ?!―論文執筆、落穂ひろい」の元になっている論文が年度末に刊行されましたので、発行しているサイトをご紹介しておこうかと思います。筆者には一銭も入りませんが、ご興味のある方はぜひご購入下さい。

 さて、今回は、あちこち歩いて見つけたものをご紹介したいと思います。筆者は外歩きの史跡見学のイベントを催したりもしていますので、その際に見たものや、あるいはたまたま町を歩いている時に見つけたものなどから、身近な歴史を感じていただければと思います。

 今回ご紹介するのは、「鳥魂碑」です。こちらは東大阪市中野でたまたま通りすがりに見つけたものです。このような動物の慰霊碑は、靖国神社や護国神社にある軍馬、軍犬などの慰霊碑はこれまで見たことがありましたが、「鳥魂碑」というのは初めて見ました。(2015年に撮影した写真があったのですが、こちらへ掲載時にミスをして削除してしまいました。GoogleMapのストリートビューで現存していることは確認できますが、家の改築などに伴って、現在はそばに寄れなくなっています。石碑は柵の奥の塀ぞいにあります。)

 この碑を見つけた際に、碑をじっと見ていると、設置してある場所の家の方が出て来たので、折角なのでどういった経緯で設置されているのかについてうかがってみました。おうちの方に聞いた話によると、戦前に家鴨などの養殖をされていたそうで、それを屠殺して出荷することに対してその時のご当主が慰霊碑を建てられたとのことでした。石碑には昭和2年の建立したと裏面に記載があります。

 そういえば、靖国神社には軍馬、軍犬、軍鳩の慰霊碑があります。こちらは戦争中に軍によって使役された動物の慰霊碑です。馬はもちろん騎兵を編成する際に用いますが、鳩は伝令用の伝書鳩として使役され、犬は警備や偵察用に使役されるなどしていました。そのため、戦地で犠牲になった軍馬、軍犬、軍鳩を慰霊するために設置されています。靖国神社のサイトによると、第2次世界大戦の間だけでも、軍馬の犠牲は20万頭ともいわれるという記載があります。軍用動物の慰霊碑が設置されるということは、非常に多くの動物が戦争の際にも使役されていたということの表れといえるでしょう。

 また、高野山には日本白あり対策協会が建設した白ありの供養塔があったことも思い出しました。参考までに日本経済新聞の関連する記事のURLを下記に記しておきます。

 あるいは実験に使用された動物の供養塔も高野山にはあります。こちらは「動物供養塔」という名称で、実験動物の供養を目的として建てられています。

 これら動物に関する慰霊碑は、人にある目的で使役されたり、あるいは人の営みの中で犠牲になった動物に対して、人からの供養の意味を込めて建てられたものといえます。徴兵されて地域から出征した兵士の慰霊碑は大体どこの地域でも見かけますが、このような動物の慰霊碑もどこでもとは言えませんが、ときどき散見されますので、もし見かけられた際には少し注目されると面白いかと思います。 

追記 上記で写真をうっかり削除したと書きましたが、ありました。HDにきちんとバックアップが取ってありました。写真(二〇一五年五月著者撮影)をきちんと見ますと、碑の裏面に建立された年月が記載されていますが、昭和五年(一九三〇)八月でした。ここに追加で写真を掲載し、記して訂正いたします。(二〇二二年八月二〇日)

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Nobuyasu Shigeoka
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